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トランプ大統領、オバマケア代替法案を撤回:識者はこうみる
2017年3月24日 / 22:11 / 8ヶ月後

トランプ大統領、オバマケア代替法案を撤回:識者はこうみる

[27日 ロイター] - トランプ米大統領は24日、同日午後に予定されていた医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の下院採決について、共和党指導部に取り止めるよう指示。可決に必要な支持獲得に極めて近いところまで来たが、民主党の支持も得られず採決に持ち込めなかったと述べ、次はおそらく税制改革に取り組むと語った。

 3月27日、トランプ米大統領は24日、同日午後に予定されていた医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の下院採決について、共和党指導部に取り止めるよう指示した。写真はホワイトハウスで24日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●減税など実行可能な案件に着手可能

<ウェルズ・ファーゴ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアポートフォリオマネジャー、マーガレット・パテル氏>

市場ではトランプ政権が医療保健問題に完全に手足を縛られ、身動きできなくなるのではないかとの懸念が出ていた。医療保健問題がこうした形でクリアされたことで、規制改革や減税などそれほど複雑ではなく実行可能な案件に着手できると、市場では楽観的な見方が出ているのではないか。

これほど複雑で大きな費用が絡む案件が棚上げにされたことはプラス方向の動きのように見える。今後、減税のようにそれほど難しくない案件に歩を進めることができる。

●議会はトランプ氏の思い通りには動かず

<DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライアン氏>

最も重要なのは、トランプ米大統領と議会の関係に関する見方を変えるという点だ。過去数カ月は、議会はトランプ大統領が求めることは何でもやるといった印象があった。しかし、明らかにこうした状況ではなくなるだろう。

●株価への影響は限定的に

<グローバル・マーケッツ・アドバイザリー・グループのシニア市場ストラテジスト、ピーター・ケニー氏>

バイオテクやヘルスケア関連銘柄に一定の影響が及ぶ可能性はあるが、株式相場全体への影響は限定的となると考える。

今回の動きは今後も大統領の目指す政策が過度に野心的な内容となり、議会での意見集約が困難になることを示唆しており、投資家の望むところではないだろうが、株式市場はこうした機能不全という要素を織り込むことになるだろう。そのため、今後の株式動向への影響は控えめとなる公算が大きい。

●次の焦点は税制改革、市場は前進好感

<シノバス・トラスト・カンパニーのシニアポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏>

予定されていた採決を控え懸念が広がっていたため、市場にはやや買い安心感が広がっている。

次の課題に向け前進する扉が開かれた。おそらく次の焦点は税制改革だ。市場は医療保険制度改革(オバマケア)の改廃よりも税制改革に関心がある。

先に進めることは素晴らしい。税制改革に取り組み、その後はインフラ法案だ。

●市場反応前向き、道筋明確化に期待

<パイオニア・インベストメンツ(ボストン)の通貨戦略責任者、パレシュ・ウパダヤ氏>

当初の市場反応は前向きな兆候を示すものだった。トランプ米大統領が、医療保険制度改革(オバマケア)代替法案を廃案にせず、再起の機会を与える意向と受け取っているようだ。トランプ氏が自身の政策課題の議会通過に向け取り組んでいると、市場は解釈したもようだ。それとも、医療改革を棚上げにすることになれば、トランプ氏が税改革に焦点を当てるととらえているのかもしれない。

ソーシャルメディアで、議員の投票行動を無理やり変えさせることはできない。古き良き形の政治活動が合意形成に必要だ。

医療問題から税問題に軸足を移すのなら、市場関係者らは今後の道筋を知りたいと考えているに違いない。

●トランプ期待は後退も、日本株の下値は固い

<東洋証券ストラテジスト 大塚竜太氏>

米医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案が撤回されたこと自体は直接的には米国の低所得者層のみにしか影響はないが、イメージがよくない。米トランプ政権に対する期待は完全になくなったわけではないが、後退はしている。税制改革関連の法案の行方を待つ状況だ。

だが、米国株式市場はトランプ政権への期待のみで上昇してきたわけではなく、堅調な米景気に支えられている。米国のファンダメンタルズは良好で、米株の急落の心配はないといってよいだろう。日本市場ではオバマケアの代替法案が通らなかったことのほか、学校法人森友学園の国有地払い下げ問題も投資家心理に影を落としている。

今後リスクオフの流れが続き、デフレ脱却に対して懸念が生じ始めたときは日銀は更なる緩和策に打って出てくる可能性がある。その場合、ETF(上場投資信託)の買い増しや社債の購入などを行うのではないだろうか。だが、為替が1ドル110円台を維持している間は問題なく、100円を下回ってくるような状況になった場合に行うと考えられる。

日経平均の目先の下値は堅く、旺盛な押し目買い需要や配当分の再投資に支えられ、1万8800円ほどと想定される。新年度入りすれば新規資金の流入が期待できるが、積極的にリスクを取れるような環境ではなく、盛り上がりに欠けるだろう。

●失望も短期的、大型減税策の期待で円高の修正も

<マネックス証券 チーフストラテジスト 広木隆氏>

先週末の米国市場は、トランプ大統領とライアン下院議長が会談するとのニュースが伝わった後に、オバマケア(医療保険制度改革)代替法案を巡る不透明感が広がり、ダウの下げ幅は一時120ドルを超えた。だが、法案撤回と伝わると下げ幅を縮めた。

ドル/円も一時110円台半ばまで下落したが、ニューヨークの引け値は111円台前半。週明けの東京市場では、そこからまた1円程度円高が進んだが、米国市場の時間帯で取引をするような投資家は、この間にはほとんどいないはずだ。

きょうの米国市場で、トランプ米大統領が改めて大型減税策に着手するというような表明をした場合、米国株は上昇し、為替もドル高/円安方向に戻るだろう。オバマケアの見直しよりも減税策を早く進めてほしいとの希望があった市場にとっては、かなりフレンドリーな動きでもある。トランプ政権の政策に対する失望で円高に進んだ相場が修正される展開は十分にあり得る。

日本株の「為替離れ」も進んでいる。為替が円高に振れながらも日本株は底堅く推移している。新年度に入ればニューマネーの流入が見込まれるうえ、来期の企業業績への織り込みが進めば、日本株と為替との連動はさらに薄らいでいくとみている。

●トランプ期待の剥落織り込む、リスク回避の円買い

<みずほ証券 チーフFXストラテジスト 鈴木健吾氏>

為替相場はトランプ政策への期待の剥落を織り込みつつ、リスク回避の円買いとなっている。

イスラム圏6カ国からの入国を規制するトランプ政権の大統領令がハワイ州とメリーランド州の連邦地裁に差し止められたこと、多くの官僚ポストが未だに埋まらず、政権人事が固まらないこと、オバマケア代替法案が撤回されたことなどで、市場はトランプ政策が上手くいかない可能性を織り込み始めている。

今後、減税プランが上手くいけばいいが、税制改革も国境課税等を含め、簡単に進むとは思えないものが多く、政権の機能不全が改めて確認されれば、景気刺激策自体への疑問がドル安を招く可能性がある。

市場参加者の間では、トランプ氏が全てを投げだして辞めてしまう可能性すら頭をよぎり始めている。

目先のテクニカルな下値目途は、200日移動平均線と52週移動平均線が集まる108円前半とみている。

●ドル/円は上値重い、米国からの新規材料待ち

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

トランプ米大統領が政策の目玉の一つにしていた医療保険制度改革(オバマケア)を撤廃する法案は、議会を通すことができなかった。一義的に、税制改革などほかの重要課題に着手できるというメリットはあるが、共和党内の分裂も明らかとなり、市場の期待に応える規模やスピードで実行に移せるのか不透明になった。

トランプラリー終了の可能性を意識してドルは上値が重くなっている。ただ、国内企業のリパトリエーション(資金の本国還流)が一巡し、4月以降の新規投資も始まる時期なので、ドルは節目の110円を割り込まず、下げ止まっている部分もありそうだ。米国サイドから新たな情報がなければ、ドル/円が上昇するポイントを探すのは難しい。

*内容を追加します。

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