October 5, 2015 / 3:44 AM / 4 years ago

予想下回る米雇用統計、年内利上げに疑問符:識者こうみる

[5日 ロイター] - 米労働省が2日発表した9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が14万2000人増にとどまり、伸びは市場予想の20万3000人増を大きく下回った。賃金も減少し、米経済が年内の利上げに耐え得るのか疑問符がつく内容となった。

 10月5日、9月米雇用統計の非農業雇用者数が14万2000人増と、伸びは市場予想の20万3000人を大きく下回ったことを受けて、米国の年内利上げ見通しが後退。写真は8月、ニューヨーク証券取引所(2015年 ロイター/Lucas Jackson)

米雇用統計とそれを受けたマーケットの見通しについて、市場関係者のコメントは以下の通り。

●米利上げ難しく、日銀の追加緩和観測後退なら年内ドル115円も

<三井住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子>

9月の米雇用統計は市場予想を下回り、8月分も大幅に下方修正された。米連邦準備理事会(FRB)は、完全に利上げのタイミングを逃したと言えるだろう。これから実施すると、FRBが米国の景気を減速させたと話が出てきかねない。イエレン議長も判断しづらくなった。

米国が利上げできないというところまでは見られておらず、日銀の追加緩和観測もあるので、ドル/円が急激に下落していくイメージはあまりない。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが強気見通しを維持できなくなり、日銀の追加緩和が当面ないという話が重なると、年内に115円程度までのドル安/円高もあり得る。

環太平洋連携協定(TPP)交渉が最終段階を迎えている。大筋合意に至った場合は個別株に反応があるかもしれないが、外為市場にはすぐに大きな影響はなさそうだ。

●日銀追加緩和期待の方が先行

<JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏>

9月米雇用統計の内容は良くない。昨年末から比較すると、就業率は横ばいのままであり、労働参加率の低下が失業率を押し下げているだけとも言える。この内容で雇用が順調とは言いづらくなってきているタイミングだ。

今後の米雇用統計の結果次第では、12月利上げの可能性がゼロではないが、今回の雇用統計を受けて年内利上げの確率が下がったとみている。

当面の米10年債利回りは、色々な指標を点検しながら2%近辺の推移が続くのではないか。ただ、1.9%割れに向け、一気に金利が低下するイメージは持っておらず、低位安定になりそうだ。

米債高を受けて、円債の10年最長期国債利回り(長期金利)は0.3%割れも想定できる。ただ、足元の円債市場の推移を見ると、日銀の追加緩和期待の方が先行している感じがあるので、日銀金融政策決定会合へ向けてどう動くかが注目される。

●短期的に株高で反応、米利上げめぐり不透明感続く

<パインブリッジ・インベストメンツ 執行役員 前野達志氏>

弱い米雇用統計で米利上げ時期が後退するとの見方は、短期的な株高材料にはなる。ただドル高に転じる時期も後退することになり、日本株にとってはそれほどいい材料というわけでもなさそうだ。米国経済については、今までみられていたよりは弱いと思わざるを得ない。流動性が供給され続けるというプラス面の一方、円高による悪影響と世界景気の減速が懸念されている。

10月の利上げがなくなっても、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、また市場がボラタイルな展開となることも考えられる。米連邦準備理事会(FRB)の利上げのタイミングをめぐる不透明感はもうしばらくは続くだろう。中国経済に対する懸念も横たわっている。一方、環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意できれば日本株にはプラスに働くだろう。すぐに企業収益に結び付く話ではないが、中長期的に企業の競争力強化につながるものとして、外国人投資家に好感される話となるとみている。

●12月の米利上げ確率低下=RBC

<RBCキャピタルマーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーセリ氏>

全般的に弱い内容で、表に現れていない部分も前向きに受け取れないものがある。単月の指標が金融政策の方向性を決定づけることはないが、米連邦準備理事会(FRB)は米国内の統計にとどまらず、ありとあらゆるデータに目を配っており、軟調な世界動向に今回こうしたさえない指標が加わったことで、12月の米利上げ確率は低下したと考えられる。

●強気派には大打撃、利上げ12月以降

<シチズンズ・フィナンシャル・グループの国際市場マネジングディレクター、トニー・ベディキアン氏>

米経済への強気派や連邦準備理事会(FRB)の早期利上げを想定する向きにとっては、ワンツーパンチを食らったような内容だ。

統計の発表を受け、利上げはおそらく10月はなく、12月の会合以降に先送りというのが市場関係者の全般的な見方だろう。

数カ月前から始まったリスクオフの動きが今後も続いても意外感はない。

●7・8月分の下方修正は驚き、回復鈍い

<エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、ケート・ウォーン氏>

9月の雇用者数の伸びが大きく下振れしただけでなく、7、8月分も上方修正ではなく、下方修正されたことは驚きだ。経済が従来の想定以上に弱いことは確かだ。

だがこれは景気停滞ではなく、以前のような鈍い成長ペースだ。消費支出の基調的な力強さは、引き続き成長ペースを過去6年の回復局面でみられた2%程度に押し上げるだろう。

第2・四半期に見られた力強い成長ペースがさらに加速してほしいと誰もが望んだが、そうはならない。

 10月5日、9月米雇用統計の非農業雇用者数が14万2000人増と、伸びは市場予想の20万3000人を大きく下回ったことを受けて、米国の年内利上げ見通しが後退。写真はロサンゼルスの就職フェア会場で6月撮影(2015年 ロイター/David McNew)

株価は下げているが、ほかに注意すべき点が2つある。1つは米連邦準備理事会(FRB)が今後数カ月に利上げする可能性がかなり下がったということだ。だが将来のいずれかの時点で、事実上のゼロ金利を解除するというFRBの意図を取り除くとは思わない。

また過去分の下方修正や成長鈍化を受けても、これはリセッション(景気後退)の前兆ではなく、これまでにもみてきた鈍く不安定な回復ということだ。

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