November 28, 2018 / 9:01 PM / 11 days ago

米FRB議長、利上げ終了の前倒し示唆か:識者はこうみる

[29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日、政策金利が中立金利を「若干下回る」水準にあるとの認識を示した。2カ月足らず前には、中立水準にはおそらく「程遠い」との見方を示しており、利上げ終了時期が早まった可能性を示唆したもよう。

 11月28日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、政策金利が中立金利を「若干下回る」水準にあるとの認識を示した(2018年 ロイター/CARLO ALLEGRI)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●利上げ継続に慎重、NY連銀総裁発言が鍵

<三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト 鈴木敏之氏>

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が言及し、市場が大きく反応した中立金利を「若干下回る(just below)」という表現は、27日の講演でクラリダ副議長も使っていた。

利上げが行われるであろう12月会合を前に、正副議長が続けて同じ表現を使ったということは、FRBが周到な準備を進めているとみられる点で重要だ。

30日には、同じく副議長を務めるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が講演を行う。どういった表現を使うかまだわからないが、中立金利が見えてきた中で利上げを続ければ、金融引き締めに入ってしまうので、そこまではまだ決めていないと、FRBは伝えているのだろう。

ただ、もし前日の市場反応がFRBの思い通りでなかったとしたら、ウィリアムズ総裁は表現を修正してくるだろう。前日の米株急騰を良しとするかは不透明で、ブレーキをかけるような言い方になるかもしれない。

次回の米利上げは12月と予想しているが、来年は3月の1回のみで終わる可能性も見ておく必要がある。

●日本株には中立か若干プラス、急激な円高見込みにくい

<大和住銀投信投資顧問 シニア・エコノミスト 門司総一郎氏>

日本株にとっては中立ないしは若干プラスとみている。為替が円高に振れる可能性があるので、そこはマイナス要因。一方で新興国通貨への恩恵は大きい。来年の米国の利上げ回数については、少なくとも2回はあると思うが、来年半ばの利上げ終了を織り込みにいく形になるだろう。ただ利上げ打ち止めという要因だけで、ドル/円が105円まで円高に振れるということも見込みにくい。

そもそも市場は好材料を無視しすぎていた。日本企業の決算は終わってみればまずまずだったが、一部の悪い決算発表に反応する形で日本株は割安感が強まっていた。貿易摩擦も、米中が交渉をするための項目を事前に出していること自体がプラスだ。トリガーさえあれば修正の動きとなりやすく、潜在的に株価が上昇する余地は大きい。20カ国・地域(G20)首脳会議で米中が完全に決裂したということにならなければ、イベントをこなしたことになり、日本株のさらなる上昇が見込まれる。

●マーケットは過剰反応

<みずほ証券 チーフ債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がFRBの利上げサイクルはこれまでの想定より早い時期に終了する可能性があると示唆。また、約2カ月前には政策金利は中立金利から「程遠い」水準にあるとしていたが、政策金利は予想される中立金利を「若干下回る」水準にあるとの認識を表明した。

FRBはこれまでも3%近くが中立金利だとしてきたことや、声明文から「緩和的」との文言が削除されるなどメッセージを出してきた。市場では講演内容はハト派的と捉えられたようだが、個人的にマーケットは過剰反応とみている。

パウエル議長の講演を受けて、米株式市場は強く反応したが、米債市場のイールドカーブはスティープ化したものの比較的小幅な動きにとどまったことから円債市場への影響は限られそうだ。

●将来的な利上げ回数の下振れ示唆、歓迎すべきこと

<クレセット・ウエルスアドバイザーズ(シカゴ)の最高投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は政策金利は中立レンジを若干下回ると指摘した。中立水準に近いと認めたわけで、将来的な利上げの回数が市場で考えられているほど多くない可能性が示唆された。文言が変更したことは確かで、投資家にとっては歓迎すべきニュースだ。

これによりリスク回避の妙味が薄れ、株式投資といったリスクテイクの魅力が増した。

政策調整を今日実施しても、その影響が感じられるまでにはしばらくかかるということにも注意を促す内容だった。ここから推定されるのは、FRBがかなり漸進的な姿勢を取るということだ。FRBは株式市場のボラティリティーにやや感度が高いようだ。トランプ大統領に耳を貸しているかどうかはわからない。

●利上げ休止示唆か、想定下回る可能性

<サントラスト・アドバイザリー・サービシズ(アトランタ)の米国マクロ・ストラテジスト、マイケル・スコルデレス氏>

政策の道筋をあらかじめ定めていないとの文言が重要だ。米連邦準備理事会(FRB)が必要なら(利上げを)休止するという、やや明確なシグナルを市場に送った可能性がある。データ次第という姿勢は市場が聞きたかったポイントだ。

(利上げは)機械的な操作で行うものではない。インフレ動向や成長指標、諸外国の動向はどうか。何か他の動向が鈍化すれば、想定したほど多く利上げを行う必要もない。2019年に(予想どおり4回の)利上げに踏み切るかは疑わしい。2、3回にとどまる可能性もある。

●利上げ、年内あと1回・来年2回となる可能性

<チャールズ・シュワブのトーレディング&デリバティブズ・バイスプレジデント、ランディ・フレデリック氏>

政策金利が中立金利を若干下回る水準にあるとのパウエルFRB議長の認識を受け、市場は金利が3%を超えることはないと解釈したと考える。

あと1回(0.25%ポイント)の利上げで、金利は2.5%となることから、来年の利上げは2回のみとなる見通しだ。これはトランプ大統領を満足させる可能性がある。

●市場やトランプ氏の要望に応えた格好

<ブルーダーマン・アセットマネジメント(ニューヨーク)のオリバー・パーシュ氏>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は今回の講演で、従来の金利見通しがおそらく積極的過ぎたと認めつつ、利上げペースの減速に含みを残した。そういう意味で、議長はまさに市場やトランプ大統領が欲しがっていたものを与えた格好だ。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げとともに、打ち止めに向け何らかの手掛かりが示されるだろう。声明では通商や関税と経済成長への影響に関する記述が増えると予想される。バランスシートの圧縮やその見通しの変化については依然不透明感が根強い。

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