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FRBが景気見通し引き上げ:識者はこうみる

[17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きと国債などを買い入れる量的緩和の継続を全会一致で決定し、景気支援に向けあらゆる手段を行使する姿勢を改めて表明した。同時に、新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうに従い、今年の米経済成長率とインフレは大きく上昇するとの見方を示した。

 3月17日、米連邦準備理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きと国債などを買い入れる量的緩和の継続を全会一致で決定し、景気支援に向けあらゆる手段を行使する姿勢を改めて表明した。同時に、新型コロナウイルス感染拡大が収束に向かうに従い、今年の米経済成長率とインフレは大きく上昇するとの見方を示した。 写真は2016年10月、ワシントンのFRB (2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●「ビハインド」戦略への転換を確認

<三井住友銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 森谷 亨氏>

FRB(米連邦準備理事会)の戦略が、プリエンプティブ(予防的)な対応から、ビハインド・ザ・カーブ的な対応に変わったことが改めて印象付けられる内容だった。巨額な財政出動によって、経済見通しが強くなるとしても、実際の結果がデータで確認できるまでは、引き締めに動かないということが示された。

こうした対応は、マーケット的にはひとまず株高要因になるだろう。バブル的な動きになるリスクもあるが、金利上昇を強くけん制しなかったことは、金利上昇が株高の調整要因になることを期待してのことかもしれない。

ドル/円は、米国が経済で世界をリードしている間は、しばらくドル高が続きそうだ。ただ、年後半は徐々に、他国も新型コロナウイルスのワクチン普及などにより、経済が上向く可能性がある。そうした局面では、巨額な政府債務など米国の負の面にスポットが当たり、ドル安圧力が高まると予想している。

●ドル安は一時的、米金利高で110円台へ

<みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト ⼭本雅⽂氏>

FOMC後に米長期金利が低下しドルも全般的に下落したが、それ以前に経済見通しの上方修正などを織り込んで大きく上昇していた反動であり、想定外のハト派化によるものではないと考えている。

実際FOMCの最新経済見通しは、GDP成長率、インフレ率、失業率と総じて強気な見方に転じており、2023年までの利上げを予想する参加者は、前回の5人から7人へ増加した。

長期金利の上昇についても、債券買い入れの加速姿勢は示されず、パウエル議長の黙認姿勢を再確認したかたちとなった。

米国のワクチン接種の進展、景気回復の継続、バイデン政権のインフラ投資を中心とした成長戦略策定などを受け、今後は米長期金利の上昇基調が再開し、それとともにドルは110円台へ向けて、じり高になるとみている。

●市場に安心感、現行利回り維持に寄与

<ウィーブルの最高経営責任者(CEO)、アンソニー・デニール氏>

これまで強い不安感から債券利回りが上昇していたが、経済見通しがかなり強い中でFRBの反応が非常にハト派的だったのは大きな安心感となった。

利回りが短期的にやや鈍化するか、そうでなくとも現行水準にとどまる一助になるだろう。

●ハト派的、新興国通貨にポジティブ

<UBSファイナンシャル・サービシズ(ニューヨーク)の米州新興国市場担当最高投資責任者(CIO)、アレホ・ツェルウォンコ氏>

FOMCの結果を受け、メキシコペソは約1%上昇した。ブラジルレアルなど他の通貨もほぼ同様の値動きとなっている。全般的にはそれほど劇的ではないが、新興国通貨市場にとってポジティブな材料となっている。

市場参加者は2023年のドットチャート(金利見通し)の中央値が1回の利上げになると予想していた。一部では2回の利上げを予想する向きもあったが、23年の見通しは利上げなしで据え置きだった。量的緩和(QE)に関するFRBの見通しも変わらず、ニュースがないことは良いニュースだ。

FRBはインフレ期待に関して、短期的にインフレ率が加速するとみているものの、中期的には引き続き2%に非常に近い水準を見込んでおり、これもハト派的だ。

●プロセスは段階的に、2013年と状況異なる

<HSBCのプライベートバンキング・ウェルスマネジメントのCIO、ウィレム・セルズ氏>

FRBがきょう発したメッセージは、段階的なプロセスになるというわれわれの見方と合致する内容だった。債券買い入れ縮小(テーパリング)への言及が市場を揺るがし、実質利回りが急激に著しく上昇するとともに株式や金、リスク資産が売り込まれた2013年とは状況が異なることを意味する。

依然として低水準にある利回り、非常にゆっくりとした段階的な政策の正常化、改善傾向にある経済見通しがリスク資産にとって引き続きポジティブな要素だと考える。

債券利回り上昇を受けて3月初めに売られたハイテク株や環境関連技術株は、安定化を図るFRBのメッセージの恩恵を受け、最近の値下がりが中期的には買いの好機になるだろう。

●声明が予想以上に楽観的

<レノックス・ウエルス・アドバイザーズ(ニューヨーク)のCIO、デビッド・カーター氏>

今回のFOMC声明は、予想より楽観的だった。FRBは経済成長と労働市場の見通しをともに引き上げた。市場では声明はかなり楽観的だったと受け止められている。

●インフレ期待上昇、全く懸念せず

<フィッチのチーフエコノミスト、ブライアン・クルトン氏>

FRBは、国債市場で示されているインフレ期待の上昇を全く懸念していないようだ。

FRBは経済活動を巡る指標が上向いたことに言及し、2021年の成長率見通しを(6.5%に)2.3%ポイント引き上げ、23年の失業率見通しを3.5%とした。それにもかかわらず、政策の軌道の変更は全く示唆されなかった。

ドットチャートでは、明らかな過半数(18人中11人)が23年末になっても利上げはないとの見通しを示した。事実がこれほどまで変化しているにもかかわらず、政策ガイダンスに全く変化がないことは、FRBの反応の仕方が変化したことを明らかに示している。

●早期利上げないと確認

<キングズビュー・インベストメント・マネジメント(シカゴ)のポートフォリオマネジャー、ポール・ノート氏>

FRBは経済が良好に推移していると認識しているが、早期に利上げしない姿勢を確認した。株式が買われているのはそうした態度を受けたものと考えられる。

債券利回りの上昇についてはリスク選好の表れと捉えている。

*内容を追加しました

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