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米議会封鎖、抗議のトランプ支持者が侵入:識者はこうみる

[6日 ロイター] - 昨年11月の米大統領選の選挙人投票集計が行われている連邦議会で6日、議事堂周辺に集まったトランプ大統領支持者の一部が警備を破り建物内に侵入した。これを受けて議事堂は閉鎖され、上下両院合同本会議の討議も中断された。

騒動を受け、上下両院の議員は避難。議事進行役を務めるペンス副大統領も上院を退出した。警察は侵入者に対し催涙弾を使用。地元メディアによると、1人が銃で撃たれ、建物内から搬送された。

混乱の発生を受け、首都ワシントンの市長はこの日の午後6時から翌日午前6時までの外出禁止令を発動した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●これが今の米国の実態、市場は冷静

<ウィズ・パートナーズ 最高投資責任者 石見直樹氏>

米ジョージア州の上院決選投票で民主党が勝ち、ブルーウエーブとのことで金利急騰、株高、ドル安となったが、その後トランプ大統領支持者が議事堂に侵入するなど暴動を起こしてやや戻した。まるで南アフリカかどこかの新興国の話のようだが、これが米国の実態だろう、もう戻れまい。それにしてもあんなに簡単に議会に入れるのかとも思うが、マーケットは比較的冷静だ。

選挙結果を受けて債券市場は暴落という感じだったが、これで財政政策が全く変わるわけではないし、現実的には今までの金利レベルが低過ぎたともいえ、個人的にはノーサプライズ。財政出動がしやすくなるし、昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、緩和基調ではあったものの、すぐ緩和強化ともなりそうにないから、しばらく金利はやや上向き基調になるかもしれない。インフレ期待も上がっている。

ただ、その中で長期金利がどんどん上がっていくと、株や社債に必ず影響が出る。まだ長期債買いは慎重な方が良い。米連邦準備理事会(FRB)は2023年まで利上げしないと言っているが、マーケットはいずれこれを(金利上昇で)試しに行くかもしれない。

だがその前に株が何か起こるだろう。株はリフレ政策で上がっており、実体経済が上向く中で株価も一緒に上がる必要はない、もう完全に織り込んでいるのだから。これから一緒に上がっていけばバブル感は強まる。その中で金利が上がったらやや危険、という感じだ。まだ大丈夫だろうが、金利上昇に株がどれだけ反応していくか注目している。

●混乱は数日で収束、金利動向が株価の鍵

<ピクテ投信投資顧問 シニアフェロー 市川眞一氏>

ペンス副大統領がバイデン氏の勝利を阻止できないとトランプ大統領に告げるなど、共和党内部の動きから、これ以上の抵抗は難しい状況となり、米国で起きている混乱は数日以内に収束するとみている。一方、バイデン新政権については、ジョージア州における民主党の勝利によって「大きな政府」により傾斜することになるだろう。これには、経済対策の大型化が期待できるプラスの側面と、長期金利の上昇、その先に見えるキャピタルゲイン課税など増税が懸念されるマイナスの側面が生じる。

昨年11月の米大統領選の選挙人投票集計が行われている連邦議会で6日、議事堂周辺に集まったトランプ大統領支持者の一部が警備を破り建物内に侵入した(2021年 ロイター/JIM URQUHART)

コロナ禍で産業構造が転換する中、いかに成長分野に資金をシフトさせるかが重要になるが、そこでの金利上昇はマイナスだ。株式市場が余剰資金に支えられる構造は変わらないとみられるが、金利が上昇した場合、これまで相場をリードしてきたグロース株を抑える要因になる。従って、当面は長期金利を見極めることがポイントになろう。米株のシャドーマーケットの状況にある日本株も、米金利動向が鍵となる。

●ねじれ議会解消、米経済政策の転換点に

<ソニーフィナンシャルホールディングス シニアエコノミスト 渡辺浩志氏>

ねじれ議会を想定していた市場参加者も多いだけに、今回の「トリプルブルー」はサプライズ。米国の経済政策の転換点になるのではないか。バイデン政権が大規模な財政出動を行い国債が増発されるとの見方から、金利が急騰している。ただ、金利上昇が止まらなければ、景気や株式市場へ大きな影響が出てくる可能性も高い。

トランプ派によるデモなど、政治の混乱は警戒されるところ。経済格差や貧富の格差がさらに広がるという米国民の不満が高まっている。

短期的には金利の上昇による株式市場の乱調が予想される一方、長期的には政策期待が高まり、バブル相場が加速するとみている。ただ、今後新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かえば、財政出動や金融緩和が市場に許容されるかという疑念もある。予期せぬ金利上昇やインフレが意識される可能性もあり、金利の動向とそれに対する市場の見方が今後の注目点になるだろう。

●ブルーウェーブ」効果を抑制 

<三井住友銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 森谷 亨氏>

米ジョージア州上院決選投票の結果、民主党が上下院を制することになり、民主党が主張する政策は通りやすくなった。現状で、それほど大規模な財政拡大を行う必要があるのか、また、その財源として富裕層や企業への増税を行うのかなど、見極めが必要な点が多くあるが、ひとまず政策実現性は高まったといえる。

しかし、首都ワシントンの連邦議会で、トランプ大統領支持者が議会を占拠するなど、大きな混乱が起きていることで、不透明感が強まった。議会の審議がストップするようであれば、政策実現にも時間がかかるだろう。

金融市場では、「ブルーウェーブ」実現で、金利スティープ化、ドル安、株高を見込む声が多いが、ワシントンでの混乱が続くようであれば、少なくとも株価にはネガティブな影響が出るとみている。

●市場の反応控えめ、バイデン氏が次期大統領

<インバーネス・カウンセル(ニューヨーク)のチーフ投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏>

大勢のトランプ大統領支持者が連邦議会に侵入したものの、市場の反応はかなり控えめで、相場は大幅に値下がりしておらず、買いの動きも見られる。

革命さながらの状況だが、いずれ収束し、バイデン氏が次期大統領に就任すると市場は言っているようだ。経済や金融、政治システムへの影響もなく、実際に革命が起きたり、政府が占拠されているわけではない。

ただ、状況がエスカレートした場合、相場はさらに下落する可能性がある。

●見せかけのショーに過ぎず

<ダコタ・ウエルスのシニアポートフォリオマネジャー、ロバート・パブリク氏>

大ごとだとは思っていない。抗議は警察によって抑えられ、選挙人投票の集計を受けてバイデン氏の次期大統領就任が認定されるだろう。議会襲撃というばかげた行動は見せかけのショーだ。

市場をやや後退したが、ネガティブな環境に変化するとは思えない。少なくとも共和・民主両党が上院で約50議席ずつになることは、現時点で米国がいかに分裂されているかを示している。

投資家への影響はないだろう。投資に向けた道に穴は開いたが、スピードが抑制されることはない。

●一時的なイベント、市場への影響軽微

<クレセット・ウエルス・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)ジャック・アブリン氏>

これが「リスクオフ」イベントだと考えるのは難しい。持続するトレンドとは見ていない。不満を持った有権者は明らかに一線を超えたが、一時的なイベントだと考えている。市場に影響が及ぶのはほんの数時間にとどまるだろう。

*内容を追加しました。

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