September 18, 2019 / 8:52 PM / 3 months ago

米FRB、予想通り0.25%利下げ:識者はこうみる

[18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75─2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定した。利下げは前回7月に続き、今年に入ってから2回目。今後の金融政策の行方についてはまちまちのシグナルを発した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<大和総研 シニアエコノミスト 小林俊介氏>

今回の25ベーシスポイントの利下げ決定は想定内でサプライズはなかった。ただ、当局者の金利・経済見通しは割れており、米連邦準備理事会(FRB)の苦悩もうかがえる。年内10月、12月に利下げがあるかどうかは五分五分になってきた印象だ。

ドットチャートをみると、 政策当局者17人のうち7人が今年もう1回の利下げとの見通しを示す一方、5人は金利据え置きを予想。5人は年内に利上げが必要になるとの見方を示した。一部の当局者がなびけば利下げでまとまらない状況が明らかとなり、声明文とドットチャートが出てきたところでは、市場はタカ派的な印象を受けた。

一方、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見はややハト寄りだった。今後リスクが顕在化しそうなら調整するという発言が前回に続いて出てきたほか、早い時期にバランスシートの拡大を再開させる必要が出てくる可能性があると述べるなど、やや緩和の方向への転換をにおわせてきた。タカ派的な印象を、ハト寄りの議長の発言が相殺したかたちとなった。

年内に追加利下げをするかどうか、どちらに転んでもおかしくはない。利下げ反対派や利上げ派はハードデータの強さを重視している。コアCPIは上昇してきているし、原油価格が上昇する可能性も出てきたことを踏まえると、追加利下げに懐疑的な見方につながる。一方、利下げ派は、米中対立など先行きのリスクを織り込むかたちでセンチメントが悪化し、ハードデータの悪化につながる可能性があるとみている。

単純化してしまえば、次のFOMCの直前に米中の通商交渉が決裂したら利下げに追い込まれ、逆に交渉継続や妥結ということになれば、利下げはないという状況だ。米中摩擦が激化したら株安・債券高、良いニュースが出てきたら株高・債券安という流れで、債券と株のペアトレードがしやすくなった。

<アライアンス・バーンスタイン 債券運用調査部長 駱 正彦氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)では予防的利下げを行ったことを確認できた。全体的に中立からややタカ派寄りの印象だ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は8月会合での反省を踏まえて、「サイクル半ばでの調整」という文言を避けながら、慎重に記者会見に臨んだ。米国経済については悲観的な見方を示しておらず、経済指標次第で対応するという文言を使うことで、リスクマーケットには不確実性を与えずに、経済が鈍化した場合は対応するとの姿勢を示した。われわれは、経済が今後やや鈍化してくると予想しており、FRBは年末までにあと1回の追加利下げを行うとみている。

米中貿易摩擦問題については、10月1日の中国の国慶節(建国記念日)までは鎮静化するとみており、ややポジティブなトーンが出てくる可能性がある。このため、米債券の売り圧力が強まる可能性があるが、米10年債利回りは2.0%までの上昇にとどまるだろう。米中貿易問題については、楽観的に考えても最低限のディールにとどまるとみており、金利上昇を抑える要因となる。

きょうは日銀金融政策決定会合を控えるが、欧州中央銀行(ECB)もFRBもそこまでハト派的な姿勢を示さなかったことから、日銀もおそらく前回と同じトーンを維持しつつのぞむのではないか。われわれは、ドル/円が100円を割らない限り、日銀が追加緩和に踏み切らないと想定している。黒田日銀総裁が懸念を示していた超長期債の金利水準についても、短期的には米金利につれて上昇していくだろう。10年最長期国債利回り(長期金利)は当面、マイナス0.10-マイナス0.20%の間で推移するとみている。

<オックスフォード・エコノミクス在日代表 長井滋人氏>

0.25%の利下げは予想通り。FRBは10月と12月にも0.25%引き下げ、昨年実施した4回の利上げを全て巻き戻すと予想している。

声明のフォーワードガイダンスは不変で、ドットチャートは今後の利下げを示していない。市場予想より先行きの緩和に慎重な姿勢を示したのは、FOMC内で見方が分かれていることを示している。

来年の米景気後退確率は4割程度まで高まったとみている。現在は企業収益の悪化が進む中で、利下げ期待で株価やクレジット・スプレッドなどが、どうにか維持されている状況だ。米中貿易戦争の先鋭化に対する市場心理の悪化リスクが高まってきたことに注目している。

利下げが不確実性に対する保険的な位置づけで行われていく限り、外為市場が既に織り込んでいる以上のものではなく、一段のドル安や円高が進む懸念は乏しい。ただし、景気後退の可能性がより明確になってくれば、円高リスクは高まる。

今後バランスシートの拡大を再開することがあっても、それは短期市場の流動性逼迫への技術的対応で、金融緩和策としての量的緩和(QE)再開ととらえるべきではない。

<アリアンツ・インベストメントマネジメント(ミネアポリス)のシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏>

0.25%利下げは予想通りだったが、決定に際し委員2人が金利据え置きを主張し、1人が大幅利下げを求めたことは非常に興味深い。これは金融政策の行方を巡ってFRB内で意見が分かれていることを示している。FOMCメンバーの政策金利見通し分布(ドット・チャート)について、市場はあまり納得していないようだ。

<インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの意見は大きく割れており、FRBが会合ごとに決定を下す構図が浮き彫りとなった。

17人中7人のメンバーが年内あと1回の追加利下げを主張する一方、一部メンバーは今回の利下げに反対した。今後毎回の会合で活発な議論が繰り広げられることになるだろう。

FRBの今後の政策は経済指標そして通商政策次第となる見通しで、次の動きは明確でない。

<BライリーFBRのマネジングディレクター、マーク・グラント氏>

利下げ決定は予想通りだった。「政策のサイクル半ばでの調整」というパウエルFRB議長のスタンスが、今回の決定を導いたようだ。トランプ大統領は今後のFRBの道筋に満足しないだろう。

声明では、米政策金利が欧州や日本よりも高く、それに起因する米経済への影響について言及してない。ドルや米企業への悪影響について、意図的に触れないようにしているかのようにみえる。

<ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズ(ワシントン)のシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏>

FRBは世界的な向かい風から米経済を守るために追加利下げを決定し、タカ派的な緩和だったと言える。FRBが示した新たな見通しのトーンは、世界的なリスクにもかかわらずおおむね健全だった。この結果、ドルはこのところの高値から大きく下げることはないとみられる。

米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開いた連邦公開市場委員会で、フェデラルファンド金利の誘導目標を1.75─2.00%に引き下げることを7対3で決定した。写真は会見するパウエル議長(2019年 ロイター/SARAH SILBIGER)

<チルトン・トラスト(ニューヨーク)の最高投資責任者、ティム・ホラン氏>

市場が期待したよりややタカ派的な決定だった。政策決定者の中にさまざまな意見があることが確認されたと考える。パウエル議長はコンセンサスをまとめようと努めており、貿易問題が解決されず、世界成長が明らかに鈍化していることを認めつつ、中期的な経済に対するリスクの存在を認識している。

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