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米FRBが金利据え置き:識者はこうみる

[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は10─11日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。来年の米大統領選まで緩やかな経済成長が続き、失業も低水準にとどまるとの見方を示し、金利が現行水準にとどまる公算が大きいことを示唆した。

米連邦準備理事会(FRB)は10─11日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド金利の誘導目標を1.50─1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。ワシントンのFRB本部で3月撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<マニュライフ・アセットマネジメントのシニア債券トレーダー、マイケル・ロリジオ氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが前回の会合以降示してきた認識の大半を裏打ちし、現在の金融政策スタンスの再調整が必要となるほど情報が大きく変化するまで、現行スタンスを維持する姿勢を再確認したと言える。見通しを巡る「不透明性」という文言の削除を踏まえ、景気判断は幾分ポジティブと言えるかもしれない。

<ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツの首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏>

米連邦準備理事会(FRB)は慎重ながらも楽観的な姿勢を明示した。声明や見通しのトーンは、景気低迷に備え十分な保険を掛けたとの確信を示唆している。

利上げに向けたハードルは依然、追加利下げのハードルよりも高いが、総じてFRBは景気見通しに一定の自信を示し、インフレが長期的に圧迫されると予想している。

市場の期待を大幅にシフトさせるような材料はさほどない。

<キングズビュー・アセットマネジメント(シカゴ)のポートフォリオマネジャー、ポール・ノルト氏>

声明は前回のコピーのようで、予想はされていたが「退屈」な内容だったと言える。このため、市場では大きな反応はなかった。

経済見通しがやや上方修正されたため、数人のメンバーが来年利上げが必要かもしれないと主張したのは普通だが、状況はすぐに変わる。

米連邦準備理事会(FRB)が他より先行きの見通し判断に優れているわけではない。データを元に判断すると言っているが、皆そうしている。われわれはFRBを含め、データが出れば予想を調整する。

FRBは利上げを真剣に検討する前にインフレがやや高進するのを容認しているが、コモディティー(商品)価格全般に目を向けると、前年比では比較的横ばいで推移している。

<インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏>

予想通りだったが、退屈だとか変化がなかったなどと受け止めるべきではない。利上げに向けたハードルは高いとみられ、当局者の金利見通しを示す「ドットプロット」では、2020年の利上げがないことが示された。これは非常に重要で、株式などリスク資産にとって非常にポジティブだ。

過去数十年間の金融政策を巡る状況を考慮すると、失業率が3.5%と低い状況の中で来年の利上げが想定されていないのは驚きに値する。

ドルへの影響について言及するのは難しいが、他の中銀の動向が不明なため、一般的にはドルはレンジ内で推移しつつも足元の水準を維持するだろう。現在の環境下ではドルの大幅上昇も大幅下落も想定しにくい。

<RBCウェルス・マネジメント(ミネアポリス)のフィクスト・インカム・ストラテジスト、トム・ギャレットソン氏>

おおむね予想通りで、市場の期待もさほど高くなかったことから、すべてのチェック項目をクリアした格好だ。FRBのビクトリーランと言える。

声明から「不透明感(uncertainty)」の文言を削除したことで、FRBは実質的に、現時点で利下げの可能性がほぼないことを示した。これによって、来年の見通しがある意味強固になった。

米10年債利回りは2%が来年の上限になると予想する。FRBの金利据え置きに伴いイールドカーブは比較的フラットな状況が続くだろう。景気拡大の終盤にきていることを踏まえると、イールドカーブのスティープ化には限界があるとみている。

<三井住友銀行・チーフストラテジスト、宇野大介氏>

今回のFOMCは、来年にかけて緩やかな経済成長が続くとの見方を示す一方で、来年は政策金利を変更しないという姿勢を強く示したことで、全体として不自然な印象を受けた。

政策金利は予想通り1.50-1.75%に据置かれ、パウエル議長は「世界情勢、および現在見られているリスクにもかかわらず、FRBの経済見通しはなお良好」と胸を張った。

その一方で、政策金利見通しでは、来年一年間を通して政策金利の現状維持を主張するメンバーが大半を占めた。さらに、パウエル議長は「利上げの必要性は低下している」と念を押した。

経済が「良い状況」(パウエル議長)にもかかわらず、ハト派転向した背景には、9月の短期金融市場で起きたドル金利の急騰と、それを抑え込むために実質的な量的緩和第4弾に着手せざるを得なくなったこと、そして、今後も金利急騰を制御できるのかに関してFRBに自信がないことがあるとみている。

記者会見で議長に対する質問も、FRBによる短期金利のコントローラビリティー(制御可能性)に集中していた。

FRBとしては、一旦、金利変更を小休止し、態勢を整えて、短期金利の動きをモニタリングしていきたいということなのだろう。

パウエル議長は、今回のドルの短期金利急騰について、金融監督・規制面の制約が要因となった可能性があるか検証しているとし、フェデラル・ファンド(FF)金利の不安定な動きを最小限に抑えるためルールを見直す用意があることも明らかにした。

今回のドル金利急騰が一過性のものでないとすれば、金融緩和の継続は望ましい。

しかし、金利急騰の根本的な原因が、長年続く量的緩和とその結果膨張した民間債務という構造問題にあるとすれば、緩和継続は不要であるばかりか、利上げしないことがリスクである。

FRBは前進も後退もできない袋小路に迷い込んでしまった。

*コメントをさらに追加します。

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