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24年ぶり円安146円:識者はこうみる

[東京 12日 ロイター] - 12日の外為市場でドルは146円台まで上昇。政府・日銀が円買い介入を実施した9月22日の高値を突破し、1998年8月以来約24年ぶりのドル高/円安水準を更新した。市場関係者の見方は以下の通り。

12日の外為市場でドルは146円台まで上昇。政府・日銀が円買い介入を実施した9月22日の高値を突破し、1998年8月以来約24年ぶりのドル高/円安水準を更新した。資料写真、ドルと円の紙幣、2017年6月撮影(2022年 ロイター/Thomas White)

<あおぞら銀行 チーフ・マーケット・ストラテジスト 諸我晃氏>

足元の円安進行は、円売りというよりも、米国のインフレ抑制に向けた利上げ期待からの米金利上昇や英ポンドやユーロに対してドル買いが進んだことが背景にある。

政府・日銀による円買い介入警戒感から上値が抑えられる展開が続いていたが、短期筋主導でストップロスを巻き込んだ格好で前回介入に踏み切った水準の145.90円付近を抜けた。

146円台にはオプションのノックアウトトリガーがあったとみられ、それに絡むオプション・ディラーの売買が加わり、仲値にかけてはもみ合いとなった。その後は投機的な仕掛けが入りつつあるとみられ、ドル/円は上昇している。

投機的な動きで146円半ばを試すような動きが出てくると、円買い介入がいつでてきてもおかしくはない。介入が入れば、ドル/円はいったんを下を試す動きとなるものの、ドル買い圧力が強いため、ドル/円は高値もみあいとなるのではないか。

あす発表される米消費者物価指数(CPI)で市場予想を上回る伸びが確認されればドル高圧力が強まりやすい。ただ、足元の米2年債利回りはすでに高水準にあり、実際に利上げ加速に対する期待が高まったとしても、金利上昇は限定的となるとみている。

今後米国の景気悪化懸念から米長期金利を中心に上値を抑える可能性があるとみられ、今のドル高局面をいかにしのげるかが焦点となりそうだ。

<野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏>

最近の鈴木俊一財務相の発言から読み解けるのは、日本の円買い介入は米国やその他の国々から積極的な支持を得ていない、ということだ。事前に米国は認めたはずだが、それは仕方なくしぶしぶだったのだろう。鈴木財務相の「一定の理解を得たと思う」という、奥歯に物が挟まったような表現から、それをうかがい知ることができる。

財務相が、今回の20カ国(G20)財務相・中銀総裁会合でドル独歩高への対応が議題になると述べている点も重要だ。主要各国はドル高の弊害、自国通貨安による物価上昇圧力の高まりや、資金流出による金融市場の混乱などについて強い警戒心を持ち、米国の金融政策に強い不満を募らせている可能性を示唆している。

各国の批判の矛先は、為替介入を実施した日本ではなく、ドル独歩高を黙認する米国に向かうかもしれない。それに米国が応じない場合、自国通貨安を回避するための単独介入が主要国の間に広がり、国際協調が大きく揺らぐおそれがある。

そうした批判が、いずれ米国の急速な利上げを一定程度、制約することも考えられる。今回のG20は市場で注目されるものとなりそうだ。

<マネックス証券 チーフFXコンサルタント 吉田 恒氏>

今晩に9月米卸売物価指数、あすは9月の米消費者物価指数、と物価関連指標が相次いで発表されるのを控えて米金利が上昇しており、ドル/円を押し上げている。英中銀のベイリー総裁が緊急国債買い入れ措置を延長しない方針を示したことで、ポンド安・ユーロ安が進み、ドルが押し上げられていることも要因だ。

日本当局が為替介入を行うとすれば、1998年の高値である147円60銭を超えたときだろう。それまでは、相場がよほど不安定化しなければ、介入しないとみている。2010年9月に円売り介入を行った後、2011年3月まで介入は見送られた。東日本大震災後に円高が急激に進むまで、相場が膠着していたためだ。当局は、今回も同じような判断をするとみている。

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