[ニューヨーク 26日 ロイター] - 米国、英国、欧州、カナダは26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間の送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意した。ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの新たな制裁措置の一環。制裁にはロシア中央銀行の外貨準備に関する規制も含まれ、数日中に実行する。
市場関係者に見方を聞いた。
●全取引停止なら日本のGDP1.1%減
<野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏>
対ロ経済制裁によりロシアとの貿易が全て停止する最悪の場合、エネルギー価格の急騰や円高・株安により、日本経済には国内総生産で1.1%程度の下押しになると試算している。
原油価格がバレル140ドル程度まで上昇し、円高・株安が進むとの想定だ。
今回のSWIFT排除のステートメントを読むと、ロシアの全ての銀行が対象となっているわけではない。SWIFTを利用しない決済手段もある。このため、日本経済へのインパクトも上記の最悪ケースの試算ほどにはならないと考えられる。
●米市場の最悪期は過ぎた可能性
<ブライト・トレーディングのトレーダー、デニス・ディック氏>
世界中が物理的な介入を行わずに、ウクライナで起きていることを是正、または少なくとも食い止める方法を模索している。
派兵を避けるためにできるどんな対応も、米金融市場はおそらく肯定的と見なすだろう。ウォール街にとって最悪期は過ぎ去ったのかという点では、そうかもしれないと思う。
●ルーブル市場に大惨事
<元ロシア中央銀行副総裁、セルゲイ・アレクサシェンコ氏>
(SWIFT排除は)週明けのロシア通貨市場に大惨事が起こることを意味する。取引を停止し、ソ連時代のように為替レートが人為的に固定されるだろう。
この制裁がどのような条件で全て解除されるのかが明確でないため、1991年のロシア金融危機よりはるかに悪い状況と言える。最も強力な決定で、間違いなく正しいと考える。
●金融市場に大きな衝撃
<OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏>
イランに起きたこと、イラン経済への壊滅的な影響と比較されることになるが、週明けの世界の金融市場に大きな衝撃を与えるだろう。
多くのトレーダーは、米国と欧州が強硬姿勢を取らず、目先の経済的状況を守ることに集中し、金融システムに大きな打撃を与えないと、ある意味確信し始めていた。
今回の措置は消化するのがかなり難しく、多くのトレーダーは神経質になるだろう。先週後半に起きたリバウンドの大部分が試されることになる。
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