March 2, 2018 / 3:57 AM / 7 months ago

トランプ大統領の関税方針で株安・円高進行:識者はこうみる

[東京 2日 ロイター] - トランプ米大統領が鉄鋼輸入品とアルミニウム製品に関税を課す方針を来週発表すると表明したことを受け、米国株市場でダウ、ナスダックが大幅下落。東京株式市場でも2日、幅広く売りが先行した。ドルも一時105.93円まで下落し、2月16日以来、半月ぶりの円高水準をつけた。

 3月2日、トランプ米大統領が前日に鉄鋼輸入品とアルミニウム製品に関税を課す方針を来週発表すると表明したことを受け、東京市場では株安と円高が進行。都内で9日撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

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市場関係者の見方は以下の通り。

<BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン 日本株式運用部長 王子田賢史氏>

前日の米国株の下落については関税以外の要因はないだろう。だが直接的に米国株にとって本当にネガティブな話かというと微妙なところだ。アジア株にネガティブだというのは分かるが、トランプ大統領が守ろうとしている業界は明らかに株式市場のメーンストリームではない。

ボラティリティーが下がり切らず、市場がまだ落ち着きを取り戻していない中で、悪材料が出ると値幅を伴って下落してしまう。今回は関税の話が売りの口実となった感じもある。ファンダメンタルズが崩れず、一時的な株価調整だとすれば、月内には市場は落ち着きを取り戻すのではないか。日経平均が1万9000円台まで下落するような展開はイメージしにくい。ドル建てでみれば、海外投資家は(日本株の下落では)それほど痛手を受けている訳ではない。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長 藤戸則弘氏>

きょうの株価の大幅安の根底にあるのは、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派な議会証言だ。米長期金利の上昇を眺めて、米ダウは過去3日間で1100ドル下げた。現状の景気は強く、インフレ率は上昇する見込みで、最近の相場の乱調は実体経済に影響しないと述べた。

金融経済情勢は本来、グレーの部分がある。グリーンスパン元議長のように、リスクヘッジする文言を散りばめて結局、何が言いたいのか市場で解釈が揺れるというのが過去のFRB議長の通例だ。ところが、パウエル氏は弁護士出身なためか、論旨一環、明瞭に述べた。イエレン前議長のハト派路線を継承するとみられていたのが一転、市場は年4回の利上げを一気に織り込みにいっている。足元では、12─1月に新築・中古とも住宅統計がマイナスとなっており、長期金利上昇のネガティブ影響が見受けられる。オートローンによる自動車業界への悪影響もしかりだ。

リスク警戒が高まっていた中で、トランプ米大統領の保護貿易主義スタンスが追い打ちをかけた。さらに鉄鋼やアルミで関税引き上げとなれば、ユーザー企業はコストアップするため、その分を企業が負担するか、最終価格に転嫁するしかなくなる。前日の米市場では、鉄鋼株が買われた一方、自動車などユーザー企業の株価が下落した。今は中国やメキシコに向かっている米国の矛先が、日本に向かないとは限らない。これまでにトランプ大統領は、日本が自動車輸入に関して非関税障壁を設けているとの認識を示している。

──関連コラム:鉄鋼・アルミ関税でトランプ大統領が掘る「墓穴」

欧州での政治リスクもくすぶっており、目先の日経平均は、年初来安値の2万0950円を巡る攻防が焦点だ。これを割り込むなら、いったん2万円をうかがう場面もあり得る。アルゴリズム売買によって、一方向の流れが強まりやすいためだ。ただ、日本株はバリュエーション面から見て引き続き割安だ。年度が切り替われば外国人投資家が改めて日本株投資に積極的になる傾向もある。短期的には慎重にならざるを得ないが、4月以降の中期的な視点を踏まえれば、今の株安は買い場といえるだろう。

<シティグループ証券 チーフFXストラテジスト 高島修氏>

トランプ米大統領の関税賦課方針表明を受けて、市場では米国株が急落。米金利が低下する中、為替市場ではドル売りが優勢となっている。

ただ、今回の発言で重要なのは、トランプ政権が中国との全面衝突回避に努めた点だ。2月の商務省提言には、特定国に大幅な追徴課税を課す選択肢もあった。中国を特定した制裁措置が回避され、中国の面目が保たれるようであれば、米中両国が通商摩擦で正面衝突する事態は回避されるだろう。

こうした情勢を考慮すると、中国など世界の外貨準備運用担当者が米国債投資を減らし、米金利が上昇するとの不安心理は後退に向かい、基本的には米株の上昇要因になると考えている。

それでも足元で市場が動揺、特に米国株が大きく崩れたのは、前月のVIXショックの余波が残っているためではないか。関税賦課方針はすでに判明していた話。関連ファンドなどに処分売りのきっかけを与えたにすぎないともいえる。

ドルは金利低下とリスクオンの流れに乗って、下落基調に復帰する公算が高まった。ドル/円は当面、直近安値の105.54円を試すだろう。割り込めばファンダメンタルズ的な意味合いはないが、従来の値動きから判断して、103円半ば程度までの円高を見ておく必要がある。

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