[25日 ロイター] - 米半導体大手インテルINTC.Oが25日発表した第3・四半期決算(9月29日まで)は、利益と売上高が市場予想を上回った。利益率の高いデータセンター向け事業が好調だったほか、パソコン(PC)向け半導体の需要が強かった。
同時に示した第4・四半期の業績見通しも予想を上回った。株価は引け後に6%急伸。半導体業界では米テキサス・インスツルメンツ(TI)TXN.O、仏伊系STマイクロエレクトロニクスSTM.BN、韓国のSKハイニックス000660.KSが先行きの需要鈍化を予想するなどこのところ暗いニュースが続いていたため、インテルの発表は投資家にとって安心材料となりそうだ。
第3・四半期のデータセンター事業の売上高は25.9%増の61億4000万ドルで、ファクトセットの予想である58億9000万ドルを上回った。PCメーカー向けの半導体を手掛ける顧客コンピューティング部門の売上高は15.5%増の102億3000万ドル。予想は93億3000万ドルだった。
純売上高は18.7%増の191億6000万ドル。
純利益は64億ドル(1株当たり1.38ドル)で、前年同期の45億2000万ドル(同0.94ドル)を上回った。特殊要因を除く1株利益は1.40ドルだった。
リフィニティブがまとめたアナリスト予想平均では、調整後1株利益は1.15ドル。売上高は181億1000万ドルだった。
第4・四半期は売上高が190億ドル、調整後1株利益が1.22ドルになるとの見通しを示した。リフィニティブのデータに基づくアナリストの予想平均は売上高が184億ドル、1株利益が1.09ドル。
同社の決算はまた、米中貿易摩擦や中国経済の減速による世界的な半導体事業への悪影響についての懸念を和らげる内容となった。
インテルのデータセンター向け事業の大口顧客には中国ネット検索大手の百度(バイドゥ)BIDU.Oが含まれており、中国には消費者向けPCの工場が数多くあるが、ボブ・スワン暫定最高経営責任者(CEO)は、貿易摩擦や中国景気による短期的な影響は見込んでいないと述べた。
スワン氏はロイターに対し、「米国内の中国系顧客や世界(のPCメーカー)と協力して供給網上の制約に対応するための調整を行う」と語った。
一方、スマートフォン(スマホ)向けモデム事業も第3・四半期の業績に寄与した。モデム売上高は131%増。米アップルAAPL.Oの最新型「iPhone(アイフォーン)」で、従来の供給業者である米クアルコムQCOM.Oに代わりインテル製のモデムが搭載されたことが背景にある。
ただ、スワン氏は、モデム販売はインテルの利益率を圧迫しており、第4・四半期の営業利益率見通しを34.5%に引き下げた一因になったと説明した。
PCメーカー向け半導体の販売はこれまで数四半期にわたり上向き傾向を示してきた。企業の多くは、米マイクロソフトMSFT.Oが「ウィンドウズ7」のサポートサービスを2020年に終了すると発表したことを受けて買い替えに着手している。
エラザー・アドバイザーズのアナリスト、チャイム・シーゲル氏は「消費者向けと企業向けの両方でパソコン需要は強くなっており、これが寄与している。インテルは一部の供給問題にも見事に対応してきた」と述べた。
同社はブライアン・クルザニッチ前CEOが6月に辞任したことを受けて次期CEOを探しを継続している。
*内容を追加します。
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