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焦点:金利上昇を警戒する日本株、長期1%で日経1800円安の試算も

[東京 23日 ロイター] - 金利上昇に対する警戒感が日本株市場で強まっている。日銀による追加政策修正観測はいったん後退したが、円金利の水準は依然高い。金利上昇メリットを受ける銀行株などの上昇が目立つ一方、株価全体でみれば、国債などと比較した相対的な割高感や円高による株安圧力が高まりやすい。長期金利が1%に上昇すれば日経平均は1800円超下落するとの試算も出ている。

 1月23日、 金利上昇に対する警戒感が日本株市場で強まっている。都内で2022年12月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

<「日銀ショック」後は日本株軟調>

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、日本の長期金利が20日の0.4%から1%へと上昇する場合、他の条件が変わらなければ、日経平均で1836円、TOPIXで134ポイント、それぞれ下押し圧力がかかると試算する。

昨年12月20日に日銀が長期金利の許容変動幅を上下0.25%から0.5%に拡大した際、日経平均は約2週間で1520円下落、TOPIXは67ポイント低下した。その間、米ダウは512ドル上昇しており、円高を含めた金利上昇による影響が大きかった可能性がある。

日本では、この10年、日銀の大規模金融緩和による低金利環境が継続してきたことから、金利と株価の関係に対する意識は薄かった。しかし足元では、4月に黒田東彦日銀総裁の任期満了が迫り、イールドカーブ・コントロール(YCC)など金融政策の枠組み転換への思惑が浮上している。

「今後、日本株市場でもイールド・スプレッドが意識されてくるかもしれない」と、国内運用会社のファンドマネージャーは身構える。イールド・スプレッドとは、債券と株式の利回りの差のことで、一般的に、縮小すれば株式の割高感が強まり、リスクの高い株式から債券へと資金シフトしやすいとされる。

<景気後退懸念下での金利上昇>

株価は金利との関係だけで決まるわけではない。景気回復を背景とした金利上昇であれば、株価は企業業績の改善を織り込み上昇する可能性がある。

日銀は福井俊彦総裁当時の2006年、量的緩和解除、そしてゼロ金利解除に動いた。マーケットも金融引き締めを織り込む形で年初から金利が上昇したが、景気回復傾向が背景にあったことから株価も並行する形で上昇した。

リーマンショックを経た後に、黒田日銀総裁の下、異次元緩和が始まり、円金利は長期低下傾向を辿ったが、今回も金利上昇は小幅にとどまるとの見方は多い。「イールドカーブのへこみが均されるにとどまるなら、景気や株価は大きく悪影響を受けないだろう」とフィデリティ・インスティテュートの重見吉徳マクロストラテジストはみている。

20日時点の日経平均とTOPIXのPERは約12倍と、いずれも過去10数年のレンジの下限ゾーンにあり、割安感が意識されている。市場では「仮に日銀が多少、動いた場合でも、短期的な株安はあっても大崩れはしないだろう」(三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジスト)との指摘もある。

<日本株は円高を警戒>

一方、米国では利上げが警戒される局面で金利と株価の連動性が高い。昨年は、S&P500と米10年債のイールド・スプレッドは、春先にマイナス2.3%へと縮小。米連邦準備理事会(FRB)による利上げに連動し株価は調整を深めた。

FRBの利上げ幅は昨年、4回続いた0.75%から12月は0.5%に縮小。次回は0.25%にさらに縮小する可能性が大きく、年後半には利下げの予想も出ている。ただ、同時に年後半の景気後退(リセッション)が意識されており、金融引き締め停止が株高要因となるかは不透明だ。

米国市場を通じた日本株の警戒要因は円高だ。円金利の上昇は小幅だとしても、米金利の上昇が一服もしくは低下すれば、ダブルで円高(ドル安)要因として働く。

円安が進行した昨年3月から10月、S&P500は12.8%下落したが、TOPIXは0.8%の下げにとどまった。一方、円高が進行した10月以降は、S&Pの5.8%上昇に対し、TOPIXは2.3%の上昇となっている。

みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、金利の株価への影響は為替経由の側面が強いと指摘。円高局面では「日本株が米株に劣後するのはやむを得ない」との見方を示している。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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