August 7, 2018 / 4:55 PM / 2 months ago

リスクマネー供給のユニークな金融機関に、企業再編も支援=渡辺政投銀社長 

[東京 8日 ロイター] - 日本政策投資銀行の社長に就任した渡辺一氏は、ロイターとのインタビューで、メガバンクや地銀など民間金融機関では難しい資本性の高いリスクマネーを供給する機能を強化し、ユニークな金融機関を目指すと語った。

航空・宇宙、通信、医療、運輸の4分野を今後注力する産業領域とし、積極的にリスクマネーを投下する。さらに、産業再編を後押しする出資も進める。現在16%ある自己資本比率を14%程度に引き下げるまで、リスクアセットを増やす。

政投銀は2008年に株式会社化され、政府が100%出資している。金融危機時の危機対応融資や、民間では難しい長期融資、リスク性資金の出し手としての役割を担っている。

渡辺社長は6月28日に副社長から昇格。1981年に入行し、都市開発部長や経営企画部長を歴任。2代続けての生え抜きの社長となった。語り口は穏やかだが、行内では「仕事振りは厳しい」との評価だ。

主なやり取りは以下の通り。

――株式会社化して10年。どのように変わったか。

「将来の完全民営化を踏まえて、収益と公益の2つを旗印に掲げて進めてきた。収益性を上げるためには通常の融資業務だけでは難しいので、少しリスクの高い分野ということで投資業務に力を入れた。現在、投資勘定は、1兆円を超えた規模だ。融資が13兆円弱なので、1割近くが出資というリスクマネーのポーションになった」

「調達サイドも変わった。10年前までは借り入れのほとんどは財投や政府保証債券などの政府の信用だった。今では、6割程度が政府の信用に依拠しない自己調達になっている」

「この6割の半分は銀行借り入れだ。金融機関は利ざやを乗せて融資するので、すみ分けをしないとビジネスモデルとして成り立たない。当然、融資ではなくてリスクマネーのビジネスになる。他の金融機関も銀行法の制約などで5%以上の出資ができず、うまくすみ分けができて、従来あった民業圧迫の批判を受けなくなっている」

――今後、どの程度までリスクマネーの供給を増やすのか。

「金額ではなかなか言えないが、現在の自己資本比率16%を3年間で14%にまで引き下げる。今の資本を前提にしてリスクマネーをもっと出す。特に、航空・宇宙、ヘルスケア、通信、物流の4分野について、当面深堀りして次世代のマーケットを作っていきたい。もっとユニークな金融機関、社会に必要な金融機関になるためには専門性を磨く必要がある。他の金融機関との協業を進めていく中で、政投銀が知見を出して、一歩先を進んでいるような専門性や業界でのネットワーク、経験を持っていないと信頼されない」

――協業もかなり進んできている。

「支店が10カ店しかなく、取引先の数も限られている。そこがウイークポイントだ。大手行とはすでに共同のファンドを設立して協調はできてきている。地域の案件の元となる地銀とはすでに29のファンドを作ったが、さらに地銀とのネットワークを広げたい」

――業界再編を後押しするような資本も出すのか。

「日本の産業は世界的なマーケットからすると小粒な企業がまだ多い。統合すれば共通のバック部門のコストが下げられたり、シェアが高まれば交渉力も高くなる。条件がうまく整うのならば、再編の調整資金としてエクイティ資金を出す協力はできる。そういう案件があれば取り組みたい」

――企業再生についてどのように考えるか。

「市場がノーを出した企業を何の理由もなく救うのがいいことなのかどうかは難しい。ただ、悪くなった原因が、たとえばオーナーが変なことをやったとか、あるいは、とてもいい技術を持っているなどの理由があれば、再生資金を提供することもある。地域の金融機関と企業再生に取り組む際には、地域経済を支えるためにその企業が必要という場合もある。何が公益かは、かなり真剣に考えないといけない。独りよがりになってはいけない。いつでも外の意見を聞いていきたい」

*このインタビューは、7月20日に実施しました。

布施太郎

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