December 25, 2017 / 9:10 PM / a month ago

インタビュー:4000人の業務量減でトップライン増強=三井住友FG社長

[東京 26日 ロイター] - 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)の国部毅社長は、ロイターとのインタビューで、すでに打ち出している4000人分の業務量の削減は、コスト削減効果だけでなく従業員のモチベーション向上を経て、トップライン増強につながるとの考えを示した。

国部社長は「生産性の低い業務を従業員から開放し、創造性があり働き甲斐のある仕事に振り向けたい。テクノロジーの進展でそれが可能になった」と述べた。

三井住友FGは、今年度から銀行中心の金融グループから持ち株会社中心に移行。国部社長は「グループ目線がだいぶ浸透してきた」とし、今後は銀行や証券、カードなどの傘下企業のシナジー効果をさらに発揮させるとした。

国際的な銀行規制バーゼルⅠⅠⅠの内容が最終的に決定されたことで、株主還元策も強化しながら成長投資も進めるとし、海外の高採算アセットの買収や弱点とされるアセットマネジメント事業への投資を検討する方針を示した。

インタビューの詳細は以下の通り。

――今年度から新中期経営計画が始まった。

「国際金融規制の強化やマイナス金利政策の継続、少子高齢化などの構造問題に直面した新しい時代に対応する新しい金融グループ、新しい金融ビジネス、新しいモデルを作る。そのための中計だ。それを可能にするのが、テクノロジーの進展だ。銀行は昔からテクノロジーを活用してきた。今後はIoT(モノのインターネット)やロボティクス、ブロックチェーン、AI(人工知能)などを活用して、われわれの生産性をどのように上げるのかが最大の眼目となる」

――3年間で4000人分の業務量削減を打ち出した。コスト削減が必要か。

「本部でも生産性の低い業務はある。それをテクノロジーに置き換え、従業員にはより前向きな企画業務や、戦略領域のビジネスに携わってもらうようにしたい。それにより、従業員のモチベーションは間違いなく上がる。トップラインの成長にもつながると思う」

「従業員には創造性があり、働き甲斐のある仕事をしてもらうことが、何よりもやりたいことだ。結果的にある程度人員が減っていくこともあるだろうが、今の論調は人を減らすためにテクノロジーを使うことが前面に出過ぎてる。テクノロジーの進展を活用して業務を変えていきたい。それが私の思いだ」

「自分が若い時は業務が単純で、その分いろんな仕事を任された。今の従業員は仕事が複雑になっていて業務範囲が狭くなっている。もっといろんな仕事をやらせてあげたいという気持ちがある。やりがいはどうやったら高められるかと考えてきた。『そんなの甘い』と言われるかもしれないが、今回の狙いはコスト削減よりもそっちだ」

――三井住友らしさとは何か。

「定性的な表現になるが、スピードの速さや新しいことを手がける先進性、それに現場力だと思う。財務的には効率性、生産性の高いグループにしたい。経費率は他行比でまだ低いが、われわれの時系列ではじりじり悪化しており、反転させたい。大命題として質の高い金融グループを作りたいと思っている」

――持ち株会社中心の金融グループに移行した。成果は。

「すでに銀行以外の収益が4割を超えてきてグループ経営の強化に取り組まないといけなかった。新年度から新しいかたちに変えたが、グループ目線での運営が、まだ途上ではあるものの随分と浸透してきた。銀行と傘下各社との協働は、まだまだやれることがあるじゃないかと変わってきている」

    「グループ横断の事業部門を作って注力してきたが、国際部門と市場部門は銀行と証券がコラボすることでかなりよくなってきた。債券の引き受けやデリバティブ、為替などのビジネスも伸びており、グループ経営の効果だ。SMBC日興証券自身の実力もついてきて、銀行の力も活用しながら案件が取れてきている」

    ――バーゼルの最終化が決まった。資本をどのように活用するのか。

    「経営の健全性と成長投資、株主還元をバランスよく使う。成長投資では、アジアで強い金融グループになりたいと標ぼうしているので、アジアの商業銀行などに投資する。まずはすでに出資しているインドネシアとベトナムを仕上げることが大事だ」

    「さらに海外業務のポートフォーリオのうち、航空機ファイナンスや貨車リースなどの高採算アセットが約20%を占めるが、機会があればさらなる買収を検討する。アセットママネジメント業務もライバルと比べるとまだ小さいので投資したい。今後3年間、リスクアセットは横ばいを想定しているが、高採算なものに入れ替えていきたい」

    ――国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)を経営に取り入れようとしている。

    「公共的使命を負った金融機関は、SDGsを考慮して経営していかないといけないと思う。例えば、クラスター爆弾を製造する資金使途には応じないという流れから、昨今はクラスター爆弾を製造する企業には貸さないとの流れに変わってきた。こういうことを経営の中にどのように入れ込んでいくのかが重要だ。来年度の業務計画で、どのように反映させることができるのか検討していく」

    「確かに現場はジレンマを抱える。『これやればもうかるのに』とか『予算達成できるのに』という葛藤はあると思う。しかし、今でも海外のプロジェクトファイナンスの場合、(自然環境や地域社会に与える影響を配慮する)エクエーター原則に沿って融資している。環境破壊を招くプロジェクトなら融資しないし、そうしないように企業を指導するのが金融の役割だと思う。書生っぽいかもしれないが、これからの金融が世の中に認められるためには、必要なのではないかと考えている」

    このインタビューは21日に実施しました。

    布施太郎 編集:田巻一彦

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