July 14, 2015 / 7:12 AM / 3 years ago

インタビュー:マイナンバーの医療情報活用、抵抗強い=政府CIO

[東京 14日 ロイター] - 来年から運用が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度について、政府最高情報責任者(CIO)の遠藤紘一・内閣情報通信政策監(前リコージャパン会長)は、成長戦略の目玉ともなる医療情報への活用は現時点で抵抗が強く、まだ検討中と述べた。

一方、個人情報漏えいへの懸念に対し、情報は分散管理され、サイバー攻撃などでイモづる式に漏れることはないと否定した。  

遠藤氏は「世界最先端IT国家創造宣言」を発表した安倍晋三政権の下で、政府のIT戦略を担う最高責任者として政策を立て直すとともに、マイナンバー導入と活用の司令塔として、手腕発揮が期待されている。

──安倍政権の今年の成長戦略で目玉として挙げられているのが医療分野のIT化だ。医療情報へのマイナンバー適用には、日本医師会など反対の声も大きいようだ。医療費削減や成長戦略は予定通り進むのか。

「医療分野においては、レセプトに記載されている保険資格や薬の処方情報の管理などにマイナンバーを利用することが可能だ。医療機関の間で、患者が現在どのような検査を受けているのか、どのような薬を処方されているのかということを把握できれば、重複した検査や投薬が回避でき、医療費の適正化に資する。患者の負担軽減にもつながる」

「一方、医療機関同士、病院と診療所間の情報連携、そしてビッグデータとして活用する部分について、現時点では何も決まっていない。当初は、医療情報についても、税や社会保障と同様に進める予定だったが、抵抗が強く遅れが生じている」

──医療情報連携に関する議論は、どこまで進んでいるのか。

「民間主体である医療機関や介護施設との間で、患者や利用者の情報を共有し、診療やケアの質の向上や効率化を図るためのIDの導入については、現在検討中だ」

「また、医療機関の間で電子的に情報を共有するためには、現在医師によりばらばらなカルテの書き方を標準化するなど、インフラ整備が必要であり、これについても必要な取り組みが行われている」

「ただ、医療機関間での情報連携については、医療関係者から、マイナンバーそのものを用いるのではなく、医療分野で用いられる新たなIDを整備すべきだとの声もあり、そういった声も踏まえながら、今後も引き続き検討が進められることとなる」

──安倍政権はまた、銀行預金へのマイナンバー適用により、所得だけでなく資産の把握も可能として、課税適正化や負担の公平化を図ろうとしているが、こちらも法改正されれば可能となるのか。

「税の徴収を適切に行うためには、正確な所得の把握が必要不可欠だ。現在、源泉徴収票などの様々な調書によって、税務署や自治体が納税者の所得を把握しているが、それらの資料を名寄せする際、マイナンバーを活用することができれば、より効率的に、正確な所得の把握を行うことができる」

「今国会に提出されているマイナンバー法の改正案では、金融機関にマイナンバーを用いて預金情報を管理する義務を法律上設けることとされている。これによって、例えば、税務調査の際に、より正確に個人の所得情報を把握できるようになり、さらなる課税の適正化が期待できる」

──年金に関わる情報流出問題もあり、マイナンバーに対する国民の不安が大きいようだが、サイバー攻撃への対処も含めて、システム上どういった対策を講じているのか。

「サイバー攻撃などがあった場合に、個人情報がイモづる式に漏えいするのではないかとの誤解があるようだ。個人情報が1つのデータベースで一元的に管理されているわけではない。マイナンバー制度がスタートした後も、これまで通り、各行政機関や自治体などがそれぞれに、年金や医療保険、税に関する個人情報を分散して管理することに変わりはない」

「しかも、情報のやり取りはマイナンバーではなく機関別に割り当てられた符号を用いて行われることになっており、システム面でもきめ細かな配慮がなされている」

「マイナンバー制度に必要な社会保障や、税に関するデータベースの整備は、全国約1800の自治体や国の機関などで進められており、それらの間の情報連携は2017年1月以降、順次開始される」

インタビュー終了後、ロイターは日本医師会に医療情報をマイナンバー制度で活用することについてコメントを求めたが、日本医師会の広報担当者は電話等での迅速な回答はできないとコメントした。

そのうえで、インターネット上に公開されている過去の同医師会幹部の発言内容なら参照できるとした。

それによると、日本医師会の石川広己常任理事は、今年3月5日の日本医師会医療情報システム協議会において、マイナンバー制度について「本来、『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』で、その利用法が厳密に記載されており、記載以外の使用は全て違法行為であるにもかかわらず、さまざまな制度のバックグラウンドとして使われる可能性が高くなっている」と述べた。

そのうえで「医療の現場もその例外ではなく、危惧される状況を議論し、問題点を浮き彫りにすることで、医療分野専用の医療等IDの必要性を政府に提案していきたい」と語っている。

*このインタビューは、9日に行いました。

中川泉 編集:石田仁志 田巻一彦

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