[東京 17日 ロイター] - 自民党の根本匠・金融調査会長(元復興相)は17日、ロイターのインタビューに応じ、非課税期間が投資開始から最長5年、口座開設の期限が2023年末までとなっている少額投資非課税制度(NISA)について、恒久化を含めて検討する必要があるとの見解を示した。
同調査会は、成長企業へのマネー供給や家計のポートフォリオ・リバランス促進に向けた議論を行っている。NISAの扱いも含めた結論は、今年6月をめどに取りまとめられる政府の成長戦略に盛り込まれる方向だ。
2014年の制度開始以来、NISAの口座開設数は1000万口座に迫り、NISA口座を通じた買い付け総額は6兆4465億円に達した(昨年12月末時点の速報値)。
しかし、非課税期間が投資開始から5年のため、5年経過時には新たなNISA口座に移行するか、NISAではない課税口座に移す必要がある。口座開設が2023年末までということもあり、証券業界からは制度の恒久化を望む声が出ている。
根本会長は、家計の資産形成や日本経済への成長資金の供給拡大の観点から「恒久化を含めて検討する必要がある」と述べた。
また、上場株式の相続税評価が時価の100%を基本に行われるのとは対照的に、土地(公示地価の80%程度)や建物(建築費の50-70%)は、価格変動リスクを踏まえた評価方法になっている。このため資産ごとに違う評価方法が、投資行動を歪めているとの懸念が、有識者を中心に出ている。
根本会長は「例えば高齢者が相続税対策として、上場株式を売却してその資金を節税のためにアパートに振り向けるなど、投資家の資産選択にゆがみが出て、ポートフォリオ・リバランスを阻害しているのではないか」と疑問を呈した。
そのうえで、相続税の強化によって投資家の資産選択にかなりゆがみが出てくる点や、「貯蓄から投資」を促進するといった政策目的を複合的に考え、工夫する必要があるとした。ただ、税制改正のためには「かなり詰めた議論が必要だ」と話した。
さらに根本会長は、日銀のマイナス金利政策でイールドカーブが押し下げられており「健全な資産運用のために、ポートフォリオ・リバランスがより大事な局面になっている」と指摘した。
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和田崇彦 編集:田巻一彦
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