June 28, 2018 / 8:16 AM / 5 months ago

インタビュー:政策調整は迫られていない=若田部日銀副総裁

[東京 28日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁はロイターとの単独インタビューで、現在の金融緩和政策は効果が副作用を「完全に上回っている」とし、副作用に配慮した長期金利目標の引き上げなど政策調整は迫られていないとの見解を示した。

 6月28日、日銀の若田部昌澄副総裁はロイターとの単独インタビューで、現在の金融緩和政策は効果が副作用を「完全に上回っている」とし、副作用に配慮した長期金利目標の引き上げなど政策調整は迫られていないとの見解を示した。都内の日銀本店で27日撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

7月末に公表する新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で鈍い物価動向を重点的に分析するとし、今後、物価2%目標に向けた「モメンタム」(勢い)が弱まり、それがトレンドと判断された場合には、追加緩和を考えざるを得ないと語った。

また、2019年10月に予定されている消費増税について、潜在的な経済・物価の下振れリスクとの見方を示した。

若田部氏がメディアのインタビューに応じるのは、3月の副総裁就任後で初めて。

<足元の物価鈍化、非常に注視>

日本経済の拡大が続いているにもかかわらず、足元では消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比伸び率が縮小するなど、物価の鈍さが鮮明になっている。

若田部副総裁は足元の物価上昇の鈍化を「非常に注視している」とし、「これがトレンドとして下がるのか、ある程度のところで上がってくるのか判断が必要だ」と警戒感をにじませた。

このため7月末に公表する新たな展望リポートで、物価動向を「重点的に分析していく」と表明。「日銀は、すでにいくつかの考え方を提示している」とし、物価上昇の動きが鈍い要因として「20年近く続いたデフレが、人々のマインドセットに影響し、賃金や価格の設定行動に非常に大きな影響を及ぼしている」ことを挙げた。

加えて、1)賃金の硬直性、2)労働市場のスラック(需給の緩み)、3)オンライン取引の拡大ーーなども影響している可能性があると分析。

このうち労働市場のスラックについて、失業率が約25年ぶりの低水準となる2%台半ばで推移しているにもかかわらず、物価上昇が加速していないとし「スラックがあるとの仮説には、一定の妥当性がある」との認識を示した。

7月展望リポートでは、物価分析を踏まえて示す2020年度までの新たな経済・物価見通しが、金融政策判断の基準となる物価上昇の「モメンタム」に「どのような意味を持つかがポイントになる」と指摘した。

日銀は現在、モメンタムは維持されているとみているが、それが弱まり「弱さが一時的ではなく、トレンドだと明らかになってくれば、追加緩和を考えざるを得ない」と言及。

追加緩和の手段は、現行政策の枠組みにおいても長短金利の変更や、買い入れ資産の多様化など「様々な手段がある。それを動かすだけでも、かなりのことができる」と語った。

<金融・財政のシナジー効果が重要>

一方で、大規模緩和の長期化に伴う金融機関収益の減少が、金融仲介機能の停滞を招く恐れなど副作用に対する懸念も強まっている。

若田部副総裁は、そうしたリスクを「理解している」としながら、現段階で「効果は副作用を完全に上回っている」と強調。副作用に配慮した長短金利目標の引き上げなど政策調整の可能性についても「すぐに何か政策変更を迫るほどの副作用が、起きているとは考えていない」と断言した。

イールドカーブ・コントロール(YCC)政策によって、長期金利を低位に抑制し続けていることが、財政悪化に対する国債金利の警告機能を低下させているとの指摘に対しては「財政の状況を測る指標は、金利だけではない」と指摘。

信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場における日本国債のプレミアムは「低位で安定している」とし、日本の財政への信認が揺らいでいる状況にはないとの見方を示した。

2019年10月に予定されている2%の消費税率引き上げが「経済と物価にどのような影響を及ぼすかは、非常に大きな関心を持って分析している」と述べた。

2014年の3%増税ほどのインパクトはないとの日銀推計を紹介しつつ「増税がマインドを通じて消費や予想物価上昇率に悪影響を及ぼす可能性は、十分に考えられる」と述べ、「消費税増税がもたらし得る潜在的な下振れリスクを非常に注視している」と語った。

また、一般論としながら、デフレ脱却に向けた金融・財政政策運営について「金融と財政のシナジー効果が非常に重要。それが経済に良い影響を及ぼす」との認識を示した。

インタビューは27日に実施した。

*見出しを修正しました。

伊藤純夫 梅川崇 編集:田巻一彦

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