January 9, 2019 / 5:11 AM / in 8 months

訂正:焦点:日本企業、IoTやAI活用で大きな後れ 深刻な技術者不足

[東京 9日 ロイター] - 日本経済の原動力となるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータなどの活用で、日本企業は欧米やアジアのライバル企業に大きく後れを取っていることが鮮明になっている。最も大きな要因は、最先端の技術を駆使する高度デジタル技術者の育成不足だ。

 1月9日、日本経済の原動力となるIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ビッグデータなどの活用で、日本企業は欧米やアジアのライバル企業に大きく後れを取っていることが鮮明になっている。写真は、2016年に東京で撮影(201ロイター/Toru Hanai)

その結果、国内の主要企業では、高額報酬によって海外の人材を確保しようとする動きが広がり、「外国人依存」の現状があらわになっている。このままでは、日本は産業競争力の面でさらに後れをとりかねないとして、政府もようやく本格的な人材育成に乗り出した。

<高報酬で外国人材募集>

NTTデータ(9613.T)は、高度IT技術を活用した新ビジネスモデルを構築するため、内外を問わず人材を募集する。来春をめどに採用し、報酬も従来とは別の新制度を設け、個別交渉次第で高額報酬も準備する。

今や世界中で高度IT人材確保が激しくなり、高報酬を切り札に高いレベルの技術を持つ人材を奪い合う現象が起きている。

海外企業では3000万円-5000万円台での年収提示もあるほか、昨年4月(訂正)には「ゾゾタウン」を運営するZOZO(訂正)(3092.T)が、先端技術に詳しい人材を最高年収1億円で採用すると発表した。主要なターゲットは外国人技術者だ。

その背景には、日本人エンジニアの技術レベルでは、技術進歩がめまぐるしい最先端分野で対応し切れないという現実がある。

日本企業の中では、かなり先行して高度デジタル技術を駆使したビジネスを展開しているファーストリテイリング(9983.T)では、今やグローバルな技術者募集が日常となっている。「国籍を問わず、各拠点でその事業に適したIT人材を現地で募集している」(広報)という。

クラウド、ビッグデータのデータ分析、情報セキュリティ専門家、システム開発分野の各種エンジニアなど現在も募集中だ。

昨年12月のロイター企業調査(400社対象)でも、IoTやAI(人口知能)に関する技術者を十分に確保できていないとする回答が全体の93%を占めた。こうした高度のデジタル技術を導入していない企業は調査対象の6割にのぼり、その理由の多くが「ノウハウやスキルがないため」だった。

企業向けソフトパッケージベンダーのアステリア(3853.T)は「ソフトウエア開発技術者は、ここ数年、100%外国人を採用しており、それなりの高報酬で迎えている」(広報)と説明する。

IoTやブロックチェーンを組み込んだオリジナルソフトの開発エンジニア採用では、能力レベルで絞り込んだ結果として、毎年の採用が外国人だけになったという。

<若手育成阻む業界の構造>

日本国内でも、ITベンダーやユーザー企業に数多くのエンジニアが雇用されている。それなのに、どうして最新デジタル技術が扱えないのか。

日本企業と外資系の計10回の転職を経験した「システムエンジニア」(SE)の男性(40)は、IT企業界の構造的問題と長時間労働が要因と指摘する。

同氏は、ユーザー企業からのシステム発注を元請けする企業の下に、重層的に連なる下請け企業の構造的な問題点を指摘する。

下請け企業に勤務していた時は「毎日、終電での帰宅が続き、ユーザーのオフィスに常駐することも多かった。週に70時間以上の労働時間が普通だった」と振り返る。無給での残業が続くこともあり、待遇面での不満が大きかったという。

場当たり的な請け負い構造となっており、昇進・昇給体制も整わず、転職によって待遇改善を図る以外に道が見えないという業界構造も、将来への不安をかきたてたと話す。

最新技術を習得しようにも「長時間労働に追われて、勉強の時間も取りにくい状況がある」など、時間的余裕もない働き方が、レベルアップの足かせになっていたとみている。

<デジタル競争力、日本は22位>

こうした状況を受けて、安倍晋三首相は昨年12月17日、自民党「人工知能未来社会経済戦略本部」の塩谷立本部長に対し、AIの利用を推進するため「人材が決定的に不足している。しっかりと育成していくべきだ」と述べ、人材育成に意欲を示した。

すでに日本のデジタル競争力は、他の先進国に大幅に遅れをとっている。スイスのIMDが発表した2018年のデジタル競争力ランキングで、日本は22位。1位は米国、2位はシンガポール、香港が11位、韓国が14位など、他のアジア勢の後塵を拝している。

経済産業省商務情報政策局が16年6月にまとめた「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」では、「ビッグデータ」「IoT」「人口知能」を担う人材の不足は、18年に3.2万人、20年には4.8万人へと拡大する。

同省では「第4次産業革命スキル習得講座認定制度」を17年7月に創設し、ようやく18年4月に初回認定講座を開講し、厚生労働省と連携して助成金制度も設けた。

「今は、世界中で先端情報技術者が不足し、奪い合いとなっている状況。日本がいつまでも海外人材に頼っているのは現実的ではなく、しっかりと国内で育成する制度が必要」(商務情報局)と現状を分析し、ようやく政府主導で人材育成の本腰を入れ始めた。

だが、技術進歩はさらに加速する動きを見せ、他方で少子化の影響から技術者の確保が年々難しくなるという苦境に直面している。

安倍首相の音頭で、どこまで先端技術者の育成が進むのか。その成果によって、今後の日本経済の成長力も左右されそうだ。

*5段落目の「今年」を「昨年」に、「スタートトゥデイ」を「ZOZO」に訂正して企業コードを追加します。

中川泉 編集:田巻一彦  

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