May 10, 2018 / 8:16 AM / 6 months ago

コラム:欧州のイラン事業に赤信号、米国が迫る「苦渋の選択」

[ロンドン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領によるイラン核合意離脱に対して、欧州の政治指導者が使える対抗手段があるにはあるが、それほど好ましい選択肢ではない。

 5月9日、トランプ米大統領によるイラン核合意離脱に対して、欧州各国の政治指導者が使える対抗手段があるにはあるが、それほど好ましい選択肢ではない。写真はイランのロウハニ大統領。ニューヨークで2016年撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

イランと英国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、米国、欧州連合(EU)が2015年に締結したいわゆる「包括的共同作業計画(JCPOA)」のおかげで、欧州企業は米政府の制裁を受けることなくイランで事業が展開できるようになった。

しかしトランプ氏の遠慮会釈のない行動によって、欧州企業がせっかく手に入れた権利は奪われようとしており、そうしたトランプ氏の意向に逆らうのも難しいだろう。

EUが、域外で設定された制裁に反対して具体的な措置を講じたケースは過去にある。

1996年には、米国の対キューバ・イラン制裁について欧州企業が対象にならずに済むような規則を導入。2007年にはオーストリア政府が、キューバにある口座解約手続きを進めようとした国内銀行BAWAG(BAWG.VI)の動きに法的に待ったをかけるために同様の規則を行使している。

こうした事例は、2016年にイランで48億ドル規模の天然ガス開発契約に調印したトタル(TOTF.PA)など、既にイラン事業を再開している欧州企業に対して、ある程度の安心感を与えてくれる。米財務省外国資産管理室(OFAC)は最終的にBAWAGがキューバの口座を維持することを許可しており、トタルも同じように扱われる可能性がある。

ただしそれとは異なる事例も存在する。

HSBC(HSBA.L)(0005.HK)、クレディ・スイス(CSGN.S)、ING(INGA.AS)、スタンダード・チャータード(STAN.L)、コメルツ銀行(CBKG.DE)は、米国の制裁に違反したとして合わせて数十億ドルの罰金支払いを命じられ、BNPパリバ(BNPP.PA)に至っては、同行単独で89億ドルもの罰金を科せられた。トランプ大統領の強硬発言を踏まえると、イランに進出する企業は米国の金融システムに一切関与しない方法を見つけ出さなければならない。

これは簡単ではない。EU資本の銀行は完全にユーロだけを使ってイランと取引できるかもしれない。とはいえ、制裁は米国の製品や技術、さらにはニューヨークで決済されるドル資金にまで及ぶ。そうなるとイランでビジネスをしないという別の対応の方が、魅力が大きい。

結局のところEUが抱える問題は、政治的な部分が手続き面と同じぐらい大きな比重を占める。

加盟各国は今、米政府の鉄鋼関税の適用を一時的に免除されている。だがイラン問題で米国に強く反発すれば、恒久的な関税免除を獲得することは難しくなる。そこでEUが選べるのはどちらにしても気が進まない2つの道しかない。

1つは制裁発動まで180日の猶予期間にJCPOAを厳格化することだが、それはイランが受け入れないだろう。残る1つは嫌々ながらも、トランプ氏の線引きに従うことだ。

●背景となるニュース

・EU加盟28カ国は9日に共同声明を発表し、米国が離脱してもイラン核合意を履行する方針を示した。イランが合意を順守する限り、EUは制裁を再開しないとしている。

・ムニューシン米財務長官は8日、ボーイングとエアバスに対して認めたイラン向けの旅客機販売は今後取り消されると述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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