April 26, 2018 / 4:28 AM / 20 days ago

焦点:トランプ流「両面作戦」か、イラン合意破棄でも交渉可能

Arshad Mohammed

4月20日、イラン核合意が崩壊の瀬戸際にあるとの報道は、まだ時期尚早かもしれない。写真は24日、ホワイトハウスで乾杯するトランプ大統領(2018年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 20日 ロイター] - イラン核合意が崩壊の瀬戸際にあるとの報道は、まだ時期尚早かもしれない。トランプ米大統領は、5月12日までにイランに対する経済制裁を再発動するかどうかの決断を下す。

もし制裁が再び発動されれば、2015年にイランと国連安全保障理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国との間で交わされたこの核合意は大きな打撃を受ける。

この核合意では、イランは自国への経済制裁の解除と引き換えに核開発の制限を受け入れている。オバマ前大統領は、イランによる核兵器保有を阻止するためにこの合意締結に踏み切ったが、トランプ大統領は、この合意には「致命的な欠陥」があると主張している。

仮にトランプ大統領が、欧米の政府当局者が取り組んでいる核合意の修正案を拒否し、制裁を再発動させたとしても、イランの原油輸出を狙い撃ちする米制裁の主要手段は直ちに発効する訳ではない。

そのため、原油市場や石油関連企業は、新たな米制裁に備えるための時間的余裕があるかもしれない。その間、外交官が制裁発効の回避に向けて尽力することも可能だ。

イランが制裁の再発動に強く反発しているため、実現は困難かもしれないが、5月12日以降でも交渉継続を可能にする方法が少なくとも2つある。

イラン核合意には、紛争解決条項が盛り込まれており、当事国から合意に違反したとの訴えがあった場合、それを検討するために少なくとも35日の期間を設定している。また、すべての当事国が合意するならば、この期間を延長することも可能だ。

そして、トランプ大統領が主要なイラン制裁策の再発動を決めた場合でも、法律により、イラン産の原油輸入を大きく削減しない国の銀行を制裁対象に加えるという、最も厳しい手段に踏み切るまでには、最低でも180日待たなくてはならない。

イラン側は、核合意の再交渉を拒否し、報復姿勢を示しているが、米国が核合意から離脱した場合の対応については、明確にしていない。

「米国が核合意から離脱した場合、イランが取り得る選択肢はいくつかある。米国の離脱に対するイラン政府の反応は、快いものではないだろう」とイランのザリフ外相は19日語った。

<気が気でない原油市場>

原油市場はイラン核合意を巡る情勢を注視している。

「市場は、中東からのニュースをやきもきしながら見ている」。ニューヨークを拠点とするヘッジファンド、アゲイン・キャピタル・マネジメントでパートナーを務めるジョン・キルダフ氏はそう語った。

イラン核合意が破棄された場合、原油供給に対する物理的な影響については、遅れたり緩和されたりする可能性があるが、イラン制裁が再発動されるならば、先物市場は大きく反応するだろう。

米国が核合意から離脱し、イランに制裁を科すことにより、イランの原油輸出が難しくなる事態を想定して、原油価格はすでに1─3ドル(約109─327円)のプレミアムを織り込んでいる。

もし米国が5月12日以降も合意を継続するならば、このプレミアムは失われ、原油価格は下落するだろう。他方、もし米国が合意から離脱してイランの原油輸出が減少するならば、原油価格は1バレルあたり最大5ドル値上がりする可能性がある。

トランプ大統領が制裁の再発動を宣言した場合、欧州の同盟国が引き続き交渉を続けるのか、それとも実際の制裁発効までにイランを含めた当事国がなんらかの妥協を受け入れるのかは不明だ。

5月12日以降の交渉継続について、「技術的には、この(時間的余裕の)窓があることで可能だが、実際にどうやって実現するかを想像するのは難しい」と欧州の外交官は語った。

フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相は今月、相次いてワシントンを公式訪問して、英仏独3カ国と米国の外交官が取り組んでいる核合意の修正案を受け入れるよう、トランプ大統領の説得にあたる。

<外交影響>

トランプ大統領が、いずれもタカ派のボルトン氏を国家安全保障担当の大統領補佐官に迎え、ポンペオ中央情報局(CIA)長官を次期国務長官に指名したことで、核合意が破棄される確率が高まったとみられている。

合意撤回の場合、イランとライバル国サウジアラビアが主導権を巡ってしのぎを削る中東地域における緊張が一層高まることになる。

また、北朝鮮が米政府の約束は信頼できないと結論づけて、トランプ大統領が同国に対し核・ミサイル計画の抑制を迫ることが困難になる可能性も出てくる。

トランプ大統領は、イラン核合意について3つの欠陥があると主張する。イランによる弾道ミサイル開発に触れていないこと、イラン核施設に対する査察の条件、そして10年後にイランの核開発に対する制限を解除する「サンセット条項」を盛り込んでいることの3点だ。

外交官は、弾道ミサイル開発や核査察の条件面では前進があったとしているが、サンセット条項の問題は依然として未解決のままだ。

ポンペオ氏とムニューシン財務長官は、核合意の修正、もしくは新たな合意形成に向けて、交渉を続ける可能性を示唆している。

「(トランプ大統領は)両面からのアプローチが可能だ。5月中旬以降、制裁猶予を延長しないと決めた上で、制裁が再発効するまでの6カ月の期間を使い、欧州各国にもっと努力するよう促すことができる」と米国の元政府関係者は語る。

「典型的なトランプ流だ。大騒動を巻き起こしつつ、抜け道は残しておく」と指摘したうえで、同関係者は、それは「じわじわと破滅に向かうだけで、それが(この戦術の)結末かもしれない」と語った。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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