January 6, 2020 / 5:00 AM / 7 months ago

コラム:米国によるイラン司令官殺害、市場の混乱はまだ序の口

[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中東情勢の緊迫が引き起こした市場の混乱は、長期間になりそうな気配だ。米国によるイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官殺害を受けて、原油相場は3%余り上昇、株式相場は世界中で下落した。こうした市場価格の変動は、不安定化を招く今回のような軍事行動の危険性をまだ控えめにしか示していない。

1月3日、中東情勢の緊迫が引き起こした市場の混乱は、長期間になりそうな気配だ。写真は4日、テヘランで米国旗を燃やすイラン市民(2020年 ロイター/Nazanin Tabatabaee/WANA)

原油価格の上昇幅は、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコ(2222.SE)の施設が昨年9月に攻撃され、同国の石油供給が一時半減に追い込まれた際と比べると、3分の1に満たない。当時、投資家はトランプ米大統領がサウジに代わって報復すると予想したが、トランプ氏は報復に動かなかった。そのため原油の値上がりがしぼんだ経緯がある。

しかし、今回の米国とイランの間の長きにわたる緊張は、時間をかけて徐々に高じていく可能性が非常に高い。

ソレイマニ氏はイエメンやシリア、イラクで戦った精鋭コッズ部隊のトップだった。イランにおける「抵抗の象徴」でもあり、最高指導者・ハメネイ師に近い存在だった。イラン政府は、司令官の死に応える必要があると感じるだろう。

報復の標的は、サウジやアラブ首長国連邦(UAE)といった米国の同盟国や、カタールやバーレーンにある米軍基地、ペルシャ湾の船舶になる可能性もある。だが、最もあり得るのは、イラクに照準を当てることだろう。

イラクでは最近、イランが支援する民兵組織が米軍から空爆を受けた。イラクには米兵が約5000人駐留している。論理的に考えられる最初の報復は、エクソンモービル(XOM.N)などイラクの米石油施設を標的とすることだろう。イラク石油省によると、米石油会社の従業員は既に退去しつつある。

イラクの石油供給に深刻な混乱が生じても、ホルムズ海峡封鎖ほどは原油相場に大きな打撃をもたらさないだろう。ホルムズ海峡は世界で消費される石油の20%が通過する。

また、サウジなどの産油国は昨年12月、原油需要の低迷の予想に対応するため減産で合意したばかりだったため、価格急騰をもたらす供給不足の懸念に対処するだけの生産余力があるはずだ。

それでも、世界の日量1億バレルの石油供給量でイラク産が5%を占めることを考えれば、原油の1バレル当たりのコストはさらに上昇する可能性がある。

中東地域の他の国々が軍事衝突に引きずり込まれることになれば、全ての資産の投資家は単なる貿易「戦争」ではなく、本物の戦争について心配しなければならなくなるだろう。

●背景となるニュース

*米国は3日未明、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官をイラクのバグダッド空港で空爆し殺害した。イラク民兵組織の指導者でソレイマニ氏の右腕だったアブ・マハディ・アルムハンディス氏も一緒に殺害された。

*イランの最高指導者ハメネイ師は、ソレイマニ司令官を殺害した「犯罪者」は重大な報復を受けるだろうと表明した。ロウハニ大統領は、司令官の殺害により米国に対するイランの抵抗は、一段と断固としたものになると述べた。イラン革命防衛隊はイスラム世界のあちこちで反米勢力が報復を実行するとした。

*米軍は昨年末、マハディ氏が創設したイスラム教シーア派武装組織「神の党旅団(カタイブ・ヒスボラ)」の拠点を空爆。これを受けてイラクの米大使館がシーア派民兵らに襲撃されるなど、米国とイラクの長期にわたる対立は前週、急激に先鋭化した。

*北海ブレント原油先物相場は3日1000GMT時点で3.5%高の1バレル=68.6ドル。FTSE100種は0.6%安、ドイツのクセトラDAX指数は1.4%下落した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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