September 13, 2019 / 6:03 AM / 7 days ago

ブログ:イスラエル入植者とパレスチナの隣人たち

[オフラ(ヨルダン川西岸) 9日 ロイター] - 「自分たちのこの土地との結びつきは聖書の時代にまでさかのぼる」とある漫画家は言う。一方、隣で暮らす農家は「その土地は自分たちの先祖のものだったのに盗まれた」と言う。前者はイスラエルの入植者、後者は道を1本隔てた向かいに住むパレスチナ人だ。

 9月9日、「自分たちのこの土地との結びつきは聖書の時代にまでさかのぼる」とある漫画家は言う。一方、隣で暮らす農家は「その土地は自分たちの先祖のものだったのに盗まれた」と言う。写真はハバト・ギラドで遊ぶイスラエル人の子どもたち。7月24日撮影(2019年 ロイター/Ronen Zvulun)

占領されたヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植は、イスラエル・パレスチナ紛争のなかで最も対立の激しい問題の1つだ。パレスチナ人は、1967年の第3次中東戦争でイスラエルにより占領された同地区を、将来のパレスチナ国家のために要求している。

イスラエルはこの地区に120カ所以上の入植地を建設しており、9月17日の総選挙に向けた準備を進めるイスラエルのベンジャミン・ネタニエフ首相は、改めて同地区の併合を公約し、パレスチナ人に警戒心を抱かせている。

イスラエルによる入植は違法であり、パレスチナ和平にとって大きな障害になっているというのが、国際社会の大方の意見だが、イスラエルはこれに異議を唱えている。

自宅のスタジオで取材に応じるネッツァーさん(2019年 ロイター/RONEN ZVULUN)

マイケル・ネッツァーさんは1985年にオフラに移住した。西岸地区におけるイスラエルの初期の入植地の1つとして開設されてから、約10年後である。

漫画家で63歳のネッツァーさんは、「ユダヤ人がここに住んではいけないというのはばかげている」と話す。「聖書はこの土地の一部だ。誰でもいいから尋ねてみたい。先祖や父祖の地との縁を切ってしまうというのは、それほど簡単なことなのか、と。もちろん、そんなはずはない。ユダヤ人にとって、そうした歴史が、今の私たちの存在を作ってきたのだ」

オフラの家々の赤い屋根は、道を隔てたパレスチナの村、エイン・ヤブルドからもよく見える。

庭で家族と過ごすムスレフさん(2019年 ロイター/RANEEN SAWAFTA)

地元の農家アズミ・ムスレフさん(53)は、オフラは自分の家族が耕していた土地だった、という。

「あの土地は、私の心であり、魂である。私の一族の心と魂だ。私の父、その父、さらにその父祖の時代から、私たちはあそこで、ごまやイチジク、オリーブを育ててきた」とムスレフさんは話す。

マアレ・アドゥンミームで娘と散歩するコブンウルゲルさん(2019年 ロイター/RONEN ZVULUN)

<マアレ・アドゥンミーム/アル・エイザリヤ>

イスラエルの入植地コミュニティーは同質性が高いとは到底、言えない。強烈なイデオロギーを動機として入植する人もいれば、単に安い集合住宅を求めているだけの人もいる。イスラエルに隣接するいくつかの入植地は、多くのイスラエル人から普通の街だと思われており、西岸地区で孤立した飛び地とは状況が違う。

エルサレムから車で15分ほどの距離にある大規模入植地マアレ・アドゥンミームの弁護士ミケル・コブンウルゲルさん(60)は、「自分が入植者だという感覚はない」と言う。「併合するべきか。そうだ。ここは人口4万1000人の都市だ。ショッピングモールもある、1つの都市だ」

背後には起伏のある砂漠が広がっているが、住民の暮らしは快適だ。教育水準は高く、交通の便も良い。

マアレ・アドゥンミームの入植地のそばの道に立つファルンさん(2019年 ロイターRANEEN SAWAFTA)

約1.5キロ離れたパレスチナ人の町アル・エイザリヤに住むアリ・ファルンさん(74)は、同地域がパレスチナ人の支配下に入る日が来ることに望みはほとんど持っていない。

「併合されようが西岸地区のままであろうが、関係ない。どちらにせよ、支配しているのはユダヤ人だ」とファルンさんは言う。

自宅のキッチンで話すイタイ・ザルさんと家族(2019年 ロイター/RONEN ZVULUN)

<ハバト・ギラド/サラ>

西岸地区で丘の上にプレハブ作りの小屋が点在するハバト・ギラドでは、約45世帯が暮らしている。

住民らは、自分たちが西岸地区に住んでいることで、主が聖書のなかでユダヤ民族に与えた約束が成就し、イスラエルの安全も守られると話す。

「この土地はイスラエルの民に属しており、それについては疑問の余地すらない」とイタイ・ザルさん(43)は言う。彼がハバト・ギラドを建設したのは2002年。彼の身内がこの近くでパレスチナ武装勢力に射殺された後のことだ。

「私たちは18年前、1世帯だけでここに来た。ここには今、繁栄するコミュニティーがある」

サラの自宅で仕事をするツラベさん(2019年 ロイター/RANEEN SAWAFTA)

ボセナ・ツラベさんは、道を隔てたパレスチナ人の村サラから、この入植地の成長を目撃してきた。

「夜に向こうを見て何もないと思っていても、翌朝になるとトレーラー式住宅(キャラバン)が増えている」と、47歳で村会議員を務めるツラベさん。「この土地は自由に使っていい土地ではない。彼らは土地を盗んでいる」

ベイター・イリットの店舗で働くデビッド・ハンバーガーさん(2019年 ロイター/NIR ELIAS)

<ベイター・イリット/ワディ・フキン>

ベイター・イリットは、イスラエルで急成長しつつある超正統派ユダヤ人コミュニティーのために建設された入植地だ。

入植に反対するイスラエルの監視団体「ピースナウ」によれば、2018年、西岸地区におけるイスラエル入植地のなかで最も建設活動が盛んだったのがベイター・イリットだという。

集合住宅やワンコインショップが立ち並ぶ様子は、ハバト・ギラドのプレハブ小屋や未舗装道路とは別世界だ。またザルさんの場合とは異なり、ベイター・イリットの住民は、入植の理由として経済的な不安を口にする。

ベイター・イリットで小売店を経営する36歳のデビッド・ハンバーガーさんは、「イデオロギーが理由でここに来たわけではない」と話す。「入植地以外の場所で私たちが家を購入する方法はなかった」

超正統派ユダヤ人の社会では、子どもの数が平均7人と大家族が多く、高失業率と貧困に悩まされているため、結束の強いコミュニティーが共生することを可能とする低価格の住宅が求められている。

ワディ・フキンの農家モハンマド・アワドさん(2019年 ロイター/RANEEN SAWAFTA)

だが、ベイター・イリットに隣接するパレスチナ人の村ワディ・フキンの農家モハンマド・アワドさん(64)から見れば、人々がどのような理由で入植地に暮らすようになったかは何の意味も持たない。

「和解は不可能だ。対立の主な理由は、彼らが土地を強引に奪い取ったからだ。私たちの土地を盗み、そこでの暮らしを楽しんでいる人間と、平和に共存することなどできるだろうか」と彼は言う。

(翻訳:エァクレーレン)

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