[国連 20日 ロイター] - 国連安全保障理事会は20日、イスラエルが発表したパレスチナ自治区ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地拡大計画を非難する公式声明を発表した。イスラエル非難に米国が安保理で同調したのは過去6年で初めて。
アラブ首長国連邦(UAE)が、より強い内容の決議草案を採決にかけない方針を示したことが背景。同案が採決されれば、米国が拒否権を行使する可能性があった。
イスラエル政府は今月12日、ユダヤ人入植地9カ所を承認し、既存の入植地に多数の住宅を建設すると発表。これを受け、英国、フランス、ドイツ、イタリア、米国の外相は14日、入植地承認を非難する共同声明を発表していた。
安保理は声明で「イスラエルの入植活動の継続が1967年の境界に基づく二国間解決の可能性を危険なほど脅かしていることを改めて指摘する。2月12日のイスラエルの発表に深い懸念と失望を表明する」とした。
ロイターが把握した決議草案ではイスラエルに対し「パレスチナ占領地におけるあらゆる入植活動の即時かつ完全な停止」を求めていた。決議案が採択されるには9カ国の賛成と常任理事国(米国、ロシア、中国、フランス、英国)が拒否権を行使しないことが求められる。
パレスチナのマンスール国連大使は「戻ることのできない地点に到達する要素が全てそろっている。われわれがが今取る行動や発する言葉は全て重要だ」と述べた。
UAEは19日、安保理メンバーに対し「当事者間の前向きな話し合いを考慮し」、20日に決議草案を採決しない方針を伝えた。
イスラエル首相府は20日、今後数カ月にヨルダン川西岸で新たな入植を承認しないと表明した。
安保理の声明については「一方的」だとし、支持した米国を批判。「声明は出されるべきではなかった。米国も参加すべきではなかった」と指摘した。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は安保理で、今月12日のイスラエルの入植地拡大計画に米国は反対すると表明。声明は「真の外交の成果」で、安保理が平和への脅威をいかに深刻に受け止めているかを示していると述べた。
また、米国は安保理メンバーとともに、イスラエルとパレスチナ双方に、平穏を取り戻し、人々の生活の質を向上させるために緊急かつ必要な措置を講じるよう求めるとした。
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