May 28, 2018 / 9:51 AM / 25 days ago

混迷深まるイタリア政局、再選挙の争点は:識者はこうみる

[ミラノ 28日 ロイター] - イタリアのマッタレッラ大統領は28日、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、2019年予算案の通過と来年初旬までに再選挙を実施する計画を進めるよう命じた。

 5月27日、イタリアのマッタレッラ大統領はユーロ懐疑派エコノミストであるパオロ・サボーナ氏の経済相起用を拒否した。イタリア新首相に指名されたジュセッペ・コンテ氏(写真)は組閣を断念、再選挙実施の可能性が出てきた(2018年 ロイター/Alessandro Bianchi)

イタリアでは3月の総選挙以降、大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」と極右「同盟」が連立政権樹立を目指していたが、次期首相に指名されていたジュセッペ・コンテ氏が前日、財務相の人選を巡ってマッタレッラ大統領と合意できずに組閣を断念した。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、ニコラ・ノビーレ氏>

マクロ的観点から言えば、五つ星運動の政権公約に含まれていた積極財政策によって公共投資が増大するリスクは、少なくとも短期的には明らかに後退した。

再選挙において、ユーロ支持派か懐疑派かが主な争点となるとみられるが、問題はそれぞれが一段と急進的になることだろう。反ユーロ派が勝利するリスクもある。

カルロ・コッタレッリ氏は私が理解する限り、議会の信任は得られないだろう。したがって、当面の問題に対処するだけで終わるだろう。

フランスのマクロン大統領が主導するユーロ圏改革を巡る議論はさらにペースが遅れ、イタリアで国民からの負託を得た新政権の誕生を待つことになる。

<ソシエテ・ジェネラルの新興市場・信用調査責任者、ガイ・ステア氏>

投資家と格付け会社の双方にとって、以下のことが問題となり得る。

1)向こう数カ月間、権力の空白が続くこと。

2)選挙戦がユーロを巡る国民投票となる可能性。

3)再選挙の結果、より急進的な政府が誕生する恐れがある。

最悪の事態が先送りされたことの安心感から相場は上昇するかもしれないが、多くの投資家はこれをロングポジションを解消する機会とみなすだろう。

<テネオ・インテリジェンス共同社長、ウォルファンゴ・ピッコリ氏>

五つ星運動と同盟が(コッタレッリ氏に)反対する可能性を考えれば、「中立的」な政府が信任投票で信任される見込みは低く、暫定的な政府となる公算が大きい。つまり、イタリアでは、議会から信任されず、効力のない政府が年末まで存在することになる。金融緩和策の終わりが近づく中、有意義な政策を実行する能力もなく、2018年はほぼ無駄な1年となる。

今後、イタリアが現在の政治的・制度的な危機から抜け出して、政治的により良い着地点に達することは困難だろう。主なリスクは、こうした政局の行き詰まりによって、五つ星運動やとりわけ同盟が一段と勢いづくことだ。この2つのポピュリスト政党は、自分たちに政権をとらせなかったとして「エスタブリッシュメント(既存勢力)」を非難するだろう。そのような主張は社会の二極化をさらに深めることになる。

次の選挙戦では、反ユーロ、そして欧州連合(EU)懐疑派のトーンが一段と高まることになるだろう。

<コメルツ銀行の金利ストラテジスト、マイケル・ライスター氏>

ユーロ懐疑派の経済相起用が回避されたことで、オーバーナイトのユーロにみられたように、欧州市場は安心感から上昇した。ただし、25日はユーロ圏債務危機が深刻だった2011年を思い起こさせるような相場動向だったことを踏まえた上で、状況を判断すべきだと考える。

われわれはこうした安心感が短期的なものに終わるとみている。再選挙が実施されれば、(極右政党「同盟」の)サルビーニ書記長は一段と勢力を増す可能性がある。ムーディーズは25日、イタリアの構造的なリスクについて言及しているが、これは非常に適切な指摘と言える。

相場高は短命だろう。イタリアは時間稼ぎをしただけに過ぎない。

<ベレンベルクのチーフエコノミスト、オルガー・シュミーディング氏>

イタリアにユーロ懐疑派の経済相が誕生するリスクは少なくとも先送りされたが、同国を巡る不透明感は今後数カ月、イタリアおよびユーロ圏近隣国のセンチメントにとって、引き続き重しになるだろう。

再選挙となれば、イタリアの親欧州エスタブリッシュメントや、ユーロというルールブックにのっとって行使される「ドイツ覇権」に対して、極右政党の「同盟」をはじめとする急進派勢力は以前よりも一段と激しい非難を繰り広げる可能性が高い。マッタレッラ大統領がユーロへの姿勢を理由にパオロ・サボーナ氏の経済相起用を拒否する中、急進派は選挙戦でさらに強硬な反ユーロ戦線を張ると思われる。

3月4日に実施した総選挙では、欧州に関する問題よりも移民への懸念がより大きな役割を果たした。「同盟」は再選挙では、欧州におけるイタリアの役割を巡る事実上の国民投票と位置づける可能性がある。

<ゴールドマン・サックスのアナリスト、シルビア・アルダーニャ氏>

暫定的な政府では、議会で信任が得られないだろう。早ければ10月にも再選挙が実施される可能性がある。

われわれは強い政治的不透明感が続くと考えている。確かに、イタリアのEUやユーロへの加盟に懐疑的だと金融市場にとらえられかねない政府は誕生しなかった。一方で、再選挙が実施されたとしても、イタリア経済にとって前向きな動きとはみなされないだろう。

*内容を追加します。

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