February 28, 2018 / 3:07 AM / 9 months ago

アングル:イタリア総選挙、楽観する投資家を脅かす5つの要素

[ロンドン 26日 ロイター] - 3月4日に投開票されるイタリア総選挙について、投資家は楽観している。同国経済は力強さが増してきており、欧州全般で反ユーロのムードが後退しているからだ。

 2月26日、3月4日に投開票されるイタリア総選挙について、投資家は楽観している。ナポリ近くで21日撮影(2018年 ロイター/Alessandro Bianchi)

ただ投資家が予期しない事態に見舞われる可能性はある。同じ3月4日には、ドイツで大連立合意の承認を求める社会民主党(SPD)の党員投票の結果が判明する予定で、結果次第ではメルケル首相が4期目を迎えられなくなるかもしれない。大連立政権が成立すればドイツの親欧州色が強まり、ユーロ圏の財政拡大が容認されやすくなると期待される点からも、SPD党員投票は南欧諸国にとって重要な意味を持つ。

以下に投資家にとって重要となる5つの問題を説明する。

(1)イタリア総選挙で最も蓋然性が高い展開と、それが投資家にもたらす意味

最新の世論調査は、どの政党もしくは政治勢力も単独で過半数議席を獲得できないハングパーラメント(中ぶらりん議会)が実現することを示唆している。

そうなるとマッタレッラ大統領は各政党に連立協議を命じる見通し。協議には現与党の民主党や、ベルルスコーニ元首相が率いる「フォルツァ・イタリア」も含まれるだろう。アナリストは、ハングパーラメントになる結果、主要政党による連立政権が樹立されるのが市場にとって最も好ましい結果だとみている。イタリアの政治的安定と対欧州政策の継続性がその理由だ。

もっとも連立政権の具体的な構成を巡る不透明感が生じて、短期的にはボラティリティが増大してもおかしくない。

(2)市場にサプライズを与える要素

今回の選挙は新たに導入された投票システムが使われるため、開票結果がどうなるか分からない面が特に大きい。世論調査で支持率が最も高い中道右派連合が過半数を制する事態もあり得る。

サプライズの1つは中道右派連合が勝利し、その中で「同盟(北部同盟から改称)」が最大勢力になって首相ポストを確保する構図だ。ユーロを「失敗した通貨」と呼ぶ同盟が選挙の勝者になれば、ユーロ解体の不安が再燃し、イタリアとドイツの国債利回りスプレッドは拡大しかねない。

ハングパーラメントになっても、新政権の主導権を同盟ないしは新興政治組織「五つ星運動」が取るようなら、同じ結果になるかもしれない。また新政権樹立がうまくいかない場合は、再選挙の可能性も排除できない。

(3)独SPD党員投票の行方

46万4000人の党員投票で大連立合意が承認されるかどうか予断を許さない。承認されれば、新政権は重要な欧州連合(EU)改革を進めることができる。

否決となれば再選挙か、少数派政権が法案ごとに連携相手を決める形で議会運営せざるを得なくなる。この場合、政治的な不透明感が長期化し、企業心理は打撃を受ける。大連立政権誕生でドイツの緊縮財政姿勢が緩和され、親欧州姿勢に傾斜するとの観測で値上がりしていた南欧諸国の国債も衝撃を受ける恐れが出てくる。

(4)イタリア総選挙の勝者は債務削減に取り組むか

恐らくそうならない。新政権がどんな形になっても、イタリア経済の実力を高める長期的な構造改革を推進したり、膨らんだ債務の圧縮を目指す確率は低い。イタリアの債務の対国内総生産(GDP)比は132%で、EU内ではギリシャの次に高い。

各政党が掲げる公約を見ると、状況はさらに悪くなりかねない。イタリア銀行(中央銀行)のビスコ総裁は、債務問題は無視できず、各党が約束する減税や歳出拡大は経済に逆効果をもたらすと警告した。

(5)欧州中央銀行(ECB)の政策運営に及ぼす意味

SPD党員が大連立を承認すれば、財政は緩やかに拡大し、成長と物価上振れにつながり、ECBに緩和打ち切りを急がせる要因になるかもしれない。

同時にイタリア総選挙を大きな波乱なく通過すれば、欧州の政治リスクがまた1つ取り除かれ、ECBの緩和巻き戻しが正当化される。

しかしもし、イタリア総選挙かSPD党員投票で混乱を招く事態が起きれば、ECBは9月以降も資産買い入れを続けるよう迫られ、ひいては投資家が利上げ時期の予想を修正し始める可能性がある。

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