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焦点:国民投票に進退かける伊首相、劣勢挽回に向け軌道修正

[ローマ 14日 ロイター] - イタリアでは、上院権限を縮小する憲法改正の是非を問う国民投票が年内に実施される。直近の世論調査では反対派がやや優勢となっており、国民投票に進退をかけているレンツィ首相は、巻き返しに向けて必死に運動方針の軌道修正を図っている。

 9月14日、イタリア国民投票に関する直近の世論調査では反対派がやや優勢となっており、国民投票に進退をかけているレンツィ首相(写真)は、巻き返しに向けて必死に運動方針の軌道修正を図っている。ローマで3月撮影(2016年 ロイター/Stefano Rellandini)

7月終盤にはレンツィ氏が、オバマ米大統領の選挙対策本部長で2012年の再選の立役者だったジム・メッシーナ氏と会談し、今後の対応策について助言を仰いだ。ある会談の参加者の話では、メッシーナ氏はレンツィ氏に対して「もう少し従順な姿勢が必要だ」と指摘したという。

確かにレンツィ氏は政敵から傲慢で威圧的と評される面があり、国民投票の賛成機運盛り上げに苦戦している。それだけでなくイタリア経済は再び減速に転じているほか、銀行の不良債権問題も抱えるなど逆風しか見当たらない。

こうした中で国民投票が否決されれば、イタリアの政情不安が再燃し、市場が混乱しかねない。ある欧州連合(EU)元高官は「レンツィ氏が国民投票で敗北すればユーロ圏全体に問題が広がる」と不安を口にした。

しかしレンツィ氏は、メッシーナ氏との会談後はよりソフトな態度で、自身の辞任をちらつかせるよりも国民投票による憲法改正承認のメリットを強調する戦術に転換し、国民の支持を獲得しようとしている。

同氏は先月、与党・民主党支持者に対して「わたしは問題を個人的にし過ぎるという間違いを犯した。われわれはこの改革が一個人ではなく国家全体に資するのだと伝えなければならない」と訴えた。

ルイス大学のロベルト・ダリモンテ教授(政治学)は「レンツィ氏は尊大と受け取られがちだが、おそらくメッシーナ氏が好影響を及ぼしたようだ。今やレンツィ氏は、なぜ国民投票に賛成すべきかの理由を適切に主張できているからだ」と話す。

それでもダリモンテ氏は「結果がどうなるかはだれにもわからない。6月の英国民投票並みに不透明感が大きい」と警戒している。

<決まらない日程>

昨年時点ではまだ世論調査で賛成派が多かったため、レンツィ氏は国民投票で憲法改正案が否決されれば首相を辞めると大見得を切った。

レンツィ氏の言い分では、上院権限縮小は第2次世界大戦後で63もの政権が誕生したイタリアの政治を安定させる効果が期待できる。一方、反対派は民主党内にも存在し、絶対的な権力を持つ首相が登場するのを防ぐためのチェック・アンド・バランスの仕組みが失われると懸念している。

さらにレンツィ氏の政敵は、国民投票が否決されれば首相を追い落とせると期待して、政治的な立場の違いを乗り越えて一致団結しており、憲法改正とは直接関係ない主張まで展開する場面も出てきている。

EMGアクアが12日に公表した世論調査結果では、憲法改正反対支持が賛成支持を2.3%ポイント上回り、その差は1週間前の1.5%ポイントから拡大。レンツィ氏を最も手厳しく批判する野党・五つ星運動のスキャンダルも、賛成支持を上向かせる力にはならなかった。

レンツィ氏は当初、国民投票を10月に実施する意向を示していたが、結果が読めなくなってきたこともあり、まだ正式な日程は固まっていない。2人の民主党筋は、11月27日もしくは12月4日になる見通しだと語った。

<首相の座>

国民投票の行方を見極めようというムードが強まっているため、財務省による民営化計画は凍結され、大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナBMPS.MIも喫緊の課題であるはずの増資を延期するのはほぼ確実となっている。

レンツィ氏は引き続き国民投票で勝利する自信を示しているものの、否決された場合に市場が動揺しないよう布石も打っている。否決されても現状が続くだけだと発言した上で、早期の総選挙の可能性も打ち消したのだ。

一部の政治家は、レンツィ氏が望めば、約束した手前いったん辞表を提出するが大統領がそれを認めずに首相の座にとどまるというシナリオも描けるのではないかとみている。

ただし辞任すると言ったにもかかわらず首相を続ければ、レンツィ氏の評判は低下しかねない。

ルイス大学のダリモンテ氏は「国民投票が否決となればレンツィ氏の立場は著しく弱まる。それでも首相として居座るなら、全面的に信頼を失うだろう」と述べた。

(Crispian Balmer、Silvia Ognibene記者)

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