October 12, 2018 / 9:32 AM / 2 months ago

アングル:洋上で戦う女性自衛官、男女平等の最前線

[護衛艦かが艦上(インド洋) 10日 ロイター] - 最新鋭のヘリコプター空母「かが」に乗る女性隊員は、男女が分け隔てなく戦う組織を目指す、海上自衛隊の取り組みの最前線にいる。10対1という海自の男女構成比の中で、彼女たちの団結力は強い。

日本周辺を警戒するだけでなく、中国をけん制するため、かがのようなヘリ空母を海外に派遣する海自は、少子化の影響もあって乗員が不足。より多くの女性隊員を必要としている。

井原彰子さん(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

かがでヘリの電子整備に携わる井原彰子さん(31)は、世界中で様々な分野で働く女性が増えており、日本もその流れに乗るべきだと話す。

かがの乗員450人のうち、女性の割合は9%程度。自衛隊は、現在6%の女性隊員の比率を、2030年までに9%以上に引き上げる目標を掲げている。それでも米軍の15%、英軍の10%を下回る。

かがに乗る女性隊員は、さまざまな部署に散らばって配置されている。しかし全員が友人同士で、時には男性の同僚について愚痴をこぼし合うと、井原さんは明かす。

入隊9年目の井原さんは、職場で差別的な対応を受けたことはないと話す。女性は自衛隊の仕事に向かないと考える男性がいるなら、自分と一緒に仕事をしてみるよう説得すると、彼女は言う。

米田絢子さん(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

女性隊員が増えることで、自衛隊がより丸い組織に変わりつつあると感じているのは米田絢子さん(29)だ。戦闘などで破損した船体を応急処置するのが仕事の彼女も、入隊は9年前。当時は女性が少なく、男性隊員は彼女たちとどう接すれば良いか分からない様子だったという。今では女性の視点で物事を見られる男性隊員が増え、自衛隊全体がより穏やかな組織になったと感じている。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

それでも、セクシュアルハラスメントがなくなった訳ではない。海自は今年7月、数カ月にわたり女性隊員3人にキスしたり体を触るなどの行為を繰り返したとして、男性隊員を懲戒免職にしている。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<女性を勧誘>

少子高齢化に直面する日本の自衛隊は、何年も前に米軍がたどった道を選ぶことを余儀なくされている。米軍は1993年、女性の艦艇配置に門戸を開いた。

海自が女性の乗艦を解禁したのは約10年前。防衛省関係者によると、唯一制限が残る潜水艦への配置も近く認める方針だという。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

日本の海軍力は世界でも最大規模で、およそ1万人の乗員が135隻の艦艇に配置されている。その中には潜水艦18隻のほか、かがのようなヘリ空母4隻など護衛艦47隻が含まれる。

かがは8月末から2カ月間、西太平洋からインド洋にかけて長期の航海に派遣された。島や岩礁をめぐって中国と東南アジア諸国が領有権を主張する南シナ海で訓練を繰り返し、スリランカやインドに寄港した。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

2017年に就役したばかりのかがは、女性隊員の増加を見越し、古いタイプの船よりもトイレや風呂が多く設置されている。男性は女性専用の居住区に無断で立ち入りできず、用事があれば入り口で女性隊員を呼び出す仕組みになっている。

海自はこうした設備を充実したり、プライバシーに配慮することで、より多くの女性が入隊してくれることを期待している。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

艦艇の乗員は航海中、長い間スマートフォンが使えなくなる。ソーシャルメディアから切り離されることを嫌う若者が多いこともあり、海自は陸上、航空自衛隊に比べて人員の採用に苦戦している。

例えば16年、総員およそ4万3000人の空自への入隊希望者は6900人だったが、ほぼ同じ総員数の海自への入隊希望者はわずか3927人だった。

(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

かがの機関室に配置されている実習員の井原未来さん(22)は、勤務時間外は読者や自習をして過ごすが、ラインやインスタグラムといったソーシャルメディアを使えないことに物足りなさも感じている。乗組員は航海中、メールの送信を1日4通までと制限されている。慣れるしかないと、井原さんは話す。

かがの下士官を取りまとめる東野康治・先任伍長(52)は、女性の乗艦によって予期せぬ「効果」が男性隊員に見られるようになったと語る。毎日ひげをそり、服にアイロンをかけるようになったのだという。

10月10日、最新鋭のヘリコプター空母「かが」に乗る女性隊員は、男女が分け隔てなく戦う組織を目指す、海上自衛隊の取り組みの最前線にいる。インド洋の護衛艦かが艦上で2018年9月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

(翻訳:山口香子、編集:久保信博)

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