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日銀点検を読む:重用される付利、「影の金融政策」に=佐々木明治学院大教授

[東京 12日 ロイター] - 明治学院大学経済学部長の佐々木百合教授は、ロイターのインタビューで、新型コロナウイルス対応オペや地方銀行の経営効率化支援策などで日銀が多用する付利について「影の金融政策になっている」と指摘。日銀当座預金の三層構造を規律なく日銀がコントロールしているとして、3月の政策点検で、日銀当座預金や付利のあり方についてルールを明確化すべきだと述べた。

 明治学院大学経済学部長の佐々木百合教授は、ロイターのインタビューで、新型コロナウイルス対応オペや地方銀行の経営効率化支援策などで日銀が多用する付利について「影の金融政策になっている」と指摘した。写真は2016年9月、都内の日銀で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

日銀当座預金はマイナス金利が付く「政策金利残高」、金利ゼロ%の「マクロ加算残高」、プラス0.1%が付く「基礎残高」の3層で構成されている。

新型コロナ対応オペでは利用残高に応じてプラス0.1%の付利を実施しているほか、残高の2倍がマクロ加算残高に追加されている。また、地銀の支援策では経営統合の決定ないし経営効率化目標の達成でプラス0.1%の特別付利を実施する。

佐々木教授はその時々の政策で、金融機関へのインセンティブ付けのために付利が使われている実態を問題視。「金融全体に与える影響がしっかり検討されているのか疑問だ」と述べた。

金融機関が積極的にコロナオペを利用したことで、ゼロ金利適用残高は昨年12月に230兆円と前年比1.5倍に膨張。プラス金利適用残高は12月時点で206兆円に上る。佐々木教授は、日銀が「(資金の)不自然な引き留め方をしている」と指摘。「枠のコントロールを自由に日銀ができることによって1つの政策ツールに使われている」とした。

佐々木教授は「今は非常に低金利だから0.1%でも助かると言って(資金を当預に)置いておきたいというニーズがある。しかし、景気が変わってきて、0.1%だったら置いておいても意味がないとしてある限界点を過ぎたら(資金が)突然引き出される可能性もある」と指摘。「世の中に突然流動性が出てくると、例えば10年後などにインフレの素地になる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

<総裁就任時の2%目標、「学生でも知っていた」>

佐々木教授は、黒田総裁が2013年の就任早々掲げた「2年で2%の物価上昇率を達成する」との目標は妥当なものだったと評価。「金融政策を行っているのが日銀だとわかっていない学生でも2%は知っていた」と振り返り、「経済主体の期待に働きかけるという意味で、黒田総裁の手法は正しいと思っていた」と述べた。

しかし、足元の新型コロナウイルスの感染拡大で2%目標の達成は一段と遠くなっている。佐々木教授は「期待に働きかける意味が全くなくなっている」との見方を示した。

佐々木教授は、黒田総裁の任期中に「全体の方針を大きく変えるのは組織としても難しい」と指摘。ただ「マーケットに影響を与えることを懸念して変えにくいという状況をどうやって打破するか、日銀は考えなければならない」と話し、イールドカーブ・コントロール(YCC)や上場投資信託(ETF)買い入れについて「出口戦略の具体化が必要だ」と述べた。

佐々木氏の専門分野は国際金融、金融論。2000年3月に博士(商学・一橋大学)取得。1995年に一橋大学商学部助手。高千穂商科大学(現・高千穂大学)商学部助教授、明治学院大学経済学部助教授を経て2007年に明治学院大学経済学部教授。20年4月に同経済学部長に就任。金融庁金融審議会専門委員、全銀協TIBOR運営機関理事などを務めている。

*インタビューは9日に実施した。

和田崇彦

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