January 16, 2019 / 7:25 AM / 2 months ago

焦点:投資と消費の心理悪化、米中摩擦や世界経済減速で

[東京 16日 ロイター] - 米中貿易摩擦の激化や世界経済の減速予想などを受け、日本経済を支える「投資」と「消費」の心理が悪化の様相を強めている。特に企業の設備投資では先行指標の機械受注が急速に鈍り、慎重姿勢が鮮明化してきた。

 1月16日、米中貿易摩擦の激化や世界経済の減速予想などを受け、日本経済を支える「投資」と「消費」の心理が悪化の様相を強めている。特に企業の設備投資では先行指標の機械受注が急速に鈍り、慎重姿勢が鮮明化してきた。写真は都内で2016年12月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

足元で下げ止まっている株価の動向次第では、心理悪化から投資と消費の「減速」に結び付くリスクが高まることになりかねない。

<機械受注に投資家心理の弱さ>

「これだけ先行き不透明材料が出てくると、企業は需要動向が読めず早急に必要な投資以外は控えるだろう」──。日本総研・調査部長の牧田健氏は、16日に発表された11月機械受注のデータを踏まえ、企業の投資姿勢に「警戒感」が出ていると指摘する。

強気の数値が出ていた12月短観における2018年度設備投資計画も、3月短観では相当程度の下方修正を余儀なくされるのではないかと予想している。

企業心理を冷え込ませている大きな要因は、足元で広がりをみせている。米中経済摩擦は両国の戦略的対立が背景にあると言われ出し、中国経済の減速を当初よりも大きめに想定するエコノミストも出てきた。

15日には英議会が大差で欧州連合(EU)離脱案を否決し、今後の展開によっては、英国でビジネスを展開する日系企業への影響が想定を超えて大きくなるリスクにも注目が集まっている。

<世界経済の減速、受注に影響も>

こうした不透明要因を受け、一部の企業では、受注動向に下振れの圧力がかかり始めている。

11月機械受注(国内民需・除く船舶・電力)に関する事前予測では、設備投資計画の強さや秋口の落ち込みの反動からプラス予想が多かったが、結果は前月比マイナス0.02%となった。

10─12月期は6四半期ぶりに前期比マイナスに転落する可能性が高く、19年度に設備投資が減速基調に陥る前兆との見方が、複数のエコノミストから提起されている。

内閣府が11日に発表した12月景気ウォッチャー調査の企業部門のDIも、大きく悪化。「米中貿易摩擦の影響か、化粧品容器の東南アジア向け輸出に関し厳しい展開が予想される」(プラスチック製品製造業)とのコメントなど、海外経済の影響が波及している様子が透けてみえる。

実際、12月ロイター短観では、製造業の景況感が11、12月と続けて悪化し、先行き見通しも一段と弱気に傾く結果となった。加工業種を中心に、米中貿易摩擦や中国経済減速の影響により受注が減少しているとの回答が増えている。

輸出関連企業の受注の起点となる世界経済には、すでに減速の兆しが鮮明となっている。足元の景気に6─9カ月先行する経済協力開発機構(OECD)の景気先行指数(CLI)は、直近の発表値である昨年11月まで12カ月連続で低下中だ。

SMBC日興証券・チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は、金融市場が織り込もうとしている世界経済失速のタイミングは19年終盤だと分析。19年終盤に「財政の崖」に直面する米国が失速、同時に世界経済が失速するというシナリオが濃厚だと予想している。

<消費者心理に下振れの予兆>

国内消費には、世界経済減速の影が心理面から忍び寄っている。大きな要因は、18年10月以降から目立ってきた株安だ。

12月景気ウオッチャー調査では、2─3カ月先の景況感が17年3月以来の低水準に落ち込んだ。「美術品、宝飾品の高額受注が、前年比少なくなっている」(近畿・百貨店)など、株価下落の影響や中国人観光客の消費減とみられる現象が指摘されている。

8日発表の12月消費動向調査でも、半年程度の先行きを見通した消費者態度指数が3カ月連続で前の月を下回った。

日銀の「生活意識アンケート」18年12月調査では、1年後の景況感が「悪くなる」との回答がおよそ4割に達し、9月調査から大幅に増加。景況感の水準を示すDIは「アベノミクス」開始以来の水準に落ち込んだ。

こうした家計心理の悪化の要因について、みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は19年10月に予定されている消費税率引き上げを挙げ「税率が2桁に乗ることに伴う、消費マインドへの悪影響がある」と強調している。

景気ウオッチャー調査でも「消費税の引き上げ関連の話題が増えることで、生活防衛意識が高まりそう」(スーパー)」との回答がみられ、消費増税への不安感は依然として根強いパワーを維持している。

足元で表面化した不透明感に加え、19年は日米新通商交渉の行方も企業や消費者の心理を下押ししかねないリスク要因といえる。

米国は日本の自動車輸出の一部を現地生産にシフトさせることや為替条項の導入も求めており、結果次第では株安や円高に結びつきかねない懸念も、一部の政府・与党間関係者の間でささやかれている。

ただ、足元の市場心理は悲観に傾き過ぎており、楽観論が息を吹き返す可能性を指摘する声もある。

デロイトトーマツ・リスク管理センター長・大山剛氏は「トランプ米大統領も、世界経済や日本の景気後退などリスクを勘案すれば、強硬な交渉スタンスを維持する事態は避けるだろう」と予想。実際には、日米の傷が深くならないような「妥協」が図られるのではないかとみている。

*各指標の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

・機械受注 here

・日銀短観 here

・景気ウォッチャー here

 1月16日、米中貿易摩擦の激化や世界経済の減速予想などを受け、日本経済を支える「投資」と「消費」の心理が悪化の様相を強めている。特に企業の設備投資では先行指標の機械受注が急速に鈍り、慎重姿勢が鮮明化してきた。写真は都内で2017年1月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

・OECD景気先行指数 here

・消費動向調査 here

・日銀生活意識アンケート調査 here

中川泉 編集:田巻一彦  

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