[東京 22日 ロイター] - 政府は22日に公表した3月の月例経済報告で、景気の総括判断を「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」として前月から据え置いた。個人消費の回復が続いているのが主な理由。海外経済の減速を背景に半導体市況が悪化していることなどから、個別項目では生産の判断を下方修正した。
項目別では、生産と企業収益以外の判断は据え置きとなった。国内総生産の7割を占める個人消費は「緩やかに持ち直している」との判断を維持。昨年後半以降、財は弱めの動きとなる一方、外食・訪日外国人(インバウンド)需要などサービスの持ち直しが回復をけん引している。
生産の判断は、2月の「持ち直しの動きに足踏み」から「このところ弱含んでいる」に引き下げた。市況の悪化に伴う半導体の在庫調整と、それを受けた海外での製造装置の投資先送りを踏まえた。半導体市況の悪化は、アジア向けを中心に輸出の弱含みにもつながっている。
企業収益の判断も「一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善している」から「総じてみれば改善しているが、そのテンポは緩やかになっている」に引き下げた。2022年10─12月期の経常利益が、化学、石油・石炭、パルプ・紙など素材系製造業を中心に前年比でマイナスに転じたことなどが理由。
海外経済については、2月に言及していた「中国における感染拡大」に関する記述を削除する一方、「金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある」と加筆した。
※〔表〕月例経済報告の景気判断の推移
(竹本能文 編集:田中志保)
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