July 16, 2019 / 4:04 AM / 3 months ago

アングル:「女性が輝く」国会なるか、参院選候補者の割合は過去最高

[新潟/東京 16日 ロイター] - 7月21日投開票の参院選では、女性候補者が全体の28%と過去最高に達した。党派別では立憲民主党の45%が目立っているが、「女性活躍」を掲げてきた安倍内閣の与党・自民党は15%。女性議員の割合に関する国際比較では165位にとどまっており、国会はまだまだ「女性が輝く」場にはなっていない。

 7月15日、7月21日投開票の参院選では、女性候補者が全体の28%と過去最高に達した。写真は新潟選挙区の野党統一候補で新人の弁護士・打越さくら氏。見附市で9日撮影(2019年 ロイター/Linda Sieg)

今回の参院選は、選挙で男女の候補者をできる限り「均等」にするよう政党に求める「男女共同参画推進法」が2018年に成立後、初めての国政選挙となる。

ロイターは、国会議員や学者などに女性議員が少ない背景について聞き、自民党の現職男性候補と野党の推す新人女性候補が争う新潟県で、候補者、有権者らに取材を行った。

<自民党現職と野党新人女性の接戦>

新潟選挙区は、自民党現職の塚田一郎氏(55)と、野党統一候補で新人の弁護士・打越さくら氏(51)が1議席を争う激戦区の1つ。

2世議員でもある塚田氏は、道路整備をめぐって安倍首相や麻生太郎財務相の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した問題を受け、責任を取って国土交通副大臣を辞任。逆風の中での選挙戦を強いられている。

60代の男性は新潟駅前でロイターの取材に対し、塚田氏のそんたく発言は「あまりにも選挙民を愚弄(ぐろう)し、なめている」と強く批判した。「今までは自民党を支持してきたが、今回はお灸(きゅう)をすえようと思った。気が変わる前に、今から期日前投票に行ってくる」と話した。親から継いだ呉服屋を営んでいた男性は、地元商工会の世話人なども務め自民党を支えてきたという。

一方、30代の女性は、年金問題などに不安があり、選挙には少し関心があるとし「自民党を応援している。他の党と比べると安心感があるから」と答えた。

弁護士として児童虐待防止やドメスティックバイオレンス(DV)の救済に取り組んできた打越候補は、原発ゼロや子どもの貧困対策などを訴えている。

同氏は県内で開かれた集会の前にロイターの取材に応じた。地元出身でないため、知名度が低いことで難しさがあるとしながらも、自身が働く母親であることを挙げて「女性の方が、やはり子育てや教育、福祉などをリアリティーを持って感じられる」と語った。

新潟国際情報大学の佐々木寛教授は、新潟の選挙戦について「今はおそらく50対50」だと分析する。「新潟は女性が働く伝統があり、実際の社会を回しているのは、お祭りもそうだが女性だった」と話す。

野党系女性国会議員が3人いるのは、他県と比べても多いとし、打越候補が女性であることは「マイナスではないと思う」と述べた。

一方、自民党にとっても、原発があるこの選挙区は最重要選挙区。野党共闘の牙城を崩そうと、組織固めなど引き締め作戦に出ているという。

<高いハードル>

今回の参院選でほぼ男女同数の立候補者を擁立した立憲民主党の枝野幸男代表は、ロイターの取材で、女性議員が少ない背景について「女性が選挙に出た時に、夫が自分の仕事との兼ね合いで妻の選挙を手伝えないなどの障害があり、女性のほうがハードルが高い。まして子育て世代だと、育児の負担を多く担っているため、コストが大きいことは間違いない」と述べた。

同代表は国会に女性議員が増えれば、子育ての負担など当事者的な観点からの声が強まるとし「今回結果を出せれば、次につながっていく」と述べた。

上智大学法学部の三浦まり教授は、自民党の女性議員が特に少ない背景について、現職議員を優先的に公認する傾向があり、女性候補が公認されにくいと分析する。

そのうえで「安倍晋三首相は『女性が輝く』社会と言っているが、議員の男女比を均等にすることに関心があるのではなく、単に人口減少からくる労働力不足を、女性の労働力で埋めようとしているに過ぎない」と指摘した。

猪口邦子参院議員は、2005年の衆院選で初当選したが、当時の小泉純一郎首相が衆院の比例ブロックで名簿のトップを全て女性にするという女性優遇措置をとったため、多数の女性議員が当選したことを評価。「制度的な対応をしないと、なかなか女性議員は増えない」と述べた。

<家庭、仕事、加えて選挙>

打越候補は新潟に住居を移したが、出馬を決める前まで住んでいた東京に、夫と10代の息子を残し、家族と離れて選挙を戦っている。

今年前半の統一地方選挙で、新潟県議会議員選に出馬し敗れた磯貝潤子氏は、現在打越候補の選挙戦を手伝っている。自身の選挙について「洋服のボタンが取れたままになっていたりして、子どもに対しては気の毒だな、という気持ちがあった」と振り返り、選挙は、男性のほうが圧倒的にやりやすい、と話す。

「30年くらい前は、男性が働いて、家庭で子どもを育てるのが女性の役目だとされた。今は共働きだが、子どもの寝かしつけまでを女性がして、さらに(外で)働くというダブルワークをしてきた。その中で、もう1つ選挙に挑戦するというわけですから」と選挙に出る困難さを語った。

世界の国会議員が参加する列国議会同盟(本部・ジュネーブ)の調査によると、2018年の各国議会(日本は衆院で比較)における女性進出の割合に関して、日本は193カ国中、165位だった。これは主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)の中でいずれも最下位。前年比では順位がさらに7位下がった。

今回の参院選で女性の立候補者の割合が過去最高になったが、女性議員の割合が上昇するかどうか、その結果は21日夜に判明する。

*見出しを更新しました。

宮崎亜巳、Linda Sieg 編集:田巻一彦

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