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焦点:衆参同日選見送り、与党一致へ折衷案 なお消えない年内解散説

[東京 31日 ロイター] - 安倍晋三首相は6月1日、消費再増税の見送りと参院選を単独で実施する方針を表明する見通しだ。首相は当初、増税延期と衆参同日選の両方を視野に入れていたが、増税延期と同日選に難色を示す公明党に配慮。事実上の折衷案を選択したもようだ。このため参院選後の年内解散への思惑はくすぶり続けるとの観測が与党内で広がっている。

 5月31日、安倍晋三首相は6月1日、消費再増税の見送りと参院選を単独で実施する方針を表明する見通しだ。写真は都内で3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

消費増税を延期するなら国民に信を問うべきだ――。5月28日夜、首相公邸。安倍首相の増税延期の方針を受けて同席した麻生太郎副総理兼財務相、自民党の谷垣禎一幹事長は、2年半の延期に併せて衆院を解散すべきとの考えを示した。菅義偉官房長官も出席した4者会合。複数の政府、与党関係者によると、菅長官は麻生、谷垣両氏の意見に対し「衆院解散は慎重な対応が必要」と述べたという。

26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、G7首脳は不透明感が増している世界経済の現状を共有した。

安倍首相はサミット後の記者会見で「ここでもし対応を誤れば、世界経済が通常の景気循環を超えて、危機に陥る大きなリスクに直面している。G7は強い危機感を共有した」と強調した。

この発言を聞いていた経済官庁幹部の1人は「増税延期のお墨付きを得た」と受け止めた。ある政府関係者は「サミットとオバマ効果を追い風に、一気呵成に衆院解散に踏み切るのでは。『30日の増税延期表明、会期末までの衆院解散』との観測が急浮上し、こうした思惑が霞が関を駆けめぐった」と、当時を振り返る。

安倍首相は、なぜこのタイミングでの解散を見送ったのか。別の政府関係者は「公明党への配慮だろう」と言い切る。

同党は、増税時の軽減税率導入を条件に、17年4月の消費税率10%への引き上げを主張してきた。

消費増税を見送れば、医療・介護・子育てを柱とする社会保障の充実に穴が開きかねない。来年4月からの増税を前提にした社会保障の充実に加え、軽減税率の導入を選挙でアピールしたい同党にとって「突然の方針転換は受け入れ難い。衆参同日選となれば、強固な組織票の分散を余儀なくされることへの警戒感も働いたのではないか」と、先の政府関係者は指摘する。

もっとも安倍首相が今回、増税延期と併せた同日選を見送っても、衆院解散をめぐる思惑はくすぶり続けそうだ。

与党幹部の1人は「首相は1日の会見で『解散しない』とは言わないのではないか」とみる。与党内には、2年半の増税延期によって、解散時期をめぐる安倍首相のフリーハンドは広がったとの見方も出ている。

<2020年の財政目標、安倍首相は堅持表明へ>

複数の政府関係者によると、安倍首相は、増税延期を表明する1日の会見で、基礎的財政収支の赤字を2020年度までに解消する目標そのものは堅持する考えを示す。

安倍政権が掲げてきた「経済再生なくして財政健全化なし」とする基本方針に沿って、政府はこれまでの指針を盛り込んだ骨太方針を2日に閣議決定する方針だ。

財務省によると、増税延期で年度当たり3─4兆円程度の収支悪化が見込まれるが、19年10月に増税を実施できれば、20年度末までにはほぼその穴が埋まるため、財政健全化目標に与える影響は少ないという。

ただ、財政再建に向けた取り組みはすでに薄氷の上にある。増税を前提とした内閣府の試算でも、バブル期並みの経済成長を続けても20年度には6兆円余りの赤字が残り、具体的な道筋はなお見えない。

消費増税の延期を繰り返してきた実態を踏まえ、市場参加者からは「もはや首相の約束はなんら意味を持たない」(大手銀行)との声も聞かれる。

慶応義塾大学の土居丈朗教授は「先送りを続ければ破綻への第一歩となりかねない。2年半後に『三度目の正直』で増税できるかどうかが焦点になる」と指摘している。

ポリシーニュース取材チーム 編集;田巻一彦

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