July 8, 2016 / 1:47 AM / 2 years ago

アングル:参院選公約に盛り込まれたLGBT、理解は進んだか

[東京 7日 ロイター] - 同性愛者であることを公表している石坂わたる氏(39)が2007年、東京都中野区議会選挙に無所属で立候補したとき、人々は彼の選挙演説を聞いて冷笑した。

 7月7日、同性愛者であることを公表している石坂わたる氏(39)が2007年、東京都中野区議会選挙に無所属で立候補したとき、人々は彼の選挙演説を聞いて冷笑した。写真は、LGBTなどのセクシュアル・マイノリティーの理解を呼びかける祭典「東京レインボープライド2016」で行進する人々。4月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

しかし、今では、保守的な与党でさえも、同性愛者の権利を参院選の公約に盛り込んでいる。

安倍晋三首相が率いる自民党のマニュフェストでは、同性愛者の権利について、後段で控えめに触れられており、「正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定」するとともに「社会全体が多様性を受け入れていく環境を目指す」と書かれている。

10年前には考えられなかったことだ。

アジアの基準からすれば、日本の法律は比較的進歩的だ。例えば、同性愛者のセックスは1880年以来、合法となっている。しかし、社会的には、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)コミュニティーはほぼ無視された状況に置かれている。

LGBTの権利は、日本の雇用機会均等法で触れられておらず、日本には差別禁止法もない。

しかし、状況は変化している。

東京の渋谷区や世田谷区などいくつかの自治体は、同性パートナーに、夫婦に準じる権利を与えている。同様の取り組みをする企業も増えている。

2011年に2度目の挑戦を行った石坂氏は、中野区議会で初当選を果たした。彼が語りかけると、この時には冷笑の代わりに涙があったと、同氏は言う。

LGBT権利保護の法案成立を目指す自民党の委員会に所属する衆議院議員の橋本岳氏は、2020年の夏季五輪開催を東京が勝ち取ったことで変化が生じたと語る。五輪憲章には、性的指向を含めた平等がうたわれているからだ。

橋本議員は、自民党には保守的な面があり、LGBTについて認識している人はそれほど多くないと指摘。外圧がなければ、これほどまで事が進まなかったかもしれないと述べた。

自民党は五輪開催前に日本の対外イメージを向上させようとしているにすぎず、外国人観光客を呼び込む狙いもあるとの批判的見方もある。

自民党や政府中枢の人々は、LGBT問題に触れずにすむならそうするだろう、と東京大学大学院の清水晶子准教授(ジェンダー研究)は言う。ただ、何もしない方が海外で印象が悪いとの計算が働いているのではないかと指摘する。

この問題について、世論は割れている。広島修道大学の河口和也教授らが2015年に行った調査によると、回答者の過半数が同性婚を支持していたものの、LGBTの親戚や友人、同僚を持つことに対しては慎重な姿勢が見受けられた。

ただ、こうした世論調査の結果さえも進歩だとLGBT総合研究所の森永貴彦社長は語る。ソーシャルメディアや、同性婚を認める米最高裁の判決や東京五輪開催決定などのニュースが影響を与えたと同氏は述べている。

森永氏は、自身を含めたゲイコミュニティーの人々はかつて、日本はカミングアウトできるような場所ではないと強く感じ、あきらめていたが、こうしたイベントが希望を与えてくれたと語った。

(Elaine Lies記者、翻訳:高橋浩祐、編集:下郡美紀)

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