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21年度エネルギー白書、さらなる価格上昇を懸念 サハリンの重要性指摘

 6月7日、政府は2021年度版の「エネルギー白書」をとりまとめ、ウクライナ情勢などを受けたエネルギー価格の上昇は「一過性のものではとどまらない可能性がある」とした。写真は都内の港湾施設で2012年12月撮影(2022年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 7日 ロイター] - 政府は7日、2021年度版の「エネルギー白書」をとりまとめ、ウクライナ情勢などを受けたエネルギー価格の上昇は「一過性のものではとどまらない可能性がある」とした。日本の対応に注目が集まる極東ロシアの石油・天然ガス開発事業「サハリン1、2」については、権益維持の方針を改めて強調した。

白書は2021年に世界各地で電力需給が逼迫した背景を解説し、15年以降の原油価格低迷と脱炭素化の流れで化石燃料投資が停滞していたところへ、新型コロナウイルス禍からの景気回復で電力が不足したと指摘。さらに今年はロシアによるウクライナ侵攻が発生し、エネルギー価格の上昇が「さらに加速した」としている。

日本については、化石燃料をロシアに依存する欧州と比べて相対的に価格の上昇幅が小さいと分析。欧州は長期契約価格が天然ガスに連動していることが多い一方、日本は油価連動の比率が相対的に高く、輸入価格が比較的安価に抑えられているとした。ガソリンの激変緩和措置で小売価格に転嫁されていないことも要因に挙げた。

今後はウクライナ危機の長期化や脱炭素向け投資で企業のエネルギーコストが上昇すると予想。日本もエネルギー源の多角化や調達先の多様化に取り組むほか、企業・消費者の間でエネルギー価格の上昇をどのように負担するのか、議論を深めることが重要とした。

サハリンの開発事業についてはコラム欄で取り上げ、「日本の電力・ガス供給に不可欠なエネルギー源」と明記した。「自国で権益を有し、長期的な資源の取引が確保されており、また、現状のようなエネルギー価格高騰時は市場価格よりも安価に調達できる」とした上で、「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」と位置付けた。

そのうえで、1)再生可能エネルギーや原子力も含めたエネルギー源の多様化、2)LNG(液化天然ガス)への投資などによるロシア以外での供給源の多様化、3)主要消費国とも連携した生産国への増産働きかけなどを通じてロシア依存の低減──に取り組むとした。

同プロジェクトを巡っては、ロシアのウクライナ侵攻を受けて石油開発事業の1から米エクソン・モービルが、天然ガス開発事業の2から英シェルが撤退を決めた。いずれの事業にも権益を持つ日本の対応が注目されているが、これまで政府は「権益をロシアや第3国に取得されると、一層の資源価格高騰を招いたり、ロシアを利することになり、有効な制裁にならないことを懸念している」(萩生田光一経産相)などと権益を手放さない方針を示している。

(清水律子)

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