April 12, 2019 / 2:22 PM / 4 days ago

コラム:人口減の閉塞、1人当たりGDP目標を掲げ突破すべき

[東京 12日 ロイター] - 日本の人口が8年連続で減少し、70歳以上の人口が初めて20%を超える高齢化も進展していることが総務省の発表でわかった。人口減と高齢化は、税収減を伴って財政を悪化させ、社会保障システムを崩壊させかねない。そこで拱手傍観するのでなく、1人当たりGDP(国内総生産)引き上げを国家目標に掲げ、そのためにできることを短期、中期、長期と整理し、政府が大きなデザインの下で、社会改革に臨むことを提案したい。

 12日、日本の人口が8年連続で減少し、70歳以上の人口が初めて20%を超える高齢化も進展していることが総務省の発表でわかった。写真は東京で2018年12月に撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

総務省が12日に発表した人口推計によると、2018年10月現在の総人口は1億2644万3000人となり、前年比26万3000人減少した。減少は8年連続。

また、70歳以上が97万9000人増の2621万人となり、総人口に占める割合は、初めて20%を超えた。また、65歳以上の人口のうち、75歳以上が占める割合も初めて半数を超え、高齢化が一段と急ピッチで進展していることを示した。

この現象は、労働力人口の減少を招き、同時に国内市場の縮小傾向に拍車をかけることになる。内需の拡大は、市場が縮小する中では、達成のハードルが上がる。

財政面では、税収の伸びを確保するのが難しくなり、財政健全化のゴールがさらに遠のくことが予想される。

社会保障費は右肩上がりに増え、税収が伸びなければ、すでに1000兆円を超す公的債務残高が一段と膨張することになるだろう。

現在は、対外債権残高がネットで大幅なプラスであるため、海外投機筋の日本国債売り仕掛けは失敗に終わっているが、いずれその「貯金」がなくなってしまえば、長期金利が急上昇する局面がやってくる可能性が高まる。

政府関係者の一部には、ここまで債務残高が膨張し、少子高齢化が進んでしまったのでは、大きなトレンドを転換するのは難しいとの声もある。

しかし「諦め」は危険な考え方だ。日本の未来を少しでも明るい方向にシフトさせる手段はないのか──。

そこで私が提案したいのは、1人当たりGDPの引き上げを日本全体の目標に掲げ、そこに至るための政策手段を挙げ、着実に実行していくことだ。そのために多方面からの意見を政府が集め、整理したうえで国民に提案し、ここから50年後にどのような国にするべきか、コンセンサスを形成する努力をするべきだと考える。

内閣府が18年12月に発表した1人当たりGDPの額は、経済協力開発機構(OECD)加盟国36カ国の中で20位だった。前年の18位から後退している。

ここには、生産性の低さも影響している。日本生産性本部が18年12月に公表した労働生産性の比較では、OECD加盟国中で20位だった。

まず、官民上げて労働生産性の引き上げに何が必要なのか、ヒト、モノ、カネの活用の仕方について、全面的に見直すリストをまとめ、実行していくことが必要だろう。

また、経済面での国際競争力を高めるには、AI(人工知能)やビッグデータを駆使できる技術者の育成が欠かせない。そのために大学で教える分野の再調整など抜本的な改革に着手するべきであり、その手前の中学、高校教育のあり方も全面的に見直すべきだろう。

短期的な人手不足への対応では、働く意欲と能力のある高齢者の雇用を原則として年齢の上限なしに認める(たとえば80歳超でも可能にする)ことも検討すべきだ。

一方で、低所得者向けには、全国で増大している「空き家」を活用し、公的資金を導入して安い価格で賃貸できるようにし、低所得者でも十分に生活できる経済環境を作り出すことにも乗り出すべきだ。こうした取り組みなしに、出生率を上げることはできないだろう。

ここに挙げたことは、ほんの一部のパーツに過ぎない。様々な分野での大胆な改革案について、広い階層から意見を集めるのも、閉塞(へいそく)感から脱却するには必要な「ツール」であると考える。

1人当たりGDPを少しずつ押し上げることで、豊かさの階段を一歩一歩実感していくということは、日本国民がしばらく実感してこなかったことではないだろうか。

社会の大改革に向け、早く一歩を踏み出すべきだ。

●背景となるニュース

・総人口は1億2644万人、8年連続の減少=総務省推計

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