May 20, 2019 / 9:30 AM / 3 months ago

焦点:民需悪化のGDP、政府は「内需崩れず」 増税判断は先送り

[東京 20日 ロイター] - 「内需は崩れていない」──。1─3月GDPでは内需の柱である消費、設備投資が前期比マイナスに落ち込んだが、政府はこれまでの景気認識を変えなかった。消費増税も予定通りとの姿勢を堅持。一方、米中摩擦がここへきて再燃、先行きを楽観視できる状況でもない。GDPがカギと見られていた消費増税の判断は、衆議院解散なども絡めた安倍首相の政治的判断に委ねられる情勢となっている。

 5月20日、「内需は崩れていない」──。1─3月GDPでは内需の柱である消費、設備投資が前期比マイナスに落ち込んだが、政府はこれまでの景気認識を変えなかった。写真は都内で2016年8月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

<国内民需持ちこたえ、増税実施に影響なし>

1─3月期GDPについては、輸出に加え、消費や設備投資がマイナスとなり、全体の成長率も横ばいとの見方が主流だったが、内閣府幹部は「内需は腰折れせず」と明言していた。茂木敏充経済財政相も19日の討論番組で同様の見解を示しており、「内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしている」との政府見解を維持する方針が先週の段階で決まっていたフシもある。

結果として今回のGDPはプラス成長となり、内需の寄与度も予想を覆してプラスとなった。 「消費増税は予定通りだ」ーー茂木経済財政相はGDPの結果を受けた記者会見でこう述べ、 菅義偉官房長官も午前の記者会見で、個人消費がマイナスとなったが、雇用・所得環境や企業収益が高水準にあることから、増税実施への影響は「全くない」と断言した。

こうした発言の背景には、人手不足などで雇用・所得環境が良好であるほか、「令和」への改元効果で4─6月期の消費は腰折れしないとの見方に加え、日銀短観の今年度設備投資計画がしっかりしていたことなどから、消費、設備投資とも先行き再びプラスに戻る可能性が高いとの見通しがある。

個人消費や設備投資が前期比マイナスとなったはいえ、10─12月期はいずれもプラス成長だったため、反動減との見方もできる。特に設備投資は、事前の市場予測に比べて減少幅が極めて小さかったことから、「日本経済が海外からの沈降圧力に対して抵抗力を示した示唆であり、ポジティブサプライズ」(SMBC日興証券・丸山義正チーフエコノミスト)といった評価も目立つ。

<米中摩擦と政治リスク、残る増税延期の可能性>

しかし、この先を見通すとそう楽観視ばかりできそうにない状況だ。ある経済官庁幹部は「連休明け以降、事情がやや違ってきた」として、米中摩擦の再燃に懸念を示す。連休前には、年後半には海外減速も底を打ち、国内景気もしっかりした足取りへ回復するシナリオを描いていたが、底打ち時期が遅れる懸念が出てきたためだ。

特に影響が大きいと指摘されているのが、すでに発動した2000億ドル分に加えて、トランプ大統領が示唆する3250億ドル分の中国製品への関税賦課だ。グローバルなサプライチェーンに大きな影響を及ぼしかねず、企業のコストは大きく膨らむ。政府関係者は、摩擦が長引くほど打撃は内需にも及ぶと懸念。増税環境は整うどころではなくなる可能性もある。

与党関係者の中には「今回のGDPをもって増税実施ということはない。まだまだ十分延期の可能性はある」との見方が広がる。

一つの選択肢として「米中首脳会談が決裂し株価が暴落すれば、当然増税延期となるのではないか」とも言われている。

さらには衆参ダブル選挙を巡る政治的な不透明感も色濃い。菅官房長官は17日に続き20日も「不信任案提出は制度上の問題だから、解散の大義として当然だ」との見解を繰り返している。

政府関係者からは「解散総選挙に関する不透明感と、米中摩擦という2つのリスクがあり、それによって政策のアプローチも変わってくる。今何か決められる状況ではない」といった見方も強まっている。

当初、政府の景気認識や増税判断にとってカギを握ると言われていた1─3月期GDP速報だが、米中の政治的な対立や国内の選挙情勢など様々な要因の重みが増す中で増税判断の決め手とはならず、高い注目度は肩透かしを食ったとも言えそうだ。

中川泉 取材協力:竹本能文 山口貴也 編集:石田仁志

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