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焦点:オープンシフト鮮明、主要生損保下期運用計画 通貨分散も
2017年10月26日 / 09:56 / 1ヶ月後

焦点:オープンシフト鮮明、主要生損保下期運用計画 通貨分散も

[東京 26日 ロイター] - 国内主要生損保の2017年度下期・一般勘定運用計画では、オープン外債へのシフトが一段と進むことが明らかになった。ドルのヘッジコストが高止まりしており、為替リスクを勘案しても利回りを重視するというバイサイドが多い。社債などのクレジット物やドル以外の通貨分散も継続。国内投資は債券、株式ともに依然慎重だ。

 10月26日、国内主要生損保の2017年度下期・一般勘定運用計画では、オープン外債へのシフトが一段と進むことが明らかになった。写真は各国の紙幣、昨年1月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

<ドル/円は安定推移と予想>

10年米国債の利回りUS10YT=RRは、足元で上がってきたとはいえ2.4%台。ドルのヘッジコスト(3カ月物)が1.8─1.9%で高止まりしていることから「仕上がり」は0.5─0.6%程度にとどまる。米国債は流動性の高さが魅力的だが、為替ヘッジ付きでは、十分な利回りが得られない。

日本生命は新規資金配分8000億円程度の大半を、為替ヘッジをしないオープン外債に振り向ける計画だ。上期にやや前倒しで投資したヘッジ付き外債を下期に抑制する方向で、ヘッジ外債とオープン外債を合わせた残高は、増加する見通しとなっている。

オープン外債は為替リスクに対して文字通り「裸」の状態だ。円安に進めば評価益が発生するが、円高が進めば評価損が発生する。各社のドル/円JPY=EBS予想をみると100円割れはなく、年度末は115─120円の想定が多い。利回りの追求だけでなく、為替が比較的安定的に推移するとの予想が「オープンシフト」の背景だ。

また、ドル以外の通貨にも、オープン外債投資が進んでいる。富国生命は上期にオーストラリア債に450億円、カナダ債に280億円投資した。「ほぼオープン投資だ。為替の動きが比較的安定しており、利回りも高かった。相場次第だが、下期もオープンが中心で、流動性の高い資産に通貨分散を進める」(財務企画部長の渡部毅彦氏)としている。

<世界的低金利、投資先の多様化進む>

かつてのように、日本国債やヘッジ付き米国債など、これに投資しておけば収益的に大丈夫という投資先はなくなった。運用の多様化・高度化を担う「専門組織」の立ち上げや、海外企業との提携などにより、各社とも世界的に低金利が広がる「運用難時代」を乗り切ろうとしている。

住友生命は、子会社化した米国の中堅生保シメトラ・ファイナンシャルによる銘柄選別の目利き力を生かし、米国社債を中心に外貨建て事業債への投資拡大を軸にする。バンクローンファンドやローン担保証券(CLO)などへの投資、航空機ファイナンスローンやプロジェクトファイナンス融資にも取り組む計画だ。

明治安田生命は、上期に米国の住宅ローン担保証券(RMBS)を買い入れたほか、6月から海外の公募社債への投資を本格化。メガバンクが海外で発行するTLAC(Total Loss-Absorbing Capacity)適格シニア債や、インフラ関連で海外企業が発行する私募債、ESG債券などクレジット投資を強化した。

社債などクレジット投資も、引き続き盛んだ。ただ、第一生命保険(8750.T)の運用企画部長の重本和之氏は「過去の(クレジット)サイクルからみて、終盤に向かっている。予測デフォルト率は急変動するため、上がり始めてからではポジションを落とせないという点に留意している」と話している。

<国内投資は抑制継続>

大多数のバイサイドは、国内投資に依然として慎重な姿勢。日本国債の利回り水準が、生保の主要投資先となる20─30年の超長期ゾーンでまだ低いためだ。16年と比べれば上昇しているものの17年に入って、ほぼ横ばい推移。「1%以下の利回りでは運用は苦しい」(複数の運用担当者)とされる。

第一生命(8750.T)は、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」による低金利環境が続くと予想。円債投資は引き続き抑制姿勢を維持。日本国債への投資は基本的に行わず、償還等により残高は減少する見通しだ。

一方、20年ぶり高値となっている日本株に対しては、慎重姿勢は変わらないものの、上期に関しては比較的積極的な投資を行ったバイサイドも多かった。

太陽生命では、上期の日本株が売買ベースで前年度から増加。執行役員の根釜健氏は「景気がグローバルにしっかりしていた。地政学リスクがあるが、世界的にリセッションを起こす蓋然(がいぜん)性はさほど高くないと考えていた」と話す。ただ、下期は「日経平均がかなり上がってきたので、現段階では横ばいで運用することを考えている」(20日時点の発言)としている。

日経平均の予想は、年度末で2万1000円─2万1500円が多い。26日の終値2万1739円よりも、やや低い水準となっている。

伊賀大記 編集:田巻一彦

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