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焦点:海外勢が株投資を中立に、不透明感強く 日本株も手控え

[東京 12日 ロイター] - 株式投資のスタンスを中立にする海外投資家が増えてきた。新型コロナウイルスの感染状況や金融政策の先行き不透明感から、強気でも弱気でもないニュートラルにいったん戻している。日本株には長期的な期待感を示す声もあるが、東京五輪や政治リスクも加わり、積極的な売買が手控えられている。

 7月12日、株式投資のスタンスを中立にする海外投資家が増えてきた。ニューヨークで4月16日撮影(2021年 ロイター/Carlo Allegri)

<上下両方にリスク>

仏アムンディは株式投資のスタンスをほぼ全ての地域で中立にした。パスカル・ブランケ最高投資責任者(CIO)は、経済活動の正常化期待は株価に大方織り込まれたとの見方から「戦術的にリスク量を絞った結果だ」と説明する。

クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部も、ほぼ全ての資産クラスを中立判断にした。松本聡一郎CIO(日本)は「センチメントが楽観に、ポジションも一方向に傾き過ぎている。ここから夏場にかけて3─6カ月程度はアロケーション的には追加のリスクを取らない」と話す。

世界景気にピークアウト懸念が強まる一方、米FRB(連邦準備理事会)など中央銀行のタカ派方向へのスタンス転換が警戒されている。欧州中央銀行(ECB)は6月10日の理事会で、最終的には緩和的な政策を維持することで「大筋合意」したが、経済回復が加速する中で金融緩和策の縮小を協議したことが明らかになった。

「マーケットでは常に勝負しなくてはならないわけではない。水準的に行き過ぎだと警戒感を持ち始めた時、往々にして市場の大きな潮目が変わる前には中立にする。(潮目の変化に)確信を持てる段階になれば投資判断には再びばらつきが出るだろう」と松本氏は語る。

<日本株も中立に>

日本株についても、年初まで「強気」視していた欧州系運用会社が判断を引き下げている。アムンディは5月に日本株と新興国の判断を中立に下げた。

独DWSのショーン・テイラー・アジア太平洋地域(APAC)CIOも、「ここ4カ月ほど、成長のデルタ(変化量)の中心は欧州と米国だ。年後半の可能性には期待も残るが、日本株は中立に下げた」と話す。

海外勢は日本株にだけ特別に慎重なスタンスになっているわけではないが、スイス系のピクテ投信投資顧問の市川眞一シニアフェローは、「日本は今回のコロナ禍で人口当たり感染者数が少ない中で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置をだらだら繰り返し、その行政能力の弱さが露呈し、世界の投資家が日本を敬遠する背景となった」と指摘する。

今年2月に30年半ぶり高値をつけた日経平均株価だったが、年初来の上昇率は1.8%。米主要株価指数が14─16%、欧州主要株価指数が10─18%、MSCI全世界株指数が12%(いずれも前日終値)と2桁の上昇率であるのと比べ、出遅れ感が強い。

<先行きに期待も政治リスクなど懸念>

一方、日本株に新たに関心を寄せる投資家も出てきた。資産運用世界最大手の米ブラックロックは今月、「年後半は世界景気の回復の追い風が見込める」として、日本株の投資判断を「やや弱気」から中立に引き上げた。

米ティー・ロウ・プライスのマルチアセット・ソリューションズAPAC責任者、トーマス・プラウエック氏は「(菅内閣の)支持率低下は一見ネガティブだが、その分、市場が喜ぶ政策が今後打ち出される可能性が高まった」と期待をかける。「世界景気回復の恩恵を受けやすく、バリュエーションも魅力的」と述べ、日本株に「やや強気」の判断を維持している。

スイスのロンバーオディエ・プライベートバンクのステファン・モニエCIOは、政府のコロナ対応の拙さと菅政権の支持率低下などを理由に、日本株の投資判断は「弱気」で維持。しかし、最近の株安を受け、「政治、パンデミック、五輪という悪材料は既に株価に織り込まれ、魅力は高まりつつある。中国景気のモメンタム改善を示すエビデンスか、円安や輸出を助ける金融政策があれば、日本へのアロケーション引き上げを考えたい」と語る。

とはいえ、政治的安定が崩れれば話は別だ。

みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは、東京五輪が菅内閣と日本株市場にマイナスに寄与する可能性を危惧する。「無観客開催となる開会式や競技は、外国人投資家には日本がコロナから脱却できていないワクチン後進国と映るだろう。関係者だけが観戦する姿を見た国民の反発が広がり、内閣の支持率低下につながる可能性もある」という。

市場では「さすがに自民党が政権の座から転落しないとしても、第2次安倍内閣以降続いた日本の政治的安定が終われば、外国人は売り姿勢を強めるだろう」(リブラ・インベストメンツの佐久間康郎CIO)との見方が多い。

(植竹知子 編集:伊賀大記)

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