May 2, 2019 / 11:47 PM / 7 months ago

コラム:令和時代のIT化、分断生まぬ「和」の新システムを

[東京 3日 ロイター] - 「令和」の時代が始まった。平成の31年間で社会や経済環境が大きく変わったが、その数倍の速さと規模で、日本を取り巻くグローバルな環境や日本国内の社会構造、経済のあり方も大きく変貌するだろう。

 5月3日、「令和」の時代が始まった。平成の31年間で社会や経済環境が大きく変わったが、その数倍の速さと規模で、日本を取り巻くグローバルな環境や日本国内の社会構造、経済のあり方も大きく変貌するだろう。写真は都内で2016年撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

IT化がさらに加速していくと、そのシステムに乗っている人たちとそれ以外の人たちの格差が急速に拡大し、「分断」が課題になる可能性もある。それを防ぐための「思想」や「システム」が生まれ、新しい「和」を意識した麗しい社会の到来を期待したい。

IT技術の進歩は社会を変える。5G(次世代高速通信規格)が普及すると、自宅に居ながらにして、オフィスと全く同じ環境で仕事ができる。もしかすると会社に通勤する日数が大幅に減って、満員電車の風景が大都市からなくなるかもしれない。

また、5GとVR(仮想現実)を組み合わせて、失われた城郭を城跡でリアルに体験するということも可能になる。内外からの観光客が急増し、新しい観光ルートがいくつもできる可能性がある。

患者と病院の関係も変わる。自宅のPC画面を通じて医師と会話し、通院しなくても、自宅近くの薬局で薬を受け取ることも可能になる。尿検査は、自宅のトイレで採尿し、そのデータが病院に送られるシステムも構築されるかもしれない。

トランプ米大統領が言及したように、5Gの先の6Gの時代が到来すれば、社会のあり方が劇的に変化することになる。

また、5Gでは劣勢を強いられている日本企業が、今から先を見据えて技術者を確保し、先行投資を積極化させ、そのためのファイナンスの仕組みも整備していけば、金融業も含めて、復活する可能性がある。

過疎化が進む地方では、IT化の進展が農業の生産性を大幅に向上させ、最先端農業が地方を活性化させる起爆剤になり得る。それが可能なのは、日本の農村には、きれいな水と空気があり、安全な農作物を作り得る世界でも稀有な環境が残されているからだ。

味がよく安全な農産物は、所得が上昇しているアジア諸国を中心に輸出が可能だ。

しかし、IT化は知識の集積度の高まりを意味し、高度な教育を受けた人たちがその恩恵を受け、結果としてITとは無縁になってしまった人たちが、経済的も社会的にもその恩恵を受けづらくなるという現象が発生する可能性もある。

IT化の加速に代表される技術の進展が、経済格差の拡大を生み出し、その再生産がテンポアップしていくなら、社会の分断という問題が発生すると予想する。

日本国内で生活している人々の中に存在する連帯感が失われるようなら、社会的な緊張が高まり、欧州などで見られるようなデモ隊と警察との衝突が頻発し、「安全な日本」のイメージが毀損されることにもなりかねない。

経済の持続的な成長に欠かせないのは、質の高い労働力や高い生産性だけではない。安定した社会的インフラの存在が何より重要だ。

そこでポイントになるのが、企業経営者の「考え方」だと指摘したい。利益を出すために設備投資し、技術進歩に対応できるよう研究開発にも大規模な資金を振り向けている。そこに「社会への還元」という新しい費目を設け、株主の理解を得るよう説明するべきだ。

還元方法の具体策として、勉強したくても資金的に難しい若い世代をサポートする奨学金支給のための基金創設があっていいと思う。

社会の安定や連帯感の創造に向け、資金を拠出できる階層や企業が、率先して行動することが重要だ。その考え方が、1つの社会的なコンセンサスになるまで強固になれば、日本社会のあり方は、大きく変貌するし、多くの人が明るい未来を展望できるようになると予想する。

令和の時代にそうした社会システムの運営が軌道に乗れば、そのプラス面をグローバルに波及させることもできるだろう。

「和」という言葉が、世界的に認知されるような新しい社会の到来を望みたい。

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