[東京 29日 ロイター] - 国土交通省が29日に発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)によると、 全国の住宅地・商業地を含む全用途平均は前年比0.6%下落した。下落は3年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で経済の先行き不透明感が高まり、需要が減退した。
商業地は0.3%下落と、5年ぶりに下落に転じた。東京・大阪・名古屋の3大都市圏は0.7%上昇とプラス圏を維持したが、名古屋圏は1.1%下落と2012年以来のマイナス転換となった。
前年、28年ぶりに上昇に転じた地方圏の商業地は0.6%下落となった。都道府県の県庁所在地では21市が前年比下落。前年は札幌、仙台、京都、大阪、福岡、那覇の6市が10%以上の伸びとなったが、今年10%以上の上昇率となったのは那覇市(10.2%上昇)のみだった。
住宅地は0.7%下落し、前年の0.1%下落から下落率が拡大。マイナス圏は1992年以降、29年連続。3大都市圏は0.3%下落。札幌、仙台、広島、福岡の地方4市は3.6%上昇で、前年の4.9%上昇から伸び率が縮小した。
国交省は今回の地価調査について「新型コロナウイルスによる先行き不透明感のある中で、これまでの回復傾向がいったん止まって、立ち止まった状態だ」とみている。現時点では、住宅、オフィスなどで大幅な需給バランスの変化は見られず、物流施設に適した土地や再開発地域での需要が落ちたとは確認できていないという。「社会・経済活動のレベルは徐々に上がってきている」とし、地価が今後も下落を続けるかどうか判断するのは難しいとしている。
基準地価は各都道府県が毎年7月1日における調査地点の価格を調査・公表し、国土交通省が全国状況を取りまとめている。今回の調査地点は2万1519地点。国交省が実施する地価公示(毎年1月1日時点の調査)と実質的に相互補完的な関係にある。
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