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アングル:目算狂う日本の安全保障、ミャンマーが軍政回帰

 2月1日、日本政府は、ミャンマーで再び政権を掌握した国軍とかねてから防衛当局間の関係強化を進めていた。インド洋や南シナ海で影響力を拡大する中国をけん制するためだが、アウン・サン・スー・チー国家顧問らを拘束した軍事政権への批判を欧米諸国が強める中、日本は戦略の見直しを迫られる可能性がある。写真は1日、ミャンマー・ネピドーのチェックポイントに立つ兵士ら(2021年 ロイター)

[東京 1日 ロイター] - 日本政府は、ミャンマーで再び政権を掌握した国軍とかねてから防衛当局間の関係強化を進めていた。インド洋や南シナ海で影響力を拡大する中国をけん制するためだが、アウン・サン・スー・チー国家顧問らを拘束した軍事政権への批判を欧米諸国が強める中、日本は戦略の見直しを迫られる可能性がある。

急速に軍事力を拡大する中国と向き合う日本は、安全保障の戦略上、東南アジアとの関係を重視してきた。第2次安倍晋三政権以降、フィリピンに海上自衛隊の中古航空機を供与するなど、ASEAN(東南アジア諸国連合)の軍事力を強化する「能力構築支援」に力を入れてきた。

「東南アジアは南シナ海とインド洋をつなぐ場所にあり、地理的に重要」だと、防衛省防衛政策局の松尾智樹参事官は説明する。しかし、長らく軍事政権下にあったミャンマーと、日本の防衛当局が直接的に関係を深めることはなかった。

転機となったのは、ミャンマーが民政移管した2011年。日本の防衛大学校は2015年から同国の留学生を受け入れ始め、これまでに10人が来日。大学校に入学することが前提の日本語研修生を含め、現在は8人が神奈川県横須賀市で学んでいる。

2014年からは能力構築支援プログラムも開始し、まずはその年の12月に海上自衛官など6人をヤンゴンの軍病院に派遣した。潜水作業で起こりうる医学的な問題について、ミャンマーの軍医や潜水士30人に講義を行った。その後も災害が発生した際の衛生活動の研修や、空軍に必要な気象分析などに関するセミナーを開催するなどしている。

イスラム系少数民族の虐殺問題で国際的に批判を浴びている最中も、ミャンマー軍の中将などが防衛省を訪れ、当時の小野寺五典防衛相と面会した。

笹川財団の上席研究員で、元海上自衛官の小原凡司氏は「ミャンマーは中国と関係が深く、中国が多くの投資をしている」と指摘。「中国だけに依存することになると、その意向に逆らえなくなる」とし、日本が関係を深めてバランスを調整する必要があると解説する。

しかし、ミャンマーが軍事政権に回帰することで、日本の目算は狂う。米国やオーストラリア、英国は軍政を非難する声明を出したが、日本は加藤勝信官房長が同日午後の会見で「重大な懸念」を示すにとどまった。「日本がミャンマーを叩きすぎると、ますますミャンマーは中国べったりになってしまう。日本は上手にやらないといけない」と、防衛政策に詳しい自民党議員は言う。

中国が台頭を続ける一方、ミャンマーが民主国家から離脱する中、日本はこの先も同国と防衛交流を続けるのか。防衛省の松尾参事官は「現地で何が起きているのか情報を収集中であり、現時点で言えることはない」とした。

久保信博 編集協力:竹本能文 編集:石田仁志

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