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焦点:企業業績、鍵握る部品調達 半導体の争奪激しく

[東京 12日 ロイター] - 2022年3月期の中間決算発表が、きょうピークを迎える。企業業績は、新型コロナウイルス禍で経済活動が大きく停滞した前年からは大きく改善している。一方で、品薄の半導体の奪い合いは続いており、車からゲーム機まで幅広い分野で生産が遅延、景気回復の恩恵を十分取り込めていない実態も明らかになった。久しぶりの円安は追い風だが、半導体不足は下期さらに深刻になるとの見通しもあり、部品の調達が業績を左右する状況が一段と強まりそうだ。

 11月12日、2022年3月期の中間決算発表が、きょうピークを迎える。東京都で2014年7月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

<販売計画は下方修正、利益予想は上方修正>

円安の追い風と半導体不足の向かい風がぶつかり合った今回の決算。その典型が任天堂だ。巣ごもり需要や人気ソフトの相次ぐ投入で、発売から5年が経過しても人気を集める「ニンテンドースイッチ」だが、半導体不足の現状では「(年末の)ホリデー商戦に向けて、想定需要を満たせるほど生産ができない」(古川俊太郎社長)と判断し、通常なら販売が大きく増える下期計画の引き下げに追い込まれた。

しかし、修正公表した通期の業績見通しでは、売上高を期初計画から据え置き、営業利益を計画比4%増の5200億円に上方修正した。スイッチの販売減をソフト販売の上振れが補ったことに加え、売り上げの8割を占める海外向けが円安効果で増収増益要因となったためだ。

通期の想定レートはユーロを120円から125円へ変更したものの、米ドルは105円で据え置いた。ドルの実勢は現在114円程度。海外売上の半分を米大陸向けが占めていることを考慮すれば、計画は下期の下振れリスクに対し、かなり余力を残したものといえる。

今回、こうした展開は珍しくなかった。トヨタ自動車も東南アジアの工場停止を受けて、グループの世界販売計画を1029万台へ引き下げたが、営業利益見通しは2兆8000億円と当初計画から3000億円上方修正した。円安のかさ上げ効果は4300億円分に達し、それを除けば「実質は下方修正」(近健太取締役)だ。

<社会の新「コメ」不足と大国の争奪戦>

メーカーの増産にもかかわらず、下期の半導体不足が上期以上に強まる可能性を警戒する声も相次いだ。在宅勤務の広がりで需要が急増した個人向けPCなどのIT機器、来年度に本格稼働する5G対応、うなぎ登りの通信データを格納するデータセンター向け、関係者の想定以上に早く進む自動車のEV化対応と、需要増の具体例はあらゆる方面に広がり、挙げればきりがない。

かつて産業のコメと呼ばれた半導体。現在は「産業、社会、生活のコメとして役割が広がっている」(東京エレクトロンの河合利樹社長)といえる。

社会の中で役割が広がれば当然、その存在感は以前と比べ物にならない大きさに膨れ上がる。半導体不足の背景には、純粋な需要増だけではなく「例えば米中(対立)の問題があり、中国が半導体の在庫を大量に押さえているとか、新たな投資できないとか、構造問題があるので、すぐには解決しない」(日立製作所の河村芳彦CFO)という。大国の経済安全保障上の駆け引きが問題をより複雑にし、見通しを立てづらくなっている。

そのため、過去最高益を続々と叩き出している半導体関連メーカーは強気だ。ある部材で世界的なシェアを持つ企業の幹部は「国が半導体が重要だと言い、不足する中で取り合いが起こっている。経済安保の一種となった今、市場の論理だけで減ることはない」として、爆発的需要増の反動が今後多少あっても、従来のような大幅な反動減は起こりにくいとみる。

<不足部材は刻々変化、ベトナム政府の対応に抗議も>

半導体以外の部材不足も下期の課題だ。不足品は「最初は半導体が主だったが、その後の東南アジア各国の工場閉鎖により、一般的な部品もかなり影響を受けている」(NECの藤川修CFO)といい「様々な部材の供給がタイトになっている。足りなくなりそうな部材が、刻々と変化しているような状況」(ディスコIR室)という。

中でも槍玉に挙がったのは、ベトナム政府のコロナ対応だ。8月には最大都市ホーチミン市で食料の買い出しも含めて市民の外出を禁止するなど、厳格なロックダウン(都市封鎖)を実施。対策が奏効して9月には感染者数が減少に転じたものの、多くの工場が操業停止に追い込まれ、様々な企業や業種でサプライチェーンが寸断された。

中国への生産拠点の一極集中や人件費の上昇、政治リスクの回避などを目指して、日本企業がここ数年で行ったサプライチェーン多角化の受け皿となったベトナム。JETRO(日本貿易振興機構)によると、日本政府が昨年導入したサプライチェーンの多元化を⽬的とした補助金(海外サプライチェーン多元化等支援事業)で、最も多く採択されたのも同国だった。

有力進出企業のひとつ、日本電産の永守重信会長は今夏、同国のコロナ対策を見かねて政府に抗議した。「(従業員数が)5000人の工場で、ひとりでも感染者が出たら閉鎖というのはやり過ぎだ。そんなことをしてたら工場が全部出ていきますよと再三言った」という。

そのベトナムでは、新型コロナの新規感染者数が再び増加している。ピーク時の1.7万人台から、10月半ばには3000人台まで減少したが、現在は再び7000人台。ワクチン接種の遅れが第4波の猛威につながっている。下期も企業業績を脅かす要因となりそうだ。

(基太村真司 編集:橋本浩)

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