March 26, 2018 / 7:38 AM / a month ago

アングル:「パワハラ保険」販売急増、中小企業にもリスク意識

[東京 26日 ロイター] - パワーハラスメントなどの不当行為に対して、従業員から起こされた賠償請求を補償する保険が売れている。中でも目立つのが中小企業の強いニーズだ。働く人の権利意識の高まりで、訴訟リスクへの認識が中小企業にも浸透し始めていることが背景にある。また、足元で強まる人手不足を原因とする雇用トラブルも、事業者の懸念を強め、保険購入を促している。

 3月26日、パワーハラスメントなどの不当行為に対して、従業員から起こされた賠償請求を補償する保険が売れている。中でも目立つのが中小企業の強いニーズだ。写真は都内で2016年12月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725.T)では、雇用慣行賠償責任補償特約と呼ばれる保険契約の販売件数が2017年度、約2万件と前年度比5割超、増える見通しだ。2年前と比べると2.5倍以上の伸びとなる。

雇用慣行賠償はEPLとも呼ばれ、パワハラやセクハラ、不当解雇などを巡り、従業員から企業が損害賠償を請求されることを指す。

これに対し、労働災害で従業員がけがや死亡した場合の賠償責任は、ELと呼ばれる。近年EPL保険が急速に売れ始めたのは、中小企業がそれらのリスクを意識し始めたからだ。

「もともとオーダーメイドのEPLはあったが、海外展開をしている大企業などに限られていた。2011年と2015年に中小企業向けに発売した賠償責任保険に特約として付けたところ、急速に販売が増えた」と三井住友海上・火災新種保険部の大道武志課長は説明する。

損保ジャパン日本興亜は、全国商工会議所の会員向けに販売している業務災害補償プランに昨年10月からEPL特約をつけたところ、今年2月末時点で、同社全体のEPL保険契約件数が前年比で約30倍に増加したという。「企業のEPLへの関心は、非常に高い」と同社の企業商品業務部の中野剛課長代理は語る。

東京海上日動火災保険で中小企業向け戦略商品の開発を担当する赤木克之課長も「労働者を保護する法律の整備や働き方の多様化、情報化社会の進展に伴う権利意識の高まりなど、企業が対処すべき労務課題は年々複雑かつ高度化している」と指摘する。

実際に企業が直面するEPLリスクは高まっている。厚生労働省によると、全国の労働局などに寄せられた2016年度の民事上の個別労働紛争の相談件数は25万5460件、前年度比4.2%増と増加傾向が続いている。

そのうち「いじめ・嫌がらせ」に関するものが、トップの7万0917件(前年度比6.5%増)となっている。

EPLへの意識の高まりは、人手不足を巡る中小企業特有の事情もあるようだ。

三重県内で保険代理店を営むフィット総合保険の佐藤唯文代表取締役は「人手が足りず困っているなか、とりえあず採用をしてみたところ、当人が問題のある人物とわかって辞めさせようとしても、逆に不当解雇で訴えられるのでは、という不安を抱えているところも多い」と取引先の中小事業主の思惑を説明する。

「中小企業オーナーの場合、大企業と違い、訴訟があった場合、それがそのまま企業の存続にかかわるということで、大きなリスクとしてみている」と同氏は語る。

    浦中大我

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