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訂正-アングル:甘利氏の進退問題、市場は経済安保政策への波及警戒

(7段落目の酒井才介氏の漢字を訂正します)

自民党は衆院選で絶対安定多数を確保したものの、幹事長の甘利明氏が小選挙区で落選する異例の事態が生じ、市場関係者の間では、今後の政策決定や遂行に支障が出かねないと警戒する声が聞かれる。写真は10月31日、自民党本部の開票センターで撮影(2021年 代表撮影)

[東京 1日 ロイター] - 自民党は衆院選で絶対安定多数を確保したものの、幹事長の甘利明氏が小選挙区で落選する異例の事態が生じ、市場関係者の間では、今後の政策決定や遂行に支障が出かねないと警戒する声が聞かれる。特に、甘利氏が率先して進めてきた経済安全保障の分野でその懸念が強い。

首相は1日、記者会見で「甘利幹事長から進退伺いを預かっている」と認めたうえで、「早いうちに対応したい」と語った。後任人事については、首相が国連の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席するため日本を発つ2日の前に決めるとの観測も出ている。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は「甘利氏の小選挙区落選による影響は大きい」と指摘。「経済安保で甘利氏の右に出る人は党内にはいない」とし、「次の幹事長は甘利氏ほど経済安保に対して力は入らないだろう」とみる。

そのうえで、今後の経済安保議論について「推進役の人がいなくなるということで分かりにくくなる」と話している。

甘利氏は自民党で半導体戦略推進議員連盟会長を務めるなど経済安全保障の議論を主導してきた。

同氏は9月に行ったロイターとのインタビューで、キオクシアホールディングスと米ウエスタンデジタル(WD)の間で浮上している合併の可能性について、「否定しているわけではない」、「規模が大きいほうが開発力はあるし、ユーザーニーズを把握しやすい」などと述べるなど、個別の案件にも積極的に発言してきた。

みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部経済調査チームの酒井才介(訂正)・上席主任エコノミストは「甘利氏の影響力を背景にした、これまでの党主導の政策遂行は勢いを失う可能性が高い」と分析する。

ただ一方で「経済安保の重要性はかなり認識されており、足元の半導体不足が経済に大きな影響を与えたのは周知の通りであり、甘利氏の影響力がなくなるとしても粛々と実行される」とし、政策の遂行に大きな影響はないと予想する。

<経済対策の規模、想定内か>

一方、自民党が単独で絶対安定多数を確保したことで、補正予算など経済対策の規模が膨らむ、との懸念は後退している。

自民党の獲得議席次第では、連立与党内で公明党の発言権が高まり、経済対策でも公明党の主張する18歳以下1人10万円の現金給付などの実現性が高まるとの見方があった。

信金中央金庫、地域・中小企業研究所の角田匠・上席主任研究員は「もう少し自民党が負けて公明が発言力を増すようなことがあれば、分配、現金給付などが大きくなると思っていたがそれはない。それほど大規模な経済政策にはならない」とみる。

現金給付について「自民党が金額を明示しないのは、おそらくそれほどの規模は希望しないのだろう」という。

JPモルガン証券債券調査部長の山脇貴史氏も、「過度なバラマキ政策の可能性は低下しつつあるように見える」と指摘する。

事業規模に関しては「数十兆円の経済対策が組まれる可能性が高いものの、これまでの政策の組み替えなども多く、必要な財政手当(新規財源債)はそこまで大きくならない」と述べた。

仮に「超長期債の増発につながったとしても、毎年議論されているような微調整の範囲を超えるような規模にはならない」といい、債券市場への影響は軽微との見方を示した。

岸田首相は1日の会見で、大型経済対策を11月半ばまでに策定し、年内のできるだけ早期に補正予算を成立させる方針を示した。生活困窮者への給付金や、観光需要喚起策の再開などを盛り込む。

*11月1日に配信した記事中、7段落目のエコノミストの名前を訂正します。

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