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焦点:日本郵政、個人に95%販売 投資家の拡大と安定株主化目指す

[東京 10日 ロイター] - 政府は、日本郵政グループ[IPO-JAPP.T]の新規上場(IPO)を契機に個人金融資産の証券市場へのシフトに向け、起爆剤にしたい考えだ。国内販売分は95%を個人向けに販売する方針で、NISA(少額投資非課税制度)枠内での購入もできるようにした。

 9月10日、政府は、日本郵政グループの新規上場を契機に個人金融資産の証券市場へのシフトに向け、起爆剤にしたい考え。都内の本店で2月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

新たな個人投資家層の開拓を期待し、銀行窓口での販売チャネルも確保。ただ、足元では株式市場の異変が進行中で、想定通りに進むかどうか予断を許さない。

<成長余力乏しく、機関投資家は敬遠>

日本郵政の発表によると、グループ3社の売出総額は1兆3875億円を見込む。国内外の販売割合は国内8割、海外2割。国内分のうち95%を個人を中心としたリテール向けに、5%を機関投資家向けに売る。

通常のIPOでは、国内向けのうち、リテールが8―9割を占めるケースが多く、95%という郵政のケースは、個人投資家に重点を置く異例の扱い。

この背景には、機関投資家が、日本郵政株に対し冷めた目を向けていることもあるようだ。

郵便、銀行、生命保険の集合体となる日本郵政グループの収益は、少子・高齢化が進む国内市場に依存しており、大きな成長は見込めないのが実情だ。

ある大手生命保険首脳は「郵政グループは成長の魅力が乏しく、キャピタルゲインは望めない。機関投資家としては、保有できない」と言い切る。当然、主たる販売先は個人投資家にならざるを得ない。

<投資家の裾野拡大と安定株主化>

ただ、政府内には、日本郵政株が個人投資家の裾野を広げるきっかけになるとの期待もある。株価の大幅上昇は見込めないにしても、業績は安定的に推移するとみられており「長期保有を前提に、安定配当を求める個人投資家に受け入れられやすいのではないか」と、金融庁幹部は言う。

郵政グループの各社は個人投資家が買いやすいように、それぞれ1対30の株式分割も実施し、1株あたりの株価を引き下げた。1単元は100株となるため、想定売出価格を前提にすれば、日本郵政株の場合は13万5000円から購入できる。年間100万円までが非課税となるNISAの枠内に収めることができる。

郵政グループは配当政策について、50%以上とする方向で調整中だ。株価の値上がりが期待できなくても、保有し続けるインセンティブが湧くようにする。

さらに、これまで株式を購入したことがない個人でも買いやすいように、銀行の販売チャネルを活用する。主幹事の1社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、グループの三菱東京UFJ銀行でも売出する。

三菱UFJは、メガバンクの中でも唯一、金融商品仲介機能を利用してIPO株式を銀行窓口で取り扱っているが「銀行で株式を購入した投資家は、上場後すぐ売却しないケースが多い」(関係者)という。「がっちりした機関投資家が望めないため、安定株主として期待できる」(関係者)と日本郵政も話す。

ただ、足元の株式市場の動きが不安材料だ。日本郵政が上場申請した6月に2万円を超えていた日経平均株価.N225は10日、1万8299円で引けた。

仮にこのまま株価の下落基調が続いても「株式市場の変調を認めたくない官邸は、郵政株の上場延期の決断を下すのは難しいのではないか」との見方が政府部内でささやかれている。

市場には、超大型IPOが相場の下押し圧力になりかねないとの懸念もあり、相場の展開次第では、今回のIPOが不首尾に終わるリスクも残っている。

布施太郎 編集:田巻一彦

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