[東京 23日 ロイター] - 自民党の半導体戦略推進議員連盟で事務局長を務める関芳弘衆議院議員は、国内の半導体製造基盤強化のためには10年間で10兆円規模の投資が必要で、政府とも認識を共有していると語った。政府が進める半導体戦略への批判は承知しているとしつつ、半導体の位置づけが経済安全保障上で高まる中、関連人材の優遇制度などの制度設計と体制整備を進めていくとした。
ロイターとのインタビューで23日、語った。
半導体戦略推進議員連盟は2021年5月に発足。岸田文雄首相や甘利明衆議院議員をはじめ100人程度の議員が所属している。
岸田首相は10月の所信表明演説で、半導体政策について「日本だけで10年間で10兆円増が必要とも言われるこの分野に官民投資を集める」と発言。11月には最先端半導体の量産を目指す新会社「Rapidus(ラピダス)」に700億円の研究開発予算を出すことも明らかにしている。
ラピダスは2020年代後半までに次世代の微細化技術を用いたロジック半導体「ビヨンド2ナノ(ナノは10億分の1)」の量産を目指しているが、実現可能性について懐疑的な見方は少なくない。
関氏は、近年のロシア・ウクライナ情勢の勃発によるサプライチェーン(供給網)の混乱、台湾情勢の緊迫化を受け「出来るか出来ないかを語る前に、挑戦せざるを得ない状況になっている」とし、今後も半導体人材の優遇制度など、制度設計や体制整備を行っていくとした。
米国では8月に国内半導体産業支援法案が成立し、日米での投資規模の差は幾度となく指摘されてきた。関氏は「日本は年間1兆円だけか、と世界各国が見ているだろう」と述べた上で、「成功への道筋があるとの財務省の判断があれば、もう少し出せる。われわれがしっかりと伝えていく」とした。
政府は液晶パネルを手掛ける企業を支援したが、国際競争力を維持できなかった過去がある。これについて関氏は、液晶パネルと異なり、半導体は安全保障に関わるため、状況が違うと答えた。「集団半導体安全保障」との言葉を用いて「日本単体ではなく、西側諸国で手を結べるところは結び合わないといけない」と語った。
半導体受託生産分野で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本工場に次ぐ第2工場の建設を検討しているとの一部報道については「一緒にやりたいと思ってもらえる体制作りが必要」と述べた。
(佐古田麻優、竹中清 編集:石田仁志)
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