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アングル:サービス消費、緊急事態解除でも回復緩やか 本格化は来年以降か

[東京 19日 ロイター] - 新型コロナウイルスの影響を最も受けたサービス消費の回復時期が見通せない。消費マインドが本格的に戻るのに必要とされる集団免疫獲得まで、強いペントアップ(先送り)需要が期待できないためだ。足元の緊急事態宣言が解除されても、ワクチン接種が国民全体に行きわたる時期は依然として不透明で、景気の本格回復は2022年以降になるとの予想も出ている。

 5月19日、新型コロナウイルスの影響を最も受けたサービス消費の回復時期が見通せない。写真は東京都の銀座で1月10日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<ウエート高いサービス消費、鈍い回復>

18日に発表された2021年1─3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比1.3%減となり、3四半期ぶりにマイナス成長となった。GDPの半分以上を占める個人消費が緊急事態宣言の影響などで落ち込んだためだ。

個人消費は自動車などの耐久財、衣類などの半耐久財、たばこやアルコール飲料などの非耐久財、外食や宿泊などサービスの4つに分類され、サービス消費は個人消費の6割程度を占める。1─3月期の落ち込みに大きく寄与したのが、このサービス消費。4─6月期の実質GDPも3度目の緊急事態宣言の影響でマイナス成長となる可能性を指摘する声も増えてきた。

サービス消費は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されれば回復するとみられるものの、回復度合いは強くないとの見方が多い。消費マインドの好転にはワクチンの普及が不可欠だが、国民全体に行きわたる時期がまだ見えていないためだ。

首相官邸のデータによると、18日時点での接種回数は約709万回。ロイターのデータでは、少なくとも1回のワクチン接種をした人は英国が55%近く、米国は48%となっている一方、日本は3%台にとどまる。

内閣府が13日に発表した4月の景気ウオッチャー調査では、現状判断DIが39.1と3月から9.9ポイント低下。先行き判断DIも同8.1ポイント低下するなど、先行きの感染症の動向に対する懸念が強まっている。

みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「ワクチンの輸入は本格的に進み始めたものの、実際の接種に当たって想定される保険医療面でのボトルネックが迅速に解消されるのか否か。これが日本の内需回復シナリオの実現可否を左右する」と指摘する。

大和証券の末広徹シニアエコノミストは「政府は画一的な経済活動抑制によって損失が大きくなることを避けるため、地域ごとにメリハリをつけた抑制策を重視している」と指摘。ワクチンが国民全体に行きわたらないうちは「イベントなど地域内で完結する消費と、長距離移動を伴う旅行・観光といった全国的な消費で2極化が続く可能性が高い」とみる。

<経済水準、インバウンド戻ればコロナ前回復>

ワクチンが行きわたればサービス消費でもペントアップ需要が生じるとみられるが、モノに比べて一定期間内の消費量に限界もある。

日銀が4月に発表した最新の「経済・物価物価情勢の展望」(展望レポート)では、「旅行のように消費活動そのものに一定の期間や特定の機会を要する、あるいは外食のように需要が特定の時間帯や時期に集中するケースが少なくないため、短期的には供給の天井にぶつかりやすい」との分析があった。

日本に比べてワクチン接種が進展している米国。米供給管理協会(ISM)が5日に発表した4月の非製造業総合指数は過去最高だった3月から小幅に低下した。コロナ制限策緩和や飲食店の営業再開などに伴い、宿泊や食品サービス関連企業から「人材の確保に苦慮している」状況が報告されたほか、建設業界も労働力不足から、全ての仕事を受注できない状況にあるという。

大和証券の末広氏は「景気の本格回復はワクチン接種の効果が予想される22年以降になる」との見通しを示し、「政府の『国境管理』の姿勢次第だが、インバウンド需要の回復が生じれば、日本経済の水準はコロナ前を回復する」と指摘している。

(杉山健太郎 編集:石田仁志)

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