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先物主導の日本株反発、「北」次第の大台割れ懸念消えず
2017年9月12日 / 08:41 / 13日前

先物主導の日本株反発、「北」次第の大台割れ懸念消えず

 9月12日、北朝鮮情勢への過度な警戒感が和らいだとして、日本株が切り返している。しかし、あくまで買いの中心は海外投資家による先物の買い戻し。企業業績が堅調とはいえ、「北」のリスクがくすぶるなかでは、先行き慎重な見方が長期投資家の中には多い。写真は都内で2015年8月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 12日 ロイター] - 北朝鮮情勢への過度な警戒感が和らいだとして、日本株が切り返している。しかし、あくまで買いの中心は海外投資家による先物の買い戻し。企業業績が堅調とはいえ、「北」のリスクがくすぶるなかでは、先行き慎重な見方が長期投資家の中には多い。日経平均.N225は1万9000円を一時的に下回る可能性も残されているという。

<現物と先物のかい離>  

海外投資家による今年の日本株の売買をみると、現物と先物の差が顕著だ。年初からの現物株の累計売買は3246億円の売り越しだが、先物は1兆6982億円の売り越しとなっている。

特に足元では、8月第4週までの6週間で現物が7048億円、先物が1兆3812億円と、先物が現物の約2倍売り越されている。直近の8月第5週では、先物が1542億円の買い、現物が613億円の売りと、その方向性は反対だった。

必ずしも、長期投資家が現物株を売買し、短期筋が先物を使うというわけではないが、先物は基本的に3カ月ごとのSQ(特別清算指数)算出までの取引だ。ロールオーバーもあるが、いずれ反対売買を行う「短期的」な売買であるのは否めない。

日本株が前週大きく調整した要因について、ブラックロック・ジャパンの福島毅取締役チーフ・インベストメント・オフィサーは「外国人投資家の利益確定売りだ。北朝鮮情勢がクローズアップされたことによるヘッジ売りもある」と指摘する。日本のファンダメンタルズを悲観した先行きへの懸念で売っていたというわけではないという。

実際、北朝鮮や米大型ハリケーン「イルマ」の懸念が「いったん」後退すると、日本株は切り返しに動いた。日経平均はこの2日間で約500円上昇したが、東証1部売買代金は2日とも2兆円前後。ヘッジ売りの解消など先物の買い戻しが主導したリバウンドだったとみられている。

<企業業績などは堅調>

日本経済や日本企業のファンダメンタルズは悪くない。4─6月期決算発表後の東証1部企業(8月14日時点、金融を除く、みずほ証券調べ)の2018年3月期純利益予想は5.1%増。従来の2.8%増から上方修正された。

国内では値上げの動きが相次いでおり、ピクテ投信投資顧問の松元浩常務執行役員は「日本経済において20年間なかったことなので、腰が入った長期に安心して買える相場になる」と期待を寄せる。

8月以降は、すかいらーく(3197.T)、「日高屋」を運営するハイデイ日高(7611.T)、鳥貴族(3193.T)、日本郵便、キユーピー(2809.T)などが値上げを発表している。特に28年ぶりに値上げに踏み切った鳥貴族の株価は、8月28日の値上げ発表後から直近高値まで終値ベースで約10%上昇している。

コムジェスト・アセットマネジメントのポートフォリオ・アドバイザー、リチャード・ケイ氏は「先行きについては、10月がカギだ。地政学リスクは解消されなくても、中間決算で企業業績の好調さを確認できるはずだ。そうなれば、自ずと株価も上昇するだろう」と、業績上振れに期待を寄せる。

<不安は依然「北」に>

とはいえ、日本の間近で地政学リスクがくすぶるなかで、長期投資家はなかなか強気になれないようだ。

バンクオブアメリカ・メリルリンチによるファンドマネジャー8月調査によれば、グローバル投資家が日本株をオーバーウエートした割合は前回調査よりわずかに拡大したが、今後1年間に日本株をオーバーウエートしたいという回答は前月比で14ポイント低下した。

同社のチーフ日本FX株式ストラテジスト、山田修輔氏は「外部リスクだろう。欧米中銀の金融政策も今秋以降動きを見せそうだ。加えて米政治不安や北朝鮮の地政学リスクが存在する。日本のマクロ要因に変動はないが、リスクセンチメントが悪化するかもしれない雰囲気がある」と分析する。

9月は海外勢の売りが出やすい時期。15年、16年と8月の倍以上の売り越し額となっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏は「10月はミューチュアル・ファンドの決算があり、9月は利益確定売りが出たりファンドのリバランスが行われやすい時期」と指摘。日経平均は1万9000円を一時的に割る可能性もあるとみる。

国連安全保障理事会は11日、北朝鮮に対する追加制裁決議案を全会一致で採択。米国は当初案である石油の全面禁輸を譲歩し、原油輸出に上限を設けるのみとなったが、北朝鮮側の「報復」に依然不安は残る。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は「全会一致を重視した譲歩だろう。これをステップとして米国単独の制裁を強めていくのではないか。そうなれば北朝鮮側の反発も続くはずだ。緊張感は緩まない」と述べている。

辻茉莉花 取材協力:植竹知子 編集:伊賀大記

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