for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

国内ハイテク、回復継続に期待 中国のITインフラ投資が支援

[東京 5日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大による世界的なリモート需要の高まりを受け、ハイテク各社の中間決算ではIT関連の売り上げが回復を先導、出遅れた自動車関連も上期後半から寄与し始めた。中国の順調な回復に、欧米の持ち直しが上乗せとなった。足元は感染再拡大の懸念が高まっているが、中国はITインフラ投資に力を入れており、リーマン・ショック後のように世界経済の牽引役になるとの見方もある。

新型コロナウイルスの感染拡大による世界的なリモート需要の高まりを受け、ハイテク各社の中間決算ではIT関連の売り上げが回復を先導、出遅れた自動車関連も上期後半から寄与し始めた。写真は業績予想の上方修正を発表した村田製作所のロゴ。2016年10月3日撮影。(2020年 ロイター/Toru Hanai)

<スマホ・自動車の回復「想定上回る」、中国が牽引> 

村田製作所6981.Tの村田恒夫会長は「中国本土のコロナからの回復が非常に早い」と、業績予想の上方修正を発表した決算会見で指摘した。地域別に見た上期の売上高比率は、中華圏が前年同期の約5割から6割付近に拡大。「スマホやPC関連の生産比率が非常に高く、中華圏の回復の度合いによって(売り上げに占める)比率が高まった」という。 

中国の鉱工業生産はコロナの影響で1―2月には1990年以来のマイナスに落ち込んだが、4月にはプラス圏を回復。その後も堅調に推移している。伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、前年同期比4.9%増となった中国の7―9月GDP(国内総生産)を踏まえ「輸出拡大を背景とする製造業の回復が明確となった」と指摘する。 

IT関連の回復に加え、コロナ禍で春先に落ち込んだ自動車向けも戻り始めた。村田製作所によれば、4―6月期の後半から中国で大きく立ち上がり、7―9月期に入ってその他の地域でも順次、回復していったという。出遅れた車載関連の比重が大きい欧米の売上高が全体に占める比率は低いものの、じわり持ち直した。「期待以上に早くスマホ、車関係の需要は回復に向かっている」と村田会長は語った。 

米国では、外出自粛などで貯蓄率が高まっており、自動車市場ではこれまで抑制されてきた需要の反動が出ていると見られている。調査会社のJDパワーとLMCオートモーティブは、10月の米自動車販売(営業日数調整後、小売りベース)が前年同月比3%増の約120万台になるとの見通しを示している。 

こうした需要回復を受け、ハイテク各社に業績予想の上方修正の動きが広がっている。ファナック6954.Tは、コロナで落ち込んだ需要が中国でいち早く回復し、他の地域も上期の後半から緩やかに戻しているという。この先もIT関連、ロボットの需要増を見込んでいる。東京エレクトロン8035.Tの上期の中国向け売上高は前年同期の倍近くに拡大し、停滞した欧米に比べ伸びが目立った。 

米中摩擦の影響も、これまでのところ大きくないようだ。中国・華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への輸出規制は「他のセットメーカーの需要がカバーし、あまり大きな影響はない」(村田会長)という。村田製作所は、スマホや車載向けはともに、下期見通しも当初予想より上振れているという。 

<下期以降、中国内需に期待感>

事業環境の好転は下期以降も継続するのか。足元では「テレワーク需要は一巡しつつある。PCやデータセンター向けの需要も落ち着いている」と英調査会社オムディアの南川明シニアディレクターは指摘する。欧米での感染再拡大が深刻化すれば中国からの輸出が鈍りかねない。米国でロックダウン(都市封鎖)となれば、車載向けの回復が腰折れするリスクもある。米中摩擦の懸念も依然、くするぶっている。

もっとも、東京エレクトロンの笹川謙経理部長は10月29日の会見で、リスク懸念はあるものの「市場環境の中期トレンドは大きく影響を受けるものではない」と述べた。IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、第5世代(5G)通信網などの広がりで半導体需要が高まり、製造装置投資の前倒しが進むと見ている。

米グーグルGOOGL.O 、アップルAAPL.O、フェイスブックFB.O、アマゾンAMZN.O の米大手IT4社、いわゆる「GAFA」は、各国当局の批判をかわすため利益を圧縮させるべく、10―12月からデータセンター投資を始め、来年以降、本格化してくる見込みだと、オムディアの南川氏は指摘する。

中国は5G通信網やデータセンター、電気自動車(EV)の充電ネットワークといった「新型社会インフラ(デジタルインフラ)」を整備する方針を示している。伊藤忠総研の武田氏は、 輸出に多くを期待できない場合でも、内需との「二本柱」で「刺激策がうまく軌道に乗れば成長基調は維持できそうだ」と指摘している。

需要拡大を見据えて供給能力を増強する動きも続いている。直近では半導体メモリー大手のキオクシア(東京・港)が、先端メモリーを増産するため新しい製造棟を来春から建設すると発表した。

オムディアの南川氏は、中国がITインフラ投資を通じ、リーマン・ショック後のような世界経済回復の牽引役になり得ると指摘。ハイテク企業の7―9月業績は「絶好調ではない。本格回復はこれから」と予想している。

平田紀之 編集:石田仁志

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up