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アングル:米増税なら株高に冷や水も、東証時価総額は過去最高に

[東京 8日 ロイター] - 日経平均が1990年8月以来、30年6カ月ぶりに2万9000円台回復となったほか、TOPIXも2018年1月23日のバブル後最高値1911.31ポイントを更新、東証1部時価総額は過去最高となるなど、8日の東京株式市場は記録づくめの1日となった。市場では、ここからバブルが本格化するとの声のほか、先行きについて、経済の正常化が読めるようになるとともに、財政や超金融緩和策の出口戦略などが株価を抑えるリスク要因として語られるようになる見方が出ている。

8日の東京株式市場は記録づくめの1日となった。市場では、ここからバブルが本格化するとの声のほか、先行きについて、警戒する見方も出ている。資料写真、東京・丸の内のビル群、2008年11月撮影(2021年 ロイター)

<米追加経済対策、回復期での実現なら株価のバブル本格化も> 

株価の大幅上昇の背景として、多くの市場関係者が挙げるが米国の追加経済対策だ。5日に発表された1月の米雇用統計は市場予想を下回ったが「これにより大規模な追加経済対策への必要性が高まったため、株価は皮肉にも上昇する格好となっている」(みずほ証券・シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)という。さらに、国内では好調な企業決算の発表が相次いでいることも株価を押し上げる要因になった。

そうした中「国内で新型コロナウイルスの新規感染者数の減少、これが高値警戒感を薄めた」(野村証券・投資情報部投資情報二課課長代理の神谷和男氏)との指摘がある。それは米国でも同様で「コロナ禍の落ち着きがみえた段階で、経済対策が実現するという形で生じるタイムラグは、株式市場、実体経済にとって意味が大きい」(大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏)という。

つまり、コロナ禍の終息による経済の正常化を織り込む相場の中で「急速に経済が回復し、その時期に実施されるとなると、短期的には想定外の経済効果をもたらす」(木野内氏)。併せて、超金融緩和策が継続されることになれば、株式市場のバブルが本格的に進む可能性が生じる。実際、80年代のバブルは、経済が過熱していたのにもかかわらず、金融引き締めが遅れたことが大きな要因となった。

市場では「米予算教書でバイデン大統領から増税について踏み込むどうかに注目が集まる。イエレン米財務長官は財政拡大を基本としているので根本的に株高は続くと見込まれるが、増税に関する具体的な発言がみられれば、足元の株高の熱を冷ます材料になりそうだ」(SMBC信託銀行・投資調査部長の山口真弘氏)声も聞かれる。

30年来の高値水準となり、テクニカル的には戻り売りを心配する水準ではなくなっただけに、日経平均の3万円回復も現実味を帯びてきた。そうした中で、コロナ禍に終息の兆しがみえる一方、株価がバブル色を強めた場合、米国の財政のほか、各国で実施されている超金融緩和策の出口戦略に関心が集まり、これらリスク要因と株高が綱引きとなることが考えられる。

<東証1部の時価総額が過去最高水準を更新>

一方、きょうのTOPIXの大幅上昇によって東証1部の時価総額は712兆7886億円となり、過去最高だった2018年1月23日の707兆9000億円を3年ぶりに更新した。

名目GDPとの比較では、昨年7─9月期の539兆円に対し、東証1部時価総額は約1.32倍。日本の場合、失われた20年と言われた90年代からアベノミクス相場で上昇した2010年代半ばまで、住宅バブルを背景に米国株式が高かったリーマン・ショック前の一時期を除くと下回る状態が続き、ITバブル期でさえ時価総額の方が低かった。

バブル期を振り返ると、1989年末の東証1部時価総額590兆円に対して、GDP405兆円の1.45倍に達していた。これに近づいていることも、現在の上昇相場がバブルとみられる理由と挙げられているが「そもそも大相場の初期は金融相場となって、実態経済から株価が乖離するのは当然のこと。バブル当時と比較して上場株式数も増えていることを踏まえても、現在の相場が一概にバブルとは言えない」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。

一般論として、経済や資本市場が発展している国ほどGDPに占める株式市場の割合は高くなる傾向がある。その点から今後は、日本がかつてのように復調するのか、それとも単なるバブルで終わるのか、市場は注視していくことになりそうだ。

水野文也 編集:青山敦子

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